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1/8『カラコロサイコロ』
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合わせた手の平。作られた空間の中でサイコロがカラコロと鳴る。カラコロカラカラ……。
この手を離して6と6が出たら俺の勝ち。
目の前の彼女は唇に指をあて俺の手をじっと見ている。考え事をしている時の彼女の癖。
負けず嫌いの彼女は何かと賭けたがる。
時の運が決めたことなら仕方ないと考える彼女が常に持ち歩いているのは、サイコロ、トス用コイン、小さな紙片とペン。
コインを投げたり、紙とペンで即席くじを作ったりしては、俺に勝負を持ちかける。
今日もそう。
俺の言葉に彼女は少し考えて、おもむろにふたつのサイコロを渡してきた。
というわけで、俺たちの今後の命運は、手の中のサイコロたちに託されているのだ。
(頼むぞ~)「よっ」
離れた手の中から放たれたサイコロの出目は、両方赤丸。つまり合計2。
「「うわ」」
漏れた声に彼女の声が混ざる。見ると彼女の顔に“しまった”と書かれていた。
あぁ、なんだ、と内心安堵して、少し苦めの笑顔を出す。
「ごめん。やっぱ俺、諦めたくないわ。確率的にはゾロ目で同じって事で、受けてくれない? プロポーズ」
聞いた彼女も同じように照れつつ苦笑して
「……はい」
サイコロを指で撫でながら頷いた。
この手を離して6と6が出たら俺の勝ち。
目の前の彼女は唇に指をあて俺の手をじっと見ている。考え事をしている時の彼女の癖。
負けず嫌いの彼女は何かと賭けたがる。
時の運が決めたことなら仕方ないと考える彼女が常に持ち歩いているのは、サイコロ、トス用コイン、小さな紙片とペン。
コインを投げたり、紙とペンで即席くじを作ったりしては、俺に勝負を持ちかける。
今日もそう。
俺の言葉に彼女は少し考えて、おもむろにふたつのサイコロを渡してきた。
というわけで、俺たちの今後の命運は、手の中のサイコロたちに託されているのだ。
(頼むぞ~)「よっ」
離れた手の中から放たれたサイコロの出目は、両方赤丸。つまり合計2。
「「うわ」」
漏れた声に彼女の声が混ざる。見ると彼女の顔に“しまった”と書かれていた。
あぁ、なんだ、と内心安堵して、少し苦めの笑顔を出す。
「ごめん。やっぱ俺、諦めたくないわ。確率的にはゾロ目で同じって事で、受けてくれない? プロポーズ」
聞いた彼女も同じように照れつつ苦笑して
「……はい」
サイコロを指で撫でながら頷いた。
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