119 / 120
episode6「針鼠の巣窟」
episode6 #19「殺せない理由」
しおりを挟む
「ぐはっ!!」
涼子の渾身の一撃を受けた指道は100メートル先まで飛ばされた。指道は100メートル先にあった木に背中を打ち付け項垂れるように倒れた。
「ハア…ハア…」
一撃を食らわした涼子は肩で呼吸をし指道の方に視線を向けていた。
「涼子ちゃん、大丈夫か?」
一方の炎美は涼子の所へ駆け寄って行った。
「うん、大丈夫だよ。それより…」
炎美が心配そうに声をかけると涼子は爽やかな笑顔で返し炎美に手を差し出してきた。
「やったね、炎美君♪」
「…ああ」
涼子がハイタッチを求めているのが理解出来たようで炎美は炎美も笑顔でハイタッチを交わした。
「…ぅぅ…」
2人がハイタッチを交わす中、指道は意識を取り戻したかのように小さく呻き声をあげた。
「!? 大丈夫ですか?」
涼子はそれにいち早く気づき指道に駆け寄って行く。炎美も後を追うように駆けて行った。
「…ぅっ…」
指道は腹部を抑えずっと呻き続けていた。涼子の一撃で肋骨がいくつか折れたうえに木に衝突した衝撃が折れた骨にまで響いて強烈な痛みが襲ってきていた。
「……さい」
「えっ?」
そんな中、指道は振り絞るように何かを言いかけ2人は思わず足を止めた。
「早く私を殺しなさい。死にかけの老いぼれとて情けなど不要。彼等が来る前に早く私にトドメを…ごほっ!?」
先程まで敬語で話していた指道も素に戻ったかのようにタメ口に変わっていた。そんな指道はトドメを促すように言うが最後まで言いきる前に吐血し始めた。
「マズい。早く病院に連れて行こう」
「!?」
指道の様子を見て炎美は急いで肩を貸した。その行動に指道は驚愕した。さっきまで敵対していた相手が自分を助けようとしている姿があまりにも不可思議に思えたのだ。
「なぜ…? 君達は自分が何をしているのか分かっているのか?」
指道は炎美達の行動に疑問に思い問いかけてきた。すると炎美が指道に視線を向けながらゆっくりと口を開いた。
「別に俺達は貴方を殺しに来た訳じゃない。止めに来たんだ。それに…」
炎美はそう言いかけて視線を正面に向けた。指道は炎美に吊られるように視線を移した。
「指道執事長!」 「指道さん!」 「執事長!」
「……!?」
視線の先にはボロボロになった執事達が心配そうに声をかけながら駆けつけて来た。その光景を見て指道は言葉を失った。
執事達はボロボロの姿になりながらも指道の身を案じていたのだ。
「貴方の事を心配してくれてる人達がいるんだ。そんだけ慕われてる人を殺すなんて俺には出来ない」
「ッ!?」
そして炎美の言葉に指道の眼から自然と涙が零れ落ちていた。
涼子の渾身の一撃を受けた指道は100メートル先まで飛ばされた。指道は100メートル先にあった木に背中を打ち付け項垂れるように倒れた。
「ハア…ハア…」
一撃を食らわした涼子は肩で呼吸をし指道の方に視線を向けていた。
「涼子ちゃん、大丈夫か?」
一方の炎美は涼子の所へ駆け寄って行った。
「うん、大丈夫だよ。それより…」
炎美が心配そうに声をかけると涼子は爽やかな笑顔で返し炎美に手を差し出してきた。
「やったね、炎美君♪」
「…ああ」
涼子がハイタッチを求めているのが理解出来たようで炎美は炎美も笑顔でハイタッチを交わした。
「…ぅぅ…」
2人がハイタッチを交わす中、指道は意識を取り戻したかのように小さく呻き声をあげた。
「!? 大丈夫ですか?」
涼子はそれにいち早く気づき指道に駆け寄って行く。炎美も後を追うように駆けて行った。
「…ぅっ…」
指道は腹部を抑えずっと呻き続けていた。涼子の一撃で肋骨がいくつか折れたうえに木に衝突した衝撃が折れた骨にまで響いて強烈な痛みが襲ってきていた。
「……さい」
「えっ?」
そんな中、指道は振り絞るように何かを言いかけ2人は思わず足を止めた。
「早く私を殺しなさい。死にかけの老いぼれとて情けなど不要。彼等が来る前に早く私にトドメを…ごほっ!?」
先程まで敬語で話していた指道も素に戻ったかのようにタメ口に変わっていた。そんな指道はトドメを促すように言うが最後まで言いきる前に吐血し始めた。
「マズい。早く病院に連れて行こう」
「!?」
指道の様子を見て炎美は急いで肩を貸した。その行動に指道は驚愕した。さっきまで敵対していた相手が自分を助けようとしている姿があまりにも不可思議に思えたのだ。
「なぜ…? 君達は自分が何をしているのか分かっているのか?」
指道は炎美達の行動に疑問に思い問いかけてきた。すると炎美が指道に視線を向けながらゆっくりと口を開いた。
「別に俺達は貴方を殺しに来た訳じゃない。止めに来たんだ。それに…」
炎美はそう言いかけて視線を正面に向けた。指道は炎美に吊られるように視線を移した。
「指道執事長!」 「指道さん!」 「執事長!」
「……!?」
視線の先にはボロボロになった執事達が心配そうに声をかけながら駆けつけて来た。その光景を見て指道は言葉を失った。
執事達はボロボロの姿になりながらも指道の身を案じていたのだ。
「貴方の事を心配してくれてる人達がいるんだ。そんだけ慕われてる人を殺すなんて俺には出来ない」
「ッ!?」
そして炎美の言葉に指道の眼から自然と涙が零れ落ちていた。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
王子妃だった記憶はもう消えました。
cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。
元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。
実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。
記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。
記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。
記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。
★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日)
●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので)
●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。
敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。
●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?
ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。
アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。
15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。
旦那様、離婚してくださいませ!
ましろ
恋愛
ローズが結婚して3年目の結婚記念日、旦那様が事故に遭い5年間の記憶を失ってしまったらしい。
まぁ、大変ですわね。でも利き手が無事でよかったわ!こちらにサインを。
離婚届?なぜ?!大慌てする旦那様。
今更何をいっているのかしら。そうね、記憶がないんだったわ。
夫婦関係は冷めきっていた。3歳年上のキリアンは婚約時代から無口で冷たかったが、結婚したら変わるはずと期待した。しかし、初夜に言われたのは「お前を抱くのは無理だ」の一言。理由を聞いても黙って部屋を出ていってしまった。
それでもいつかは打ち解けられると期待し、様々な努力をし続けたがまったく実を結ばなかった。
お義母様には跡継ぎはまだか、石女かと嫌味を言われ、社交会でも旦那様に冷たくされる可哀想な妻と面白可笑しく噂され蔑まれる日々。なぜ私はこんな扱いを受けなくてはいけないの?耐えに耐えて3年。やっと白い結婚が成立して離婚できる!と喜んでいたのに……
なんでもいいから旦那様、離婚してくださいませ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる