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11.別に誰の為でもないよ。
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時間が経つのはあっという間で冬の星祭りがいよいよ来月末に迫って来ている。
その頃にはルッタとアセトはキスをしてハグ+ちょっとした触り合いをするくらいの仲にはやーっと到達していた。
ルッタの方が「ハイ、いきなり本番です! さあ、最後まで一思いにどうぞー!」とベッドに連れて行かれるよりはちょっとだけでも予備知識が欲しいと思っていたので、ある日家に来たばかりの『アセト』にそのままこう伝えたのだ。
「アセト……あの、とっくにバレていると思うんだけど……僕本当に何もしたことが無いんだ。だから、今日はちょっとだけで良いからいろいろと……あの、手順を……教えて欲しい」
「え?! あ、……わ、かったけど、大丈夫?」
驚いた顔のアセトの「大丈夫」には多分色んな意味がこもっていたと思うけれどルッタは「大丈夫」と強く頷きながら返した。
アセトは「今日はおじいさんとのコミュニケーションはいらないの?」と聞いてくれたけど、ルッタはぶんぶんと頷いた。
そのじーちゃん本人からここ数日毎朝連続で本気の心配顔で提案され背中を押され続けました、なんて一応成人している身では恥ずかしくて言いたくなかった。
これから食事であったことを思い出しルッタは話を切り出す順番を盛大に間違えたことに気付いたけれどアセトはそこには触れずいつも通りにゆっくり会話と食事を楽しんで後片付けも一緒にしてくれた。
その後はいきなりベッドかとルッタはちょっと身構えてしまったけれど、アセトは手を繋いで話をしてまず軽いキスをした。
キスをしている最中もいっぱいいっぱいのルッタの顔をずっと見ていてルッタが無理をしていないか見定めていたのだが、目をぎゅうっと瞑っていたルッタはそれを知らない。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫!」
ちゅ、という実に軽いキスだったがアセトとすると思えばルッタの心臓はバクバクだった。
青褪めるでも強張るでもなく頬を染めて答えたルッタをアセトは嬉しそうに見詰めてその日はずうっと色々なキスを教えてくれた。
その次来た時は抱き締めてキスをして、反応を示したルッタのことを手で気持ち良くしてくれた。
そして次の時は……と色々とじれったいまでにアセトが時間と手順を踏んでくれた結果、ルッタはすっかりと「そういうこと」が好きになってしまったのだ。
***
『ではでは 後は若い人同士で(◍ ´꒳` ◍)』
ニコニコ顔の菩薩のような表情のじーちゃんは何かを察しているのか最近とっとと帰ってしまう。
ルッタとしてはじーちゃんとの時間だってとっても大切だけれど、じーちゃんはそんなルッタにハッキリと
『ルッタ! じーちゃん離れを ちゃんとね٩(・̆ᗝ・̆)メッ』
と言ってアセトに変身魔法を解くよう伝えるように言って去って行くのだ。
それはじーちゃんなりの優しさと愛情だとルッタは知っている。
冷静に考えなくても亡くなってしまったじーちゃんとまたどんな形であれ会えたことは幸せでしかない。本当なら一目見られただけでも飛び上がって喜んでいい位の幸運だった。
でもじーちゃんは行動を起こさなかっただけでずっとルッタを一途に思ってくれていたアセトとの関係を進展させる為に現れてくれたのだ。
『じーちゃんも いつまでも 傍に居てあげられないから ルッタのことを真剣に好きな アセトに託したい』
以前言われたこの言葉が全てなんだと思う。
本当ならちゃんとアセトと付き合い始めの初々しい恋人同士から一歩踏み込んだ肉体関係込みの恋人同士にとっくになっていてもおかしくないのに、結ばれてしまうとじーちゃんとは二度と会えない。
だから優しいアセトは待ってくれていて、色々な事が絡んだリミットが『星祭りの夜』なのだ。
「――ルッタ、大丈夫?」
じーちゃんの指示を伝えたあと魔法を解いてからアセトはいつも優しい顔でそう聞いて、ルッタを抱き締めてくれる。
きっとルッタが「今日はそんな気分になれない」と言えばあっさりと受け入れて今まで通りの楽しくて穏やかな会話を共有する時間にアセトは付き合ってくれるだろう。
でも、非常に複雑な心理だがルッタはアセトとくっついたり触られるのが好きだった。
最初は「優しいなあ」とか「良い人だなあ」という気持ちの方が強かったけれど、今では普通に「大好き」なのだ。
もし仮に今誰かがアセトにアプローチをしてこようものならルッタはきっと盛大にヤキモチを妬いてアセトを呆れさせてしまうと思う。
それくらい大好きな人と自分の家でゆっくり過ごせる休みの前の貴重な夜。
じーちゃんとちゃんとさよならする為の準備ではなく普通に大好きな人と触れ合って満たされて心地良いと思う方に感情の比率が傾いているのがルッタ的には心苦しかった。
「何か考えてるね、良かったら教えてくれる?」
優しい顔と声で尋ねられて、ルッタは少し考えた後正直に伝えることにする。
だってルッタの恋人はアセトだ。
ルッタ的にはアセトとずーっと仲良く過ごしていく気持ちで告白を受け入れたからアセト以外の人とどうこうなる未来なんて想像したことも無い。
だからルッタが今後の人生で頼ったり、頼られたりして生きて行くパートナーは今目の前で優しく自分の変化に即気付いてくれるアセトなのだ。
「アセトとね」
「うん」
「星祭りの夜にちゃんと最後まで出来るように、って今色々教えて貰ってるでしょ?」
「まあ、うん」
ルッタ的に自覚は無いが男性でも小柄で童顔が多いリス獣人は基本的に大層愛らしく、特に肉食獣人の庇護欲を存在するだけで絶妙に煽る。
そんなルッタが照れくさそうにふさふさの大きな尻尾を自分で抱き締めながら一生懸命話す仕草はとても視覚的に攻撃力が高いのだがアセトは懸命に色々な感情を抑えて優しい表情と雰囲気で聞くに徹した。
「でもね……僕、最近じーちゃんとか末の姫様のこと忘れて、普通にアセトとくっついているのが好きだなって思っちゃうんだ。――コレって、駄目だよね」
「ン゛ン゛ッッ」
「アセト?」
唐突なルッタの無自覚な言葉にアセトの口から思わず妙な声が出たが、本人が一つ咳払いをして隣同士で座っていたルッタの方にもう一段階自分の身体を向けてから話し出す。
「ルッタ、大事なことだからちゃんと聞いてね」
「うん」
「俺はルッタにキスしたり触ったりすることを最初から『おじいさんを末の姫様に送り出す為の準備の一環』だと思ってしていないよ」
「――え?!」
驚いて元から大きな目をさらに大きくしたルッタを見ながらアセトは静かに続けた。
勿論その間も「可愛いな」と思ったのでルッタの手を握ることは忘れない。
「普通にずっと好きだったルッタと付き合えて嬉しくて、ルッタが受け入れてくれるから幸せで可愛いなって思いながら触ってるよ。そりゃ最後までしてしまうとルッタとおじいさんの貴重な時間が終わってしまうって理解しているからそこだけは我慢しているけど、別に誰の為でもない」
「……そ、そうなんだ」
男らしくアッサリと言い切ったアセトの言葉にルッタは頬を染めて短くなんとか返事をした。
この国で恋をするのに男女の性別は基本的に関係ない。
それは肉食獣人同士のカップルでは合う所はとっても合うけれど、本能由来の気性の荒さが一度でも食い違うとマウントの取り合いで駄目になったりするとかも普通にあって、更に言ってしまうと大型肉食獣人と小型の肉食獣人だと身体能力が影響するパワーバランス関係でこれまた上手くいかなかったりということも発生するなど色々と恋人が成立するに至るまでが難しい場合が多いから「男じゃなきゃ嫌!」とか「絶対女!」なんて言っていたら自ら唯でさえ少ないパートナー候補を入り口で追い払うという事態を招くことになる。
だからとにかく「合いそうだ!」とか「上手くやっていけそうだ」という直感から来る第一印象を大切に未来の番を探すので性別は二の次なのだ。
それで言うと獣人は番が人生で一番なので子供はあくまでも副産物。
番との間に持てればラッキーだしすごく大事に愛情をこめて育てるけどその過程でも一番は番。無事成人まで育てあげたら番とのその後の生活を満喫しよう♪ という感じだ。養子文化も社会全体に根付いているから子供が欲しかったら神殿に申請して審査を受けて、という所定の手続きを行って吉報を待てば良いだけだ。
だから本当にルッタとアセトの間に障害はない。
そりゃアセトの仕事のことでこれからちょっとした制限が出ることはあるだろうけれど、王弟殿下が「普通に付き合って、双方合意に至ればいつでも番えば良いだろう」と言ってくれているからそっちの心配もまあ、無いと思って良いだろう。
そんなことを思ってドキドキする胸を小さめの手で押さえたルッタを見て、アセトは男っぽく笑った。
「最初キスした時は目をぎゅうっと瞑って身体を強張らせていたのに、最近は安心して委ねてくれるようになったもんね」
「あ、うん。僕アセトとキスするの好きだよ」
嬉しそうに言ったアセトを見てルッタは素直に返す。
そんなルッタの素直さに今日も胸を撃ち抜かれたアセトは長い指をルッタの頤に掛けて、二人きりの時は隠さなくなった瞳を真っすぐルッタに向け至近距離で視線を合わせたまま言う。
「――うん、俺も大好き。今日は『今』出来ることを出来る限り全部したいんだけど、どう?」
今までで一番雄っぽい表情で言われて、ルッタはふさふさの尻尾を一瞬ぶわっと広げてから真っ赤な顔で頷いた。
その頃にはルッタとアセトはキスをしてハグ+ちょっとした触り合いをするくらいの仲にはやーっと到達していた。
ルッタの方が「ハイ、いきなり本番です! さあ、最後まで一思いにどうぞー!」とベッドに連れて行かれるよりはちょっとだけでも予備知識が欲しいと思っていたので、ある日家に来たばかりの『アセト』にそのままこう伝えたのだ。
「アセト……あの、とっくにバレていると思うんだけど……僕本当に何もしたことが無いんだ。だから、今日はちょっとだけで良いからいろいろと……あの、手順を……教えて欲しい」
「え?! あ、……わ、かったけど、大丈夫?」
驚いた顔のアセトの「大丈夫」には多分色んな意味がこもっていたと思うけれどルッタは「大丈夫」と強く頷きながら返した。
アセトは「今日はおじいさんとのコミュニケーションはいらないの?」と聞いてくれたけど、ルッタはぶんぶんと頷いた。
そのじーちゃん本人からここ数日毎朝連続で本気の心配顔で提案され背中を押され続けました、なんて一応成人している身では恥ずかしくて言いたくなかった。
これから食事であったことを思い出しルッタは話を切り出す順番を盛大に間違えたことに気付いたけれどアセトはそこには触れずいつも通りにゆっくり会話と食事を楽しんで後片付けも一緒にしてくれた。
その後はいきなりベッドかとルッタはちょっと身構えてしまったけれど、アセトは手を繋いで話をしてまず軽いキスをした。
キスをしている最中もいっぱいいっぱいのルッタの顔をずっと見ていてルッタが無理をしていないか見定めていたのだが、目をぎゅうっと瞑っていたルッタはそれを知らない。
「大丈夫?」
「だ、大丈夫!」
ちゅ、という実に軽いキスだったがアセトとすると思えばルッタの心臓はバクバクだった。
青褪めるでも強張るでもなく頬を染めて答えたルッタをアセトは嬉しそうに見詰めてその日はずうっと色々なキスを教えてくれた。
その次来た時は抱き締めてキスをして、反応を示したルッタのことを手で気持ち良くしてくれた。
そして次の時は……と色々とじれったいまでにアセトが時間と手順を踏んでくれた結果、ルッタはすっかりと「そういうこと」が好きになってしまったのだ。
***
『ではでは 後は若い人同士で(◍ ´꒳` ◍)』
ニコニコ顔の菩薩のような表情のじーちゃんは何かを察しているのか最近とっとと帰ってしまう。
ルッタとしてはじーちゃんとの時間だってとっても大切だけれど、じーちゃんはそんなルッタにハッキリと
『ルッタ! じーちゃん離れを ちゃんとね٩(・̆ᗝ・̆)メッ』
と言ってアセトに変身魔法を解くよう伝えるように言って去って行くのだ。
それはじーちゃんなりの優しさと愛情だとルッタは知っている。
冷静に考えなくても亡くなってしまったじーちゃんとまたどんな形であれ会えたことは幸せでしかない。本当なら一目見られただけでも飛び上がって喜んでいい位の幸運だった。
でもじーちゃんは行動を起こさなかっただけでずっとルッタを一途に思ってくれていたアセトとの関係を進展させる為に現れてくれたのだ。
『じーちゃんも いつまでも 傍に居てあげられないから ルッタのことを真剣に好きな アセトに託したい』
以前言われたこの言葉が全てなんだと思う。
本当ならちゃんとアセトと付き合い始めの初々しい恋人同士から一歩踏み込んだ肉体関係込みの恋人同士にとっくになっていてもおかしくないのに、結ばれてしまうとじーちゃんとは二度と会えない。
だから優しいアセトは待ってくれていて、色々な事が絡んだリミットが『星祭りの夜』なのだ。
「――ルッタ、大丈夫?」
じーちゃんの指示を伝えたあと魔法を解いてからアセトはいつも優しい顔でそう聞いて、ルッタを抱き締めてくれる。
きっとルッタが「今日はそんな気分になれない」と言えばあっさりと受け入れて今まで通りの楽しくて穏やかな会話を共有する時間にアセトは付き合ってくれるだろう。
でも、非常に複雑な心理だがルッタはアセトとくっついたり触られるのが好きだった。
最初は「優しいなあ」とか「良い人だなあ」という気持ちの方が強かったけれど、今では普通に「大好き」なのだ。
もし仮に今誰かがアセトにアプローチをしてこようものならルッタはきっと盛大にヤキモチを妬いてアセトを呆れさせてしまうと思う。
それくらい大好きな人と自分の家でゆっくり過ごせる休みの前の貴重な夜。
じーちゃんとちゃんとさよならする為の準備ではなく普通に大好きな人と触れ合って満たされて心地良いと思う方に感情の比率が傾いているのがルッタ的には心苦しかった。
「何か考えてるね、良かったら教えてくれる?」
優しい顔と声で尋ねられて、ルッタは少し考えた後正直に伝えることにする。
だってルッタの恋人はアセトだ。
ルッタ的にはアセトとずーっと仲良く過ごしていく気持ちで告白を受け入れたからアセト以外の人とどうこうなる未来なんて想像したことも無い。
だからルッタが今後の人生で頼ったり、頼られたりして生きて行くパートナーは今目の前で優しく自分の変化に即気付いてくれるアセトなのだ。
「アセトとね」
「うん」
「星祭りの夜にちゃんと最後まで出来るように、って今色々教えて貰ってるでしょ?」
「まあ、うん」
ルッタ的に自覚は無いが男性でも小柄で童顔が多いリス獣人は基本的に大層愛らしく、特に肉食獣人の庇護欲を存在するだけで絶妙に煽る。
そんなルッタが照れくさそうにふさふさの大きな尻尾を自分で抱き締めながら一生懸命話す仕草はとても視覚的に攻撃力が高いのだがアセトは懸命に色々な感情を抑えて優しい表情と雰囲気で聞くに徹した。
「でもね……僕、最近じーちゃんとか末の姫様のこと忘れて、普通にアセトとくっついているのが好きだなって思っちゃうんだ。――コレって、駄目だよね」
「ン゛ン゛ッッ」
「アセト?」
唐突なルッタの無自覚な言葉にアセトの口から思わず妙な声が出たが、本人が一つ咳払いをして隣同士で座っていたルッタの方にもう一段階自分の身体を向けてから話し出す。
「ルッタ、大事なことだからちゃんと聞いてね」
「うん」
「俺はルッタにキスしたり触ったりすることを最初から『おじいさんを末の姫様に送り出す為の準備の一環』だと思ってしていないよ」
「――え?!」
驚いて元から大きな目をさらに大きくしたルッタを見ながらアセトは静かに続けた。
勿論その間も「可愛いな」と思ったのでルッタの手を握ることは忘れない。
「普通にずっと好きだったルッタと付き合えて嬉しくて、ルッタが受け入れてくれるから幸せで可愛いなって思いながら触ってるよ。そりゃ最後までしてしまうとルッタとおじいさんの貴重な時間が終わってしまうって理解しているからそこだけは我慢しているけど、別に誰の為でもない」
「……そ、そうなんだ」
男らしくアッサリと言い切ったアセトの言葉にルッタは頬を染めて短くなんとか返事をした。
この国で恋をするのに男女の性別は基本的に関係ない。
それは肉食獣人同士のカップルでは合う所はとっても合うけれど、本能由来の気性の荒さが一度でも食い違うとマウントの取り合いで駄目になったりするとかも普通にあって、更に言ってしまうと大型肉食獣人と小型の肉食獣人だと身体能力が影響するパワーバランス関係でこれまた上手くいかなかったりということも発生するなど色々と恋人が成立するに至るまでが難しい場合が多いから「男じゃなきゃ嫌!」とか「絶対女!」なんて言っていたら自ら唯でさえ少ないパートナー候補を入り口で追い払うという事態を招くことになる。
だからとにかく「合いそうだ!」とか「上手くやっていけそうだ」という直感から来る第一印象を大切に未来の番を探すので性別は二の次なのだ。
それで言うと獣人は番が人生で一番なので子供はあくまでも副産物。
番との間に持てればラッキーだしすごく大事に愛情をこめて育てるけどその過程でも一番は番。無事成人まで育てあげたら番とのその後の生活を満喫しよう♪ という感じだ。養子文化も社会全体に根付いているから子供が欲しかったら神殿に申請して審査を受けて、という所定の手続きを行って吉報を待てば良いだけだ。
だから本当にルッタとアセトの間に障害はない。
そりゃアセトの仕事のことでこれからちょっとした制限が出ることはあるだろうけれど、王弟殿下が「普通に付き合って、双方合意に至ればいつでも番えば良いだろう」と言ってくれているからそっちの心配もまあ、無いと思って良いだろう。
そんなことを思ってドキドキする胸を小さめの手で押さえたルッタを見て、アセトは男っぽく笑った。
「最初キスした時は目をぎゅうっと瞑って身体を強張らせていたのに、最近は安心して委ねてくれるようになったもんね」
「あ、うん。僕アセトとキスするの好きだよ」
嬉しそうに言ったアセトを見てルッタは素直に返す。
そんなルッタの素直さに今日も胸を撃ち抜かれたアセトは長い指をルッタの頤に掛けて、二人きりの時は隠さなくなった瞳を真っすぐルッタに向け至近距離で視線を合わせたまま言う。
「――うん、俺も大好き。今日は『今』出来ることを出来る限り全部したいんだけど、どう?」
今までで一番雄っぽい表情で言われて、ルッタはふさふさの尻尾を一瞬ぶわっと広げてから真っ赤な顔で頷いた。
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