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3級商業簿記編
breaktime1 簿記を勉強して「得」すること①
しおりを挟むある日のパソコン部の部活終了後…
「煉先輩!」
「美琴!今日は調子良かったみたいだな!!」
「はいっ!お姉にあと15点というところまで迫ることができました!!」
「まぁ、あの問題で私が1文字も間違っていなければ、30点以上の開きが出ていたんだけれどねっ!」
「そうは言っても、15点差なのは変わらないでしょ!」
「まぁ、そうなんだけどさ…」
「ところで、美琴。俺に何か用があったんじゃないのか?」
「そうでした!お姉に話を遮られて、忘れちゃうところでした…」
「私のせいにしないでよね!」
「まあまあ二人とも!それで、美琴。俺に何が聞きたいんだ?」
「簿記のことなんですけど、商業高校の生徒は、必ず「簿記」を勉強しますよね?何か、将来得することとかあるのかなぁ、と思ってて…」
「確かに、普通高校でやってる「国数英理社」の授業をかなり潰して「簿記」や「情報処理」なんて授業を商業高校じゃやっているわよね…」
「普通の教科を潰してまで、商業高校で簿記を勉強して「得」することがあるのか、か…まず、「社会に出る前に数字で社会のことを把握することができる」ことかな…」
「数字で社会を把握する?」
「例えば、真琴!日本が今「国債」って借金を背負っていることは知っているか?」
「はい。「額面300万円の国債を100円につき95円で購入した」って時に「300万円×95%」の式で算出された285万円を「有価証券」として処理するって、あれですね!」
「それそれ。で、今日本が全体的に借金をいくら背負っていて、国民一人当たりに換算すると俺たちはいくら借金を背負っていることになっているか、知ってるか?」
「…それは、私には分かりませんね…」
「はいはい!今日「現代社会」の授業で伊藤先生が言ってました!国としては「1000兆円」位背負っていて、国民一人当たりに換算すると835万円位あるそうですね」
「その通り。「現代社会」の授業で「国民一人当たり835万円の借金」と言われただけじゃ、金額の大きさにピンとこないけど、簿記を勉強して会社の財政状態がある程度読めるようになると、国債残高の大きさが現実的になると思わないか?」
「確かに、会社に借入金が多ければ、負債が多いことになって、その返済で経営が圧迫されるのは日の目を見るより明らかなことですよね」
「そういうこと。国債だけじゃなくて、いま俺たちが住んでいる地方自治体の税収や借金の状態もある程度は分かるようになるわけで、集まった税金がどのように使われているのか、簿記を勉強していれば、勉強していない人よりも読み取ることが容易になるわけだ」
「それから、他にも「株」を買いたいと思った時、その会社が儲かっているのか、儲かっていないのかを、財務諸表からある程度読み取ることができるのも、将来得することの1つだな」
「株って「株主優待」を受けられる、あれのことですよね♪」
「この前、その制度を利用して嶋尻家ではテーマパークに遊びに行きました♪」
「その「株主優待」だけど、会社が儲かっていなくて倒産寸前になった時まで、制度を活用できると思うか?」
「確かに、倒産寸前なのに株主に何か物をあげたり、無料でサービスを提供できるとは思えませんね…」
「だから、例え株を購入する目的が「株主優待」を得ることだったとしても、その会社が儲かっている会社なのか、損失を出している会社なのかは、公開している「財務諸表」から読み取れる範囲内で、把握しておく必要はあるし、儲かっている会社の株なら、年に1回「配当金」がもらえるから、得することの方が多いと俺は思う」
「確かに!先輩、よく分かりました♪ありがとうございました!」
「ところで美琴!テーマパークで思い出したんだけど、あの時お土産を買うのにお金が足りないって言って、私からお金借りたの、覚えてる?」
「えっ…お姉、覚えていたの…」
「覚えてない訳ないでしょ!」
「相変わらず美琴は、真琴からお金を借りてるんだな…」
「先輩!違います!!たまたまお姉と一緒の時にお金が足りなくなることが多いだけなんです!」
「まぁ、それはいいわ。とりあえず、私は忘れていないから、早めに返してちょうだいね…」
「は~い」
…See you next breaktime!
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