上 下
252 / 445
第7章「夏休みが終わらない」

第23話「俺の魔術を!!」

しおりを挟む
 「ほお」

 俺の一言にルイスさんは顎に手を当て深く頷いた。

 「それで? あなたは先程の発言を撤回して欲しいんですか?」

 しかしルイスさんはさっきの発言に対して悪びれる様子は全くなく、むしろ開き直っている気がする。

 「いや。別に撤回して欲しいとか思ったわけじゃない。ただ単にあんたの言い方が気に食わなかったから言ってやっただけだよ」

 そんなルイスさんに俺は皮肉混じりに言い返してやった。だがルイスさんは俺の発言を聞き流すかのように適当に相槌をうっていた。

 「そうですか。では、続きでもしましょうか? 私も疲れてきたので、そろそろ終わりにしましょう」

 「くっ!」

 そんなルイスさんは話を終わらせ再びエンドレス・リアルをふりかざそうとしていた。疲労困憊ひろうこんぱいのイーリスちゃんは苦痛の表情を浮かべていた。イーリスちゃんもそろそろ限界がきているらしい。このまま避けていてもいずれは体力の限界がきてしまう。そうなればいずれあの斬撃の餌食になってしまう。

 どうすれば攻撃に転じられる? 魔法が使えない俺では無理だし、イーリスちゃんはそんな俺をカバーしてくれるので精一杯だ。

 『魔術とはものに魔力を加えること』

 「……」

 そんな時、ふとルイスさんの発言を思い返していた。そもそも魔術師はごく普通の人間だった。しかし魔力というものを認識した彼らは魔法を研究し、その結果、魔術というものを作り出した。

 つまり、魔術なら『俺にでも扱える』?

 「イーリスちゃん、俺に考えがあるんだけど」

 「…私にこれ以上負担かけさせる気?」

 そう思った俺はふとある考えを思いついた。それをイーリスちゃんに言おうとしたが嫌そうな顔をされた。まあこの前はかなりイーリスちゃんに負担をかけ過ぎたしな。

 「大丈夫、数秒いや、あの斬撃を一撃だけ防いでくれればいい」

 「…一応、あんたが今なにを考えているのか聞かせてくれないかしら?」

 「ああ。時間があればだけど、ねっ!」

 そんなイーリスちゃんが俺から作戦を聞こうとしてきた。だがそんな時間はなく俺は倒れた木の方へと駆け寄って行った。

 「何をするつもりか知りませんが、させませんよ!」

 するとルイスさんは俺に向かって斬撃を飛ばしてきた。まあ当然といえば当然だが。

 「ったく、しょうがないわね!」

 「ッ!?」

 だが、その斬撃をイーリスちゃんが防御魔法で防いでくれた。しかし簡易的だったのか、防御魔法は一撃で破壊された。

 「けど、これで…」

 だが、1度防ぐだけで充分だった。俺はその隙に倒れていた木から枝を折り手に取った。

 そして、俺は手に取った枝をルイスさんに向けた。

 「見せてやる! 俺の魔術を!!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

ハーレムに憧れてたけど僕が欲しいのはヤンデレハーレムじゃない!

いーじーしっくす
青春
 赤坂拓真は漫画やアニメのハーレムという不健全なことに憧れる健全な普通の男子高校生。  しかし、ある日突然目の前に現れたクラスメイトから相談を受けた瞬間から、拓真の学園生活は予想もできない騒動に巻き込まれることになる。  その相談の理由は、【彼氏を女帝にNTRされたからその復讐を手伝って欲しい】とのこと。断ろうとしても断りきれない拓真は渋々手伝うことになったが、実はその女帝〘渡瀬彩音〙は拓真の想い人であった。そして拓真は「そんな訳が無い!」と手伝うふりをしながら彩音の潔白を証明しようとするが……。  証明しようとすればするほど増えていくNTR被害者の女の子達。  そしてなぜかその子達に付きまとわれる拓真の学園生活。 深まる彼女達の共通の【彼氏】の謎。  拓真の想いは届くのか? それとも……。 「ねぇ、拓真。好きって言って?」 「嫌だよ」 「お墓っていくらかしら?」 「なんで!?」  純粋で不純なほっこりラブコメ! ここに開幕!

処理中です...