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第一章 クラヴェール王国編
第8話 「初めては嵐のごとく」
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私は今、レイアの寝室にいる。部屋の奥にはレイアが寝ているであろう大きなベッドが見える。
「さあタクト。こちらじゃ」
レイアの手に引かれ、私は言われるがままベッドへと誘導されていく。これはもしかしなくても、だよな。レイアはにこにこ笑みを振りまき、上機嫌だ。私はドキドキが抑えきれず、心臓が脈打ちまくるのを感じている。
ベッドの前でレイアが止まり、私も立ち止まる。
「ちょ、ちょっと」
私はレイアを制しようと言葉を振り絞る。が、遅かった。
レイアはおもむろに鎧と黒のロングドレスを脱ごうとする。
「あ、あぁ!!!」
私は言葉にならない叫びをあげるが、レイアの所作は止まらず、彼女はその肌を|露わにする。
「さあ、タクトよ! 遠慮はいらぬ」
そうレイアが言い終わるまでに、彼女のきめ細やかな肌に鮮血が飛び散る!! レイアのつやつやした肌が赤く染まってしまう。
そう、私の鼻血が噴出したのである!!
直後、私の意識は遠のいていこうとする。吹き出す鼻血などお構いなしに。
だがレイアも負けてはいなかった。
何が起こったのか理解できなかったはずだ。にもかかわらず、彼女は私の腕を取り、自分の身体に私を抱き寄せる。そして、意識を失おうとする私に気づき、意識を取り戻す魔法をかける。
レイアと私の身体は密着している。私の鮮血でふたりはまみれ散らかす。私は美しい妻の身体を己の血で汚していることにも気づけず、彼女の魔法で取り戻した意識にすがることで精一杯である。
直後、ぼんやりとした意識の中で、私は何が起こっているのかをおぼろげではあるが、理解し始める。
そう。私は女性と寝たことが無く、初めての経験なのである。いや、これは自慢げに語る事ではないが。
「そうか。可愛い奴よのお、タクトよ」
勘のいいレイアはあっさり気づいたらしい。
「わらわがすべてを教えて進ぜる。わらわとのまぐわい、その身と心で、とくと味わうがよいぞ」
そこからはもう、幾度となく途切れる意識と、極上の快感しか記憶には残らなかった。
何をされるも、レイアの思うがまま。意識を失っては呼び戻されを繰り返し、私の鼻から身体中の血が全て無くなるのではないかというほど噴出し、レイアの真っ赤に染まった美しい顔と身体は私を酔わせ、ぷつぷつと切れる意識に快楽を刻み込んでいく。
傍から見ると地獄絵図のようなその光景は、いつしかレイア一人のものとなっている。レイアはひたすら私を追い求め、堪能する。いくら味わっても全然足りないといわんとばかりに、激しく私を求める。
だが、これも私が求めた結果なのだ。私が求婚した相手は、ほかならぬ魔王だったのだから。私はレイアのなすがまま、レイアの欲するままに快楽を堪能するのだった。
ふたりのまぐわいは、数時間にも及んでいる。私は今後、この儀式ともいえる行為に耐えられるのだろうか。いや、耐えるという表現はおかしいのか。
味わえるようになるのだろうか…
いつか、そういう日が来るよう願いたい。私はすでに、レイアを愛しているのだから。一週間、一か月では無理かもしれない。レイアが美しすぎるから。
何度も意識を途切れさせながら、私はそんな事を考えていたのである。
今まで呪いのように解けなかった童貞は、もうとうの昔にレイアによって解除されており、魔法で何度も何度も精魂注入させられ、レイアへの快感に何度も何度も貢献している。
途切れ途切れの意識に、レイアの激しい喘《あえ》ぎ声を何度も聞く事が出来た。
それはとても美しく、時に可愛げを伴《ともな》って耳に残っている。
レイアも相当壊れているかもだが、私も人の事を言えないくらい、壊れているのかもしれない。
レイアが満足したのか、疲れがピークになったのかわからないが、私の意識は途切れたまま、戻らなくなっている。
こんな私に、ここまでしてくれて感謝する。
私の意識は完全になくなり、レイアもまた、深い眠りに落ちていく。
私の血でべったり染まったレイアのベッドは、ふたりを温かく包み込む。
◆◆◆◆
「タクト、起きるのじゃ」
私はレイアの声で意識を取り戻し、目を開け、起きようとする。体中が筋肉痛の状態であることに気づく。
私はハイヒールを唱え、何とか元の状態へ戻す。恐るべし、レイア。
「朝食を作ってやった。共に食そうぞ」
レイアが微笑んで勧めてくる。
「ああ、ありがとう。いただくよ」
私はまだ完全に目覚めてない状態で反応する。
一体どのくらいの時間が経ったのだろう。朝食というくらいだから、翌朝ということか。
私は着替えを済ませ、ベッドから降りる。昨晩の血まみれだったベッドは、綺麗《きれい》に白く輝いている。恐らくレイアがやったのだろう。
私はレイアの待つ食卓へと足を運ぶ。レイアが抜群すぎる笑顔で私を出迎えてくれる。ありがたや。それに心なしか、レイアの肌がつやつやしている。昨晩に相当堪能して、活性化したのかもな。
テーブルには、パンらしきものと、シチューらしきものがそれぞれ皿に乗っている。
パンはともかく、シチューは薄紫色で、原形をとどめない何の生物かわからない肉がたくさん入っているようだ。
レイアはどうやら盛り付けはどうでもいいタイプのようだ。というか、魔王が自炊とかするのか?
「レイア、普段は料理人が作ってくれる料理を食べているんだよな?」
「ああ、そうじゃ。今は調理場が破壊されていてのぉ。彼らには暇を与えておるのじゃ」
なるほどそういう事か。この前私達が討伐で破壊したせい、という事だな。
「何か、すまないな。不便させてしまって」
「気にするな。そのうち元に戻すしな。それより、早く食すぞ。タクトを待っておったのじゃ」
「ああ、ごめん」
私は席に着き、目の前の料理に手を合わせる。
「いただきます!」
私はパンを手に取ると、レイアの方を一瞥する。レイアはにこやかな笑顔で料理を食べ、堪能している。一応大丈夫そうだ。
私は恐る恐る、パンを口に運んで噛んでみる。
「おおお!!」
口の中にバターの濃厚な味が広がる。確かに香りはしていたが。パン生地も思った以上に柔らかく、食べやすい。
「おいしい! これはいけるぞレイア」
「それはよかった」
問題のシチューにも手を付ける事にする。これはさすがに口にするのははばかられるが、レイアが丹精込めて作ってくれたものだ。食べないわけにはいかない。
私はパン以上に、肉も含めて慎重にスプーンに取り、ゆっくりと口に運ぶ。もちろん目をつむりながら。
口の中にぶわっと芳醇な味わいが広がる。
「んんん! うまいっ!!!!!」
私の口から自然にこみ上げていた。例の謎肉も、食べてみれば濃厚な豚肉のような味がして、そのくせさっぱりした後味で、いくらでも胃袋に入る気がするほどである。気が付けば、無我夢中で口に運んでいる。
パンもシチューも、程なく完食してしまった。
「おかわり、あるぞ。どうする?」
「お願いします」
レイアが魔法でお代わりを用意してくれる。私はそれもあっさり完食してしまい、満腹になってから水を飲む。
「ごちそうさまでした!」
私はレイアに微笑んで感謝し、席を立つ。
「本当においしかった。ありがとう」
「そんなに感謝されると、照れるな」
少し顔を赤らめ、はにかむレイアが可愛い。私は台所の流しのようなところに皿を持っていき、水魔法で洗う。その後、口の中に水魔法と風魔法を駆使して歯磨きを済ませる。
「タクト、そなた、どのくらい魔法を使えるのだ?」
私の歯磨き風景を見て気になったのか、レイアが尋ねる。
「そうだなぁ」
ここは少し披露しておくか。私はレイアの方を向き、両手を広げて差し出す。
「まずは火、水」
指にプチ魔法を出していく。
「氷、土、風」
それぞれの指に再現し、左手がいっぱいになる。
「雷、聖、闇」
右手に再現してみる。
「あとはよくわからないのが二つほど」
グニャグニャしたものと目に見えないものを薬指と小指に出してみる。
「おお、次元と時空か。すごいな」
エレノーラ様と激しい特訓をしていた時に偶然できた産物である。
「それだけ使えるなら、城の修復も手伝ってもらえそうじゃな」
「喜んで手伝うよ」
「感謝する」
そんなやり取りをしているうちに、レイアも食事を済ませ、食器を片付けてしまっている。
私達夫婦の初めての食事は、不安と和やかが入り混じって終わりを迎えたのである。
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ここまで読んでいただきありがとうございます。
何か感じることがありましたら、いいね、お気に入り登録して頂けると
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「さあタクト。こちらじゃ」
レイアの手に引かれ、私は言われるがままベッドへと誘導されていく。これはもしかしなくても、だよな。レイアはにこにこ笑みを振りまき、上機嫌だ。私はドキドキが抑えきれず、心臓が脈打ちまくるのを感じている。
ベッドの前でレイアが止まり、私も立ち止まる。
「ちょ、ちょっと」
私はレイアを制しようと言葉を振り絞る。が、遅かった。
レイアはおもむろに鎧と黒のロングドレスを脱ごうとする。
「あ、あぁ!!!」
私は言葉にならない叫びをあげるが、レイアの所作は止まらず、彼女はその肌を|露わにする。
「さあ、タクトよ! 遠慮はいらぬ」
そうレイアが言い終わるまでに、彼女のきめ細やかな肌に鮮血が飛び散る!! レイアのつやつやした肌が赤く染まってしまう。
そう、私の鼻血が噴出したのである!!
直後、私の意識は遠のいていこうとする。吹き出す鼻血などお構いなしに。
だがレイアも負けてはいなかった。
何が起こったのか理解できなかったはずだ。にもかかわらず、彼女は私の腕を取り、自分の身体に私を抱き寄せる。そして、意識を失おうとする私に気づき、意識を取り戻す魔法をかける。
レイアと私の身体は密着している。私の鮮血でふたりはまみれ散らかす。私は美しい妻の身体を己の血で汚していることにも気づけず、彼女の魔法で取り戻した意識にすがることで精一杯である。
直後、ぼんやりとした意識の中で、私は何が起こっているのかをおぼろげではあるが、理解し始める。
そう。私は女性と寝たことが無く、初めての経験なのである。いや、これは自慢げに語る事ではないが。
「そうか。可愛い奴よのお、タクトよ」
勘のいいレイアはあっさり気づいたらしい。
「わらわがすべてを教えて進ぜる。わらわとのまぐわい、その身と心で、とくと味わうがよいぞ」
そこからはもう、幾度となく途切れる意識と、極上の快感しか記憶には残らなかった。
何をされるも、レイアの思うがまま。意識を失っては呼び戻されを繰り返し、私の鼻から身体中の血が全て無くなるのではないかというほど噴出し、レイアの真っ赤に染まった美しい顔と身体は私を酔わせ、ぷつぷつと切れる意識に快楽を刻み込んでいく。
傍から見ると地獄絵図のようなその光景は、いつしかレイア一人のものとなっている。レイアはひたすら私を追い求め、堪能する。いくら味わっても全然足りないといわんとばかりに、激しく私を求める。
だが、これも私が求めた結果なのだ。私が求婚した相手は、ほかならぬ魔王だったのだから。私はレイアのなすがまま、レイアの欲するままに快楽を堪能するのだった。
ふたりのまぐわいは、数時間にも及んでいる。私は今後、この儀式ともいえる行為に耐えられるのだろうか。いや、耐えるという表現はおかしいのか。
味わえるようになるのだろうか…
いつか、そういう日が来るよう願いたい。私はすでに、レイアを愛しているのだから。一週間、一か月では無理かもしれない。レイアが美しすぎるから。
何度も意識を途切れさせながら、私はそんな事を考えていたのである。
今まで呪いのように解けなかった童貞は、もうとうの昔にレイアによって解除されており、魔法で何度も何度も精魂注入させられ、レイアへの快感に何度も何度も貢献している。
途切れ途切れの意識に、レイアの激しい喘《あえ》ぎ声を何度も聞く事が出来た。
それはとても美しく、時に可愛げを伴《ともな》って耳に残っている。
レイアも相当壊れているかもだが、私も人の事を言えないくらい、壊れているのかもしれない。
レイアが満足したのか、疲れがピークになったのかわからないが、私の意識は途切れたまま、戻らなくなっている。
こんな私に、ここまでしてくれて感謝する。
私の意識は完全になくなり、レイアもまた、深い眠りに落ちていく。
私の血でべったり染まったレイアのベッドは、ふたりを温かく包み込む。
◆◆◆◆
「タクト、起きるのじゃ」
私はレイアの声で意識を取り戻し、目を開け、起きようとする。体中が筋肉痛の状態であることに気づく。
私はハイヒールを唱え、何とか元の状態へ戻す。恐るべし、レイア。
「朝食を作ってやった。共に食そうぞ」
レイアが微笑んで勧めてくる。
「ああ、ありがとう。いただくよ」
私はまだ完全に目覚めてない状態で反応する。
一体どのくらいの時間が経ったのだろう。朝食というくらいだから、翌朝ということか。
私は着替えを済ませ、ベッドから降りる。昨晩の血まみれだったベッドは、綺麗《きれい》に白く輝いている。恐らくレイアがやったのだろう。
私はレイアの待つ食卓へと足を運ぶ。レイアが抜群すぎる笑顔で私を出迎えてくれる。ありがたや。それに心なしか、レイアの肌がつやつやしている。昨晩に相当堪能して、活性化したのかもな。
テーブルには、パンらしきものと、シチューらしきものがそれぞれ皿に乗っている。
パンはともかく、シチューは薄紫色で、原形をとどめない何の生物かわからない肉がたくさん入っているようだ。
レイアはどうやら盛り付けはどうでもいいタイプのようだ。というか、魔王が自炊とかするのか?
「レイア、普段は料理人が作ってくれる料理を食べているんだよな?」
「ああ、そうじゃ。今は調理場が破壊されていてのぉ。彼らには暇を与えておるのじゃ」
なるほどそういう事か。この前私達が討伐で破壊したせい、という事だな。
「何か、すまないな。不便させてしまって」
「気にするな。そのうち元に戻すしな。それより、早く食すぞ。タクトを待っておったのじゃ」
「ああ、ごめん」
私は席に着き、目の前の料理に手を合わせる。
「いただきます!」
私はパンを手に取ると、レイアの方を一瞥する。レイアはにこやかな笑顔で料理を食べ、堪能している。一応大丈夫そうだ。
私は恐る恐る、パンを口に運んで噛んでみる。
「おおお!!」
口の中にバターの濃厚な味が広がる。確かに香りはしていたが。パン生地も思った以上に柔らかく、食べやすい。
「おいしい! これはいけるぞレイア」
「それはよかった」
問題のシチューにも手を付ける事にする。これはさすがに口にするのははばかられるが、レイアが丹精込めて作ってくれたものだ。食べないわけにはいかない。
私はパン以上に、肉も含めて慎重にスプーンに取り、ゆっくりと口に運ぶ。もちろん目をつむりながら。
口の中にぶわっと芳醇な味わいが広がる。
「んんん! うまいっ!!!!!」
私の口から自然にこみ上げていた。例の謎肉も、食べてみれば濃厚な豚肉のような味がして、そのくせさっぱりした後味で、いくらでも胃袋に入る気がするほどである。気が付けば、無我夢中で口に運んでいる。
パンもシチューも、程なく完食してしまった。
「おかわり、あるぞ。どうする?」
「お願いします」
レイアが魔法でお代わりを用意してくれる。私はそれもあっさり完食してしまい、満腹になってから水を飲む。
「ごちそうさまでした!」
私はレイアに微笑んで感謝し、席を立つ。
「本当においしかった。ありがとう」
「そんなに感謝されると、照れるな」
少し顔を赤らめ、はにかむレイアが可愛い。私は台所の流しのようなところに皿を持っていき、水魔法で洗う。その後、口の中に水魔法と風魔法を駆使して歯磨きを済ませる。
「タクト、そなた、どのくらい魔法を使えるのだ?」
私の歯磨き風景を見て気になったのか、レイアが尋ねる。
「そうだなぁ」
ここは少し披露しておくか。私はレイアの方を向き、両手を広げて差し出す。
「まずは火、水」
指にプチ魔法を出していく。
「氷、土、風」
それぞれの指に再現し、左手がいっぱいになる。
「雷、聖、闇」
右手に再現してみる。
「あとはよくわからないのが二つほど」
グニャグニャしたものと目に見えないものを薬指と小指に出してみる。
「おお、次元と時空か。すごいな」
エレノーラ様と激しい特訓をしていた時に偶然できた産物である。
「それだけ使えるなら、城の修復も手伝ってもらえそうじゃな」
「喜んで手伝うよ」
「感謝する」
そんなやり取りをしているうちに、レイアも食事を済ませ、食器を片付けてしまっている。
私達夫婦の初めての食事は、不安と和やかが入り混じって終わりを迎えたのである。
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