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第3章「俺の平穏が壊されていく」

第12話「ドッキドキな教訓」

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 「ハア…和彦君…和彦君…」

 その言い方やめてくれ!

 興奮気味のみのりの力は緩まることをしらず俺は悪戦苦闘(あくせんくとう)していた。

 「んっ…んっ…」

 するとみのりは俺の指をなぞるように舐めてきた。

 「ひゃっ!」

 ゾクッとする冷たい感覚に女の子のような奇声がでてしまった。

 「ちょっとみのりさん!? マズいってそれは!」

 前回も中々危なかったが、今回は前と違って助け舟の有紗がいない為、自力で脱出しないといけない。どうする俺?!

 俺は必死に頭の中を振り絞った。その間にもみのりの舌は俺の指から手まで舐め回していた。色々とこそばゆい時期の男子にそれはイカンって!

 俺は掴まれた腕の方向に向かってゴロッと転がると反対方向に向かって思いっきり転がった。

 「ふんっ!!」

 すると俺の狙い通り俺の腕を掴んでいた手足を引き剥がすことに成功した。

 「いよしっ!!」

 無意識に小さくガッツポーズをする俺。支点・力点・作用点を利用したテコの原理が上手いこと働いてくれたおかげでなんとか助かった。

 「んっ…んっ…」

 どうやらみのりさんはまだ寝ぼけてるようで何もないところに抱きついて喘ぎ声を出していた。あんまその声を出されると俺の脳内にインプットされて暫く俺のご馳走にされ…まあとりあえず危機は脱したからよしとするか。

 みのりを起こすことも出来ず結局暫くは距離を置きながら様子を伺っていた。それから2時間後、

 「んっ、んー…」

 ようやく目を覚ましたご様子のみのりさん。さっきのことは記憶にないだろうなと思いその話はしないことにした。言ったら多分、死にたくなるだろうし。

 「おはよ!」

 「あっ、ごめんなさい! 折角来てくださったのに私が寝ちゃうなんて…」

 「いや、気にしなくていいよ!」

 「あのー、ところで何でそんなとこにいるんですか?」

 テレビの前で寝ていたみのりに対して俺は正反対の角っこで小さく体育座りをしていた。そりゃあ気になるわな。

 「ちょっとした気分転換だよ! ハハハ…」

 「は、はあ…」

 とりあえず笑って誤魔化すことにした。みのりもあまり追求してはこなかった。そんなこんなで周りが暗くなり始めたので帰ることにした。

 「夕飯は大丈夫ですか?」

 「ああ、晩メシなら家で食べるから大丈夫! 今日は1日ありがとうね。楽しかったよ!」

 「こちらこそ楽しかったです。今度来てくださる時は寝落ちしないように気をつけないといけませんね」

 「ハハハ…」

 本当にそれだけは気をつけて欲しいよ! 俺は苦笑いしながらそう思った。寝ている間のみのりはマジで気をつけないといけない。今日1日を通して俺が学んだ事だった! そんな教訓を得ながら俺は帰って行った。
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