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第二章 防衛都市までの道
護衛依頼は少し辛い
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「お兄ちゃん、また交易都市に来たら、海亀亭に泊まってよ! 絶対だからね!」
涙を浮かべているリリーとの別れは辛かった。それなのに、ジャスが揶揄う。
「リリーちゃん、俺とルシウスの方が長い付き合いなのに、酷いよ」
リリーが慌てて「ルシウスさんとジャスさんも泊まってよ!」と言う。
「アレクさん、本当に感謝しているんだ! これ、日持ちする惣菜パンを焼いたから、持っていってくれ!」
海亀亭の家族に見送られて、カインズ商会へと向かう。
泥酔していたけど、クレアもシャムスもちゃんとルシウスの業務連絡を聞いていたみたいだ。
「えっ、馬じゃないじゃん!」
『クレイジーホース』は、騎馬隊だと聞いていたけど、そこにいたのは脚が八本あるスレイプニル! 魔物だと思っていたよ。
「アレク、私の可愛いベィビィを侮辱したら、許さないよ」
クレアに謝ったけど、顔も怖い! 可愛いとは思えないけど、口を閉じておこう。
「皆、揃ったな! 私はカインズだ。今回は、息子のグレアムが商隊の責任者になる。若輩者だが、宜しく頼む。それと助手として、ハモンドを付けるから、そちらとも相談して欲しい! 安全に防衛都市まで行ける事を祈っている」
紹介されたグレアムは、若いけどしっかりしていそう。どこかの馬鹿坊とは大違い!
でも、この商隊の実質的な責任者は、ハモンドだと全員が認識したよ。できる商人のオーラが出ているからね。
モース支配人が番頭なら、ハモンドは二番番頭だね。
商品や食料を積んだ荷馬車が十台、それと普通の馬車が一台。そこにグレアムとハモンドが乗るみたい。でも、その馬車の上にも荷物が載っている。
荷馬車、馬車には御者がいる。つまり、被護衛者が十三人だ。護衛は、『草原の風』四人、『クレイジーホース』四人、『星の海』三人で、総勢二十四人、大人数だね!
輿入れ行列、サーシャ、男爵、カリン、護衛十人! こちらの方が少人数だけど、馬車一台の他は騎士だったから、速度は速かったかも?
荷馬車を囲んで小隊が出発した。『クレイジーホース』はスレイプニルに乗っているから、『草原の風』と私達が歩きだ。
「アレク、疲れたら、御者台に乗せて貰っても良いんだぞ」
ジャス、まだ門を出てないよ!
「おっ、アレク! 防衛都市に行くのか?」
ええっと、名前は……。
「マイクさん! さようなら!」
やっと名前を覚えた兵士に手を振って、交易都市を出発する。
「俺たちは、先行する!」
斥候の『草原の風』は、本当に走るのが早い。道の、左右に分かれて、消えていった。
『クレイジーホース』は、商隊の前に二人、後ろに二人と分かれて、護衛している。
『星の海』は、商隊の荷馬車の横を歩きながら警戒するのだけど、この辺は道も整備してあるし、気が緩んでしまう。
「アレク、ぼんやりするなよ!」ジャスに注意された。
「脳内地図!」と道を検索するけど、森の浅い所には赤い点はない。
「魔法ばかりに頼らず、目と勘を鍛えた方が良いぞ」
ルシウスが立ち止まって脳内地図を見ている私を追い越しながら注意する。
「そうだけど、魔法も鍛えないと使えないんだ。きっと、この魔法がレベルアップしたら、ダンジョンでも便利だと思うよ」
後ろを振り向いて、ルシウスが「そうなのか?」と話に乗ってくる。
南の大陸の人は、魔法について詳しくないみたい。まぁ、私もだけどさ。
「身体を鍛えるのと同じだよ。魔法も使って鍛えないと、掛かりも悪いし、範囲も小さいんだ。常識だと思っていたけど?」
少し考えていたルシウスだけど、口を開く。
「やはり、アレクは、身体強化と弓と冒険者の基本技術を先に磨いた方が良い。魔法よりレベルが低くて、アンバランスだ」
それは分かるけど、私が魔法使いだと忘れていそう。
商隊の進むスピードは遅い。身体強化を少し使うだけで、横を歩くのは問題ない。ただ、魔法を使わないで警戒し続けるのが疲れた。
かなり進んで、昼休憩になった。これは、人間の為ではなく、馬の為みたい。
「おぃ、馬の世話はできるか?」
ジャスに聞かれたから、頷く。サーシャは、修道院の馬の世話もしていたからね。
「手伝おう!」
冒険者達も、馬の世話を手伝うみたい。荷馬車十台と馬車一台。馬は二十二頭。
御者の半分は、お茶を沸かしたり、軽食の準備をしている。『クレイジーホース』のメンバーはスレイプニルの世話をしている。
『草原の風』と『星の海』は、馬の世話を手伝うのだけど、水をいっぱい飲むんだな。ああ、北の大陸より暑いからか。
「昼は、餌はやらなくても、そこらへんの草を食べるから平気だ」
御者がそう言うのだから、皆と一緒に、お茶を貰って、パンを齧る。
本当に、馬を休ませる必要があるから、人間も休憩する感じだ。
冒険者も、基本的に昼は食べない事が多い。任務中はね! 休日は、朝もごろごろして、昼も食べるけどさ。
商隊の責任者のグレアムとハモンドも馬車から降りて、お茶を飲みながら、地図を見ている。
「今日、四個目の休憩地まで進めたら良いな」
「いや、初日だから、まだ魔物もそんなにでないだろうし、五個目まで進むんじゃないか?」
ルシウスとジャスの会話の意味がわからない。
「アレク、ほらここは広くなっているだろう。こんなふうに道の横に休憩できる場所が設置されてあるのさ。交易都市と防衛都市を結ぶ道は、通る商隊が多いから、他の護衛任務よりは楽だぞ」
ルシウスに説明して貰ったけど、前世のサービスエリアみたいな施設はない。
特に、トイレ! 男どもは、森に少し入って用を足している。
クレアとルシアはどうしているのだろう? ルシアは、斥候に行ったついでにしているのかも? でも、クレアはずっとスレイプニルに乗っているよね?
なんて、人の心配をしている場合じゃない。休憩中にしておこう!
森に入って、転移して奥で用をたす。
ふぅ、護衛任務、ちょっと辛いかも?
涙を浮かべているリリーとの別れは辛かった。それなのに、ジャスが揶揄う。
「リリーちゃん、俺とルシウスの方が長い付き合いなのに、酷いよ」
リリーが慌てて「ルシウスさんとジャスさんも泊まってよ!」と言う。
「アレクさん、本当に感謝しているんだ! これ、日持ちする惣菜パンを焼いたから、持っていってくれ!」
海亀亭の家族に見送られて、カインズ商会へと向かう。
泥酔していたけど、クレアもシャムスもちゃんとルシウスの業務連絡を聞いていたみたいだ。
「えっ、馬じゃないじゃん!」
『クレイジーホース』は、騎馬隊だと聞いていたけど、そこにいたのは脚が八本あるスレイプニル! 魔物だと思っていたよ。
「アレク、私の可愛いベィビィを侮辱したら、許さないよ」
クレアに謝ったけど、顔も怖い! 可愛いとは思えないけど、口を閉じておこう。
「皆、揃ったな! 私はカインズだ。今回は、息子のグレアムが商隊の責任者になる。若輩者だが、宜しく頼む。それと助手として、ハモンドを付けるから、そちらとも相談して欲しい! 安全に防衛都市まで行ける事を祈っている」
紹介されたグレアムは、若いけどしっかりしていそう。どこかの馬鹿坊とは大違い!
でも、この商隊の実質的な責任者は、ハモンドだと全員が認識したよ。できる商人のオーラが出ているからね。
モース支配人が番頭なら、ハモンドは二番番頭だね。
商品や食料を積んだ荷馬車が十台、それと普通の馬車が一台。そこにグレアムとハモンドが乗るみたい。でも、その馬車の上にも荷物が載っている。
荷馬車、馬車には御者がいる。つまり、被護衛者が十三人だ。護衛は、『草原の風』四人、『クレイジーホース』四人、『星の海』三人で、総勢二十四人、大人数だね!
輿入れ行列、サーシャ、男爵、カリン、護衛十人! こちらの方が少人数だけど、馬車一台の他は騎士だったから、速度は速かったかも?
荷馬車を囲んで小隊が出発した。『クレイジーホース』はスレイプニルに乗っているから、『草原の風』と私達が歩きだ。
「アレク、疲れたら、御者台に乗せて貰っても良いんだぞ」
ジャス、まだ門を出てないよ!
「おっ、アレク! 防衛都市に行くのか?」
ええっと、名前は……。
「マイクさん! さようなら!」
やっと名前を覚えた兵士に手を振って、交易都市を出発する。
「俺たちは、先行する!」
斥候の『草原の風』は、本当に走るのが早い。道の、左右に分かれて、消えていった。
『クレイジーホース』は、商隊の前に二人、後ろに二人と分かれて、護衛している。
『星の海』は、商隊の荷馬車の横を歩きながら警戒するのだけど、この辺は道も整備してあるし、気が緩んでしまう。
「アレク、ぼんやりするなよ!」ジャスに注意された。
「脳内地図!」と道を検索するけど、森の浅い所には赤い点はない。
「魔法ばかりに頼らず、目と勘を鍛えた方が良いぞ」
ルシウスが立ち止まって脳内地図を見ている私を追い越しながら注意する。
「そうだけど、魔法も鍛えないと使えないんだ。きっと、この魔法がレベルアップしたら、ダンジョンでも便利だと思うよ」
後ろを振り向いて、ルシウスが「そうなのか?」と話に乗ってくる。
南の大陸の人は、魔法について詳しくないみたい。まぁ、私もだけどさ。
「身体を鍛えるのと同じだよ。魔法も使って鍛えないと、掛かりも悪いし、範囲も小さいんだ。常識だと思っていたけど?」
少し考えていたルシウスだけど、口を開く。
「やはり、アレクは、身体強化と弓と冒険者の基本技術を先に磨いた方が良い。魔法よりレベルが低くて、アンバランスだ」
それは分かるけど、私が魔法使いだと忘れていそう。
商隊の進むスピードは遅い。身体強化を少し使うだけで、横を歩くのは問題ない。ただ、魔法を使わないで警戒し続けるのが疲れた。
かなり進んで、昼休憩になった。これは、人間の為ではなく、馬の為みたい。
「おぃ、馬の世話はできるか?」
ジャスに聞かれたから、頷く。サーシャは、修道院の馬の世話もしていたからね。
「手伝おう!」
冒険者達も、馬の世話を手伝うみたい。荷馬車十台と馬車一台。馬は二十二頭。
御者の半分は、お茶を沸かしたり、軽食の準備をしている。『クレイジーホース』のメンバーはスレイプニルの世話をしている。
『草原の風』と『星の海』は、馬の世話を手伝うのだけど、水をいっぱい飲むんだな。ああ、北の大陸より暑いからか。
「昼は、餌はやらなくても、そこらへんの草を食べるから平気だ」
御者がそう言うのだから、皆と一緒に、お茶を貰って、パンを齧る。
本当に、馬を休ませる必要があるから、人間も休憩する感じだ。
冒険者も、基本的に昼は食べない事が多い。任務中はね! 休日は、朝もごろごろして、昼も食べるけどさ。
商隊の責任者のグレアムとハモンドも馬車から降りて、お茶を飲みながら、地図を見ている。
「今日、四個目の休憩地まで進めたら良いな」
「いや、初日だから、まだ魔物もそんなにでないだろうし、五個目まで進むんじゃないか?」
ルシウスとジャスの会話の意味がわからない。
「アレク、ほらここは広くなっているだろう。こんなふうに道の横に休憩できる場所が設置されてあるのさ。交易都市と防衛都市を結ぶ道は、通る商隊が多いから、他の護衛任務よりは楽だぞ」
ルシウスに説明して貰ったけど、前世のサービスエリアみたいな施設はない。
特に、トイレ! 男どもは、森に少し入って用を足している。
クレアとルシアはどうしているのだろう? ルシアは、斥候に行ったついでにしているのかも? でも、クレアはずっとスレイプニルに乗っているよね?
なんて、人の心配をしている場合じゃない。休憩中にしておこう!
森に入って、転移して奥で用をたす。
ふぅ、護衛任務、ちょっと辛いかも?
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