【R18】孤高の王子は夜伽の乙女に恋をする。

貴方のことが知りたい

ユダは柄にもなく緊張していた。経験人数は数知れないが、相手を思いやるセックスなどただの一度もしたことがなかったからだ。その点では、ある意味自分も初めての体験だと言える。


ベッドに向かい合って座り、どうしたものかと思案していると、クロエがおもむろに口を開いた。


「ユダ様、私、ユダ様のことが知りたいです」
「……口を開いたと思ったら、いったい何を言い出すのだ」
「いけませんか……？」
「お前は変わった娘だな。今までの夜伽の女たちとは大違いだ。いちいち俺の手を煩わせる」
「あの、ごめんなさい」
「でもまあ、退屈はしない」


付け加えるように言うと、クロエは嬉しそうににっこりと微笑んだ。


「俺の何が知りたい？」
「ええと……じゃあ今日は、好きな色を」


驚きのあまり目を見開き、クロエの顔をまじまじと見つめながら、それでもユダは丁寧に答えてやった。


「……青だ。深い色がいいな」
「素敵ですね」


お世辞ではなさそうな真剣な顔でクロエは頷く。ユダはこれではらちがあかないと思い、前触れもなく彼女の頰に触れてみた。


「……！」


彼女はぴくん、と身を震わせ、じっと目を閉じている。まるで耳を澄ませて心臓の音を聞きわけようとしているみたいだ。そのまま無言で顔を近づけ、唇を重ねてみる。


さっき好きな色を尋ねてきたばかりの無邪気な唇は、あたたかくて、やわらかかった。そのまま唇の隙間から舌を差し入れて、クロエの濡れた舌をさぐる。心地よくて止まらなくなる。


静かな部屋の中に、舌が絡み合う淫靡な音が響いた。



どのくらいそうしていたか分からないが、ユダが身を離すと、力が抜けたようにクロエがもたれかかってきた。体が熱い。

思うところがあり、はやくもそのスカートの内部に手を伸ばしてみる。わずかな抵抗があったが無視すると大人しくなった。

指先を差し入れるまでもなく、そこは下着越しにもわかるくらい濡れていた。



「おい、すっかり染みてしまっているじゃないか」
「あ、あの……申し訳ありません」
「キスしただけで感じてしまったのか？」
「あの……ユダ様に抱いていただけると思ったら、嬉しくて……ドキドキして……」
「いやらしい娘だ。これを見ろ」


ユダが見せつけたその指先には、根元までぬめった透明な液がまとわりついている。糸を引くそれを見て、少女の顔は真っ赤になった。恥ずかしそうに目を瞑って俯く。


「すっかり準備は出来ているらしいな。でも、まだ駄目だ」
「そ、んな……」
「俺は女の身体をさほど触ったことがない。いま、なぜか、お前を抱きしめてみたいと思っている」
「え？」


その言葉の意味をはかりかねて、クロエが困惑した表情を浮かべる。それもそうだろう。必要最低限しか触れ合わず、ただ吐き出すだけの情事をこれまでこなしてきたことなど、彼女が想像できるはずもない。


クロエを好きだとか、大切にしたいとか、そういう思いはユダの中にはなかった。でも、もっと触れてみたいと思う。それがどういうことなのかはわからない。


ていねいに服を脱がせると、後ろから抱きすくめてみた。身体全体が柔らかくて今にも折れそうだ。欲望のまま、その豊満な胸に手を伸ばしてみる。


「あ、やっ、ユダ様、」


ユダの長い指が膨らんだ胸の先端をかすめたとき、熱を帯びた甘い声がクロエの口から溢れた。
その声を聞いた瞬間、己のモノがいっそう反応するのをユダは感じた。


今までこんな気持ちになったことはなかった。胸の奥が締め付けられるようだ。