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第8章「転入生は…」

第6話「これ、おもいっきりデートじゃねーか!!」

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 ---「ごめんなさい。こんな雨の日なのに付き合わせてもらって」

 「いや、大丈夫大丈夫。ここきてまだ日が浅いみたいだし、他に聞きたい場所があるなら聞いてもいいよ」

 雨が降る中、俺は綴さんと付き合うことになった。無論、そういう意味ではなく。

 まだここに来て浅い綴さん達はこの辺のことをまだ知らないらしい。そこで綴さんは偶然居合わせた俺に道案内をお願いしてきたのだ。

 『付き合ってもらいたいんです』

 「……」

 「? どうかしましたか和彦君?」

 「えっ? い、いや、なんでもないよ!」

 「? そうですか」

 俺はふとあのときの言葉を思い出していた。いやまあわかってたよ。昨日今日会ったばかりの女子から告白されるだなんて微塵も思ってないよ。なめてもらっては困る。こっちはその手の経験なら豊富だからね。ホントに告白されるなんて全然思ってないから。

 「そ、そういえば司君は? さっき会ったときも居なかったけど」

 それはさておき、俺は気になっていたことを綴さんに問いかけてみた。姉弟でしかも同じクラスだからてっきり一緒に帰っているもんだと思っていた。だが、校門のところで綴さんに会ったときから司君はいなかった。

 「司ですか? 司なら学校が終わってすぐに帰らせましたよ。別に一緒に残ってもらうほどの用でもなかったですしあの子、雨の日は苦手なので」

 「えっ? そうなんだ!? 意外だなあ。司君なら雨の日とかでも平気で遊んでそうなイメージあったんだけど」

 「え、ええ、そうですね。昔はよく雨の日に外で遊んでたりしてましたけど、流石に司ももう高校生ですし、そんなことしませんよ」

 「ははっ、そりゃそっか」

 俺の問いかけに答えてくれた綴さん。言われてみればたしかに司君だってもう高校生だし、そんな小学生みたいなことをするわけないっか。まあ司君は小学生っぽいイメージがあるんだけど、それは俺の偏見だろうか。

 「……」

 それにしてもどうしてだろうか? こんなにもドキドキするのは? そう思ったおれは一度、冷静になって状況を確認してみることにした。

 えーっと、俺は今、綴さんと『2人っきり』だ。そんな中、俺は綴さんと『2人っきり』で町中を歩き回っている。

 そして俺は綴さんと『2人っきり』で楽しそうに会話している。

 さて、これを側から見るとどう思うだろうか? 多分、みんな同じことを考えていると思うのだが。

 うん。これでなんとなくドキドキする理由もわかってきたな。

 これ、おもいっきりデートじゃねーか!!
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