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工業簿記編

chapter24 「個別原価計算-製造間接費の部門別計算-」って何!?

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 ある日の部活終了後。
 今日はダーリンである煉先輩が来ていて、検定試験も迫っていたので、顧問の若林先生に居残りの許可をもらって勉強を見てもらうことにした。


「お姉もいるんだ…」


「居ちゃ悪い!?まぁ、確かに2人のお邪魔虫にはなっているんだけど…」


「まぁまぁ。それで、美琴…「個別原価計算の部門別計算」が分からないんだっけ!?」


「うんうん、それそれ!!個別原価計算の「指図書別原価計算表」は理解できたんだけど、何で同じような表の「」を作らなきゃいけないのかが分からなくて…」


「なるほど…まず最初に1つ聞くが「個別原価計算の部門別計算」って、そもそも何の勘定科目を細分化したものだと思う?」


「え~っと…問題集の部門費振替表を見ると、「部門個別費」のところに「間接材料費」とか「間接労務費」とか書いてあるから…もしかして「」?」


「その通り!それじゃ、美琴が分かっているっていう「指図書別原価計算表」の「直接◯◯」の下には、どんな項目がある?」


「えっ~と…部門費振替表に書いてある「第1製造部門費」と「第2製造部門費」がある。その「第1製造部門費」と「第2製造部門費」って、前は「製造間接費」って書いてあった…」


「なるほど!!「部門費振替表」で製造間接費の詳細を把握して、合計を指図書別原価計算表に記入してリンクさせるという訳だね!」


「そういうこと」


「「部門費振替表」って、「製造間接費の中に更に製造間接費がある」みたいなイメージになっちゃいますよね!」


「そうだな…通常、指図書別原価計算表には、製造間接費の中でも「組立」とか「仕上」といった「製品の製造に直接関わる部門だけを配賦」し、「動力」「修繕」「工場事務」といった、製造を補助するような部門は、部門費振替表の中で製品の製造に直接関わる部門へ配賦が行われるから、なまじ真琴が言った「製造間接費の中に製造間接費がある」は間違いではないだろうな…」


「とりあえず、作り方はなんとなく理解できたけど、なんでこんな面倒臭い手順踏まなきゃなんだろう?」


「「直接◯◯」に該当する製造原価は「指図書別原価計算表」で詳細を確認できる。だが「製造間接費」は、になってしまう」


「そんな中、工場の中にたくさんの「製造間接費」を発生させる部門があったとしたら、コスト削減を図ろうとした場合、工場長や社長はたくさんある部門それぞれでかかった費用を把握して、んだ」


「そんな時に「これです」って言って、総勘定元帳を見せるだけで良いと思うか?」


「簿記を知っている人なら総勘定元帳の情報だけで十分だろうけど、工場長や社長が簿記を知っているとは限らないからなぁ…」


「だから、面倒でも製造部門がたくさんある場合は「部門費振替表」を作成して、そこで算出した製造間接費の振替額を「指図書別原価計算表」に反映させる、という訳さ!」


「配賦額や配賦基準は、検定の問題によってまちまちだから、問題文をよく読んで、のよ!」


「は~~い!!」


「さて、若林先生からたっぷりと居残り時間の許可をもらったことだし、帰宅の心配をする必要がないなら、もう1問、過去問題をやるぞ!!」


「先輩!今日私も残っているのはその為でもあるんで、学校に残れるギリギリの時間まで、美琴に「はりつき」で教えてやって下さい!!」


「え゛え゛~先輩とのデートは?」


「今日は諦めなさい!検定終わったら、好きなだけ先輩とデートすればいいんだから!!」


「は~い…」


「…俺にも大学やバイトがあるんだが…」


afterword(あとがき) に続く
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