上 下
244 / 445
第7章「夏休みが終わらない」

第15話「夏休みが終わらない」

しおりを挟む
 ---「ひょっとしてこれってタイムループってやつじゃないのか?」

 俺は自室で1人考え込んでいるとふとそんな考えが頭によぎった。ラノベやアニメでよくあるやつだ。

 これは正夢ではなくおんなじ日を何度も何度も繰り返していたのだ。それなら変な違和感にも色々と合点がいく。何日も全くおんなじような夢を見るのはおかしいしな。

 なにより魔法や呪法が存在しているし、まだ知らない不思議な力が存在していてもおかしくはない。

 「けど、なんでこんなことに? っていうか、なんで俺が?」

 しかしわからないことが多過ぎる。タイムループが発生したとしたらなにかしらの理由があるはず。だが、その理由に思い当たる節がない。

 そしてなぜ俺なのか? 俺がなにかしてしまったのだろうか? それも思い当たる節がない。

 それ以外にも他の人も俺と同じような体験をしているのかとか色々気になることが多過ぎる。

 「んー、わかんねー!?」

 考えてもなにも出てこない俺は頭を抱えていた。本当に頭痛がしてきた。

 「んっ? でも待てよ? なにかおかしくねーか?」

 そんな中、ふと1つの疑問が浮かんだ。それは今回の件の根底からくつがえすものだった。

 「なんで俺、2日3日も気づかなかったんだ?」

 それはなぜ急にこの現象に気がついてしまったのかということだ。俺の記憶が正しければ8月31日を3、4回ほど繰り返している。

 しかしそれに気づいたのは昨日からだ。もし俺がタイムループの能力に目覚めていたのなら2回目の8月31日の時点で違和感に感じていたはず。なのになぜ途中から気づいたのだろうか? まあこれはあくまでラノベやアニメで見た知識で言っているだけなのだが。

 「じゃあこれってタイムループなんかじゃないのか? いや、でもそれ以外に説明できるのか?」

 そのふとした疑問により俺はさらに苦悩させられた。そもそもこれはタイムループといえるものなのだろうかとさえ思えてきたのだ。

 ---結局俺はそこから1日中、自室にこもったままになってしまった。みんなに心配をかけたのは申し訳ないが。

 「そうだ。そろそろ日付が変わる頃だ!」

 そんなことを思いながらも俺はふと時間を確認した。時間は深夜の12時前。そろそろ日付が変わる時間だった。

 そこで俺は日付が変わるかどうか確認してみることにした。ひょっとしたら日付が変わる瞬間を見れば元どおりになるかもしれないとかすかな望みを抱いたのだ。

 「……」

 俺は息を呑みながら時間をジッと見つめていた。そして…

 2016/8/31

 ---俺の夏休みは未だに終わらなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

ハーレムに憧れてたけど僕が欲しいのはヤンデレハーレムじゃない!

いーじーしっくす
青春
 赤坂拓真は漫画やアニメのハーレムという不健全なことに憧れる健全な普通の男子高校生。  しかし、ある日突然目の前に現れたクラスメイトから相談を受けた瞬間から、拓真の学園生活は予想もできない騒動に巻き込まれることになる。  その相談の理由は、【彼氏を女帝にNTRされたからその復讐を手伝って欲しい】とのこと。断ろうとしても断りきれない拓真は渋々手伝うことになったが、実はその女帝〘渡瀬彩音〙は拓真の想い人であった。そして拓真は「そんな訳が無い!」と手伝うふりをしながら彩音の潔白を証明しようとするが……。  証明しようとすればするほど増えていくNTR被害者の女の子達。  そしてなぜかその子達に付きまとわれる拓真の学園生活。 深まる彼女達の共通の【彼氏】の謎。  拓真の想いは届くのか? それとも……。 「ねぇ、拓真。好きって言って?」 「嫌だよ」 「お墓っていくらかしら?」 「なんで!?」  純粋で不純なほっこりラブコメ! ここに開幕!

処理中です...