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第4章番外編「私の守りたいもの」
第14話「私の守りたいもの」
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---「さて、本当の目的を教えて貰えるかしら?」
「…はい?」
約束した当日、約束通り家に招待された。家には見た目も中身も冴えなさそうなあの子の兄がいたっけ。あの時はジロジロ見られて心の底から不愉快な気分だった。
部屋に入れられると自分の事や自分の家族、今一緒に住んでいる女の事もぺらぺらと喋り始めた。
しかしそんな話、私には全く興味がなかった。そもそもココに来たのはあの子の本性を見抜く為だ。
だがくだらない話を延々と聞かされ痺れを切らした私は率直に聞いてみた。
「分かってるんでしょう? 私達は敵同士、殺し合わなければいけない立場にあるのよ」
「うん。バードさんが口酸っぱく言ってた。でもさ、本当に殺し合わなくっちゃいけないのかな?」
「何ですって?」
あの子がそれを口にした時は何を考えているのか理解出来なかった。適当なことを言っているようには見えない。あの子の目は純粋に疑問を感じていた目だった。
「確かに悪い魔女がいるかもしれない。けど逆に良い魔女だっているかもしれない!」
「ッ!?」
あの子の発言を聞いてふとママを思い出した。優しくて強い私の大好きなママ。
しかし次にミシェーラの言葉を思い出した。『魔女殺しのアイリス』という言葉を。
真実かどうかは未だに分からないが万が一同族である魔女を殺したのならそれは良い魔女と呼べるのか? 分からない。一体良い魔女とはなんなのか?
「みんな魔女に対して偏見を持ってるからいけないんだよ! 話し合えばきっと分かり合えるかもしれない! だから私はイーリスちゃんとは戦いたくないな。イーリスちゃんならきっと良い魔女になれると思うから」
「ッ!?」
あの子は悟ったように微笑んでいるがそれが私にとっては腹ただしく思えてきた。
「…知ったような口を!」
「イーリス…ちゃん?」
あまりにも腹ただしくなり思わず戦闘衣装に変身してしまった。あの時はコイツに私の何が分かるの?! と苛立ちを感じてしまっていたからだ。友達に裏切られ大好きなママも失った私の気持ちなんか分かる訳がない!
「アンタなんかに、私の気持ちが分かってたまるものか!!」
そして溜め込んでいた怒りをあの子にぶつけた。出会って1、2ヶ月も経たない奴に何が分かるのか?
「うん。分からないよ。イーリスちゃんが悲しそうにしている理由が」
「?! 私が…悲しんでる?」
「うん。初めて会った時からイーリスちゃん、とても悲しそうな目してたよ」
「……」
気づかなかった。私は自分で冷たい目をしていると思っていた。いや、そうしてきたつもりだった。だがあの子には違って見えていたようだ。
「だから私、イーリスちゃんの力になりたいの! 何が出来るかは分からないけど、困った事があったら頼って欲しいな」
そう言ってあの子は魔法少女の姿に変身して優しく微笑んだ。立場が違えどそんな事は関係ないというあの子なりの意図があったのだろう。
「……私は、別に……」
しかし私は困惑していた。ミシェーラの二の舞にならんと周りに関心を持たないようにしてきたのに、私の心は揺れ動いていた。どうして? どうしたらいいの?
コンコン
「梓ー、コンビニ行くけどなんか買ってきて欲しいもの……」
私が困惑する中、あの男が来たせいでそれどころではなくなったんだわね。そこから一悶着あったもののその甲斐あってあの子と友達と言っていいかは分からないけど、仲良くなれた気がする。もう一度だけ信じてみても良いかなと思えてきたのだ。
---「…うよ」
「んん?」
私がいきなり喋り出してきたからミシェーラは小首を傾げた。私はふと数時間前の事を思い出していた。
---皆を追い返した後、あの子は何度も申し訳なさそうに私に謝ってきた。別にあの子が謝る必要はないのだけれど。その後、あの子はこんな事を言ってきた。
「もしよかったら、また遊びに来てもいいかな?」
私は「別にいいけど」と適当に返したがあの子は嬉しそうな表情をして帰っていった。よっぽど楽しみにしているのだろう。
---その時の事を思い出した時、私は思った。あの子があれだけ楽しみにしているのなら今、ココを奪われるわけにはいかない!
こんなのただの友達との口約束だと思われるかもしれないが私にとってはそれだけで十分な活力になった。
「そうよ。あの子と約束したのよ。またココで遊ぼうって。だから今、アンタに負けるわけにはいかないのよ!」
「……?」
ミシェーラには何を言っているのか分からないようだった。まあアイツに分かるわけもない。私がこの場所を守りたい理由を。
「ママの為だけじゃない! あの子の、梓との約束を守る為に私は、この場所を守ってみせる!!」
「…はい?」
約束した当日、約束通り家に招待された。家には見た目も中身も冴えなさそうなあの子の兄がいたっけ。あの時はジロジロ見られて心の底から不愉快な気分だった。
部屋に入れられると自分の事や自分の家族、今一緒に住んでいる女の事もぺらぺらと喋り始めた。
しかしそんな話、私には全く興味がなかった。そもそもココに来たのはあの子の本性を見抜く為だ。
だがくだらない話を延々と聞かされ痺れを切らした私は率直に聞いてみた。
「分かってるんでしょう? 私達は敵同士、殺し合わなければいけない立場にあるのよ」
「うん。バードさんが口酸っぱく言ってた。でもさ、本当に殺し合わなくっちゃいけないのかな?」
「何ですって?」
あの子がそれを口にした時は何を考えているのか理解出来なかった。適当なことを言っているようには見えない。あの子の目は純粋に疑問を感じていた目だった。
「確かに悪い魔女がいるかもしれない。けど逆に良い魔女だっているかもしれない!」
「ッ!?」
あの子の発言を聞いてふとママを思い出した。優しくて強い私の大好きなママ。
しかし次にミシェーラの言葉を思い出した。『魔女殺しのアイリス』という言葉を。
真実かどうかは未だに分からないが万が一同族である魔女を殺したのならそれは良い魔女と呼べるのか? 分からない。一体良い魔女とはなんなのか?
「みんな魔女に対して偏見を持ってるからいけないんだよ! 話し合えばきっと分かり合えるかもしれない! だから私はイーリスちゃんとは戦いたくないな。イーリスちゃんならきっと良い魔女になれると思うから」
「ッ!?」
あの子は悟ったように微笑んでいるがそれが私にとっては腹ただしく思えてきた。
「…知ったような口を!」
「イーリス…ちゃん?」
あまりにも腹ただしくなり思わず戦闘衣装に変身してしまった。あの時はコイツに私の何が分かるの?! と苛立ちを感じてしまっていたからだ。友達に裏切られ大好きなママも失った私の気持ちなんか分かる訳がない!
「アンタなんかに、私の気持ちが分かってたまるものか!!」
そして溜め込んでいた怒りをあの子にぶつけた。出会って1、2ヶ月も経たない奴に何が分かるのか?
「うん。分からないよ。イーリスちゃんが悲しそうにしている理由が」
「?! 私が…悲しんでる?」
「うん。初めて会った時からイーリスちゃん、とても悲しそうな目してたよ」
「……」
気づかなかった。私は自分で冷たい目をしていると思っていた。いや、そうしてきたつもりだった。だがあの子には違って見えていたようだ。
「だから私、イーリスちゃんの力になりたいの! 何が出来るかは分からないけど、困った事があったら頼って欲しいな」
そう言ってあの子は魔法少女の姿に変身して優しく微笑んだ。立場が違えどそんな事は関係ないというあの子なりの意図があったのだろう。
「……私は、別に……」
しかし私は困惑していた。ミシェーラの二の舞にならんと周りに関心を持たないようにしてきたのに、私の心は揺れ動いていた。どうして? どうしたらいいの?
コンコン
「梓ー、コンビニ行くけどなんか買ってきて欲しいもの……」
私が困惑する中、あの男が来たせいでそれどころではなくなったんだわね。そこから一悶着あったもののその甲斐あってあの子と友達と言っていいかは分からないけど、仲良くなれた気がする。もう一度だけ信じてみても良いかなと思えてきたのだ。
---「…うよ」
「んん?」
私がいきなり喋り出してきたからミシェーラは小首を傾げた。私はふと数時間前の事を思い出していた。
---皆を追い返した後、あの子は何度も申し訳なさそうに私に謝ってきた。別にあの子が謝る必要はないのだけれど。その後、あの子はこんな事を言ってきた。
「もしよかったら、また遊びに来てもいいかな?」
私は「別にいいけど」と適当に返したがあの子は嬉しそうな表情をして帰っていった。よっぽど楽しみにしているのだろう。
---その時の事を思い出した時、私は思った。あの子があれだけ楽しみにしているのなら今、ココを奪われるわけにはいかない!
こんなのただの友達との口約束だと思われるかもしれないが私にとってはそれだけで十分な活力になった。
「そうよ。あの子と約束したのよ。またココで遊ぼうって。だから今、アンタに負けるわけにはいかないのよ!」
「……?」
ミシェーラには何を言っているのか分からないようだった。まあアイツに分かるわけもない。私がこの場所を守りたい理由を。
「ママの為だけじゃない! あの子の、梓との約束を守る為に私は、この場所を守ってみせる!!」
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