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第6章「ようこそ愛ヶ咲島」

第40話「馬鹿げてる!!」

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 「神の御業、だって?」

 相田さんがさも当然のように言うから俺は思わず聞き返していた。

 「この紋章が刻まれてからというもののご覧の通り、あらゆる不幸から私の身を守ってくれるのです! これを神の御業と言わずしてなんというのでしょう!?」

 相田さんはそう言いながら紋章が刻まれた手を胸に当て、満面の笑みを見せてきた。

 「だからって、なんでこんなことすんだよ!? それとこれとは関係ないだろ?!」

 しかしその力と今回の件にはなんら関連性を感じられない。そう思い相田さんに反論した俺の口調は少し荒くなっていた。

 「さっきも話しましたけど、私はカルト信者で売春を生業として生きてきました。そんな私がこの御業を手に入れたのです! つまり私の行いは神に認められたということではないですか!?」

 「ッ!? そんな理屈で…」

 相田さんにそう返された俺は怒りを通り越して呆れてしまった。梓やイーリスちゃんも俺と同じ気持ちだろう。犯罪を神が認めるって、あまりにも理屈がおかしい。そんな神がいてたまるものか。

 「馬鹿げてる!!」

 「…お兄ちゃん」

 「……」

 俺は唇を噛み締めるように言いきった。そんな俺を見て2人は戸惑いの表情を浮かべた。俺がここまで怒りをあらわにしたのが、そんなに珍しかったらしく、どうしたらいいのかわからずにいるようだ。

 「はははっ、子供にはまだわかりませんか。神というのは必ずしも善い行いをした人だけに手を差し伸べるわけではないのですよ! 大事なのはどんな行いをしたかではなく、いかに神を崇めたかということだけなんですよ! 神を崇めばどんな行いをしたって許してくださるのです!」

 しかし相田さんは俺の言葉など意に返すどころか、天に召されるかのように天を仰ぎながら自論を展開してきた。

 「当時から私は毎日のように神の像の前で拝み、供物などもしっかり備え、常に神を崇めたその結果、神は私を選んだのです! これ以上思い当たることがあるでしょうか?!」

 「くっ!?」

 相田さんはだんだん興奮気味になり、天を仰いだまま両手を大きく広げた。その姿が俺達には神が舞い降りたかのように神々しく見えてしまい視線を逸らした。

 「理解出来ました? それで、どうします? 今の私に魔法が効かないと立証出来た以上、あなた達に私を止める術はないかと思いますが?」

 そんな俺達を見て勝利を確信したのか、おもむろに歩み寄ってくる相田さん。まるでバトル漫画とかで主人公達を絶対的な力の差で追い詰めていくような光景だった。たしかに魔法が効かない相手に俺達はなす術をなくしていた。

 「さてお三人方、どうなさいますか?」

 そして、相田さんはそう言って不敵な笑みを浮かべた。
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