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第三章 新航路発見
23 スローンは可愛いな~
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ショウは自分の気持ちに正直にララとデートして、幸せな気分で離宮に帰った。
『ショウ! メリルが卵を産むよ!』
帰るや否や、サンズからの呼び声に王宮の竜舎に駆けつける。
「父上、メリルが卵を産むとサンズから聞いて……」
いつもより沢山の藁をびっしり敷き詰めた竜舎の中に、メリルと寄り添うアスランが扉に目を向けたが、ショウとサンズと知って入って良いと許可を与えた。
『卵、産まれたんだね』
サンズは自分より年下の竜がいなかったので、嬉しくて仕方がない。メリルはヨッコラショと立ち上がって、灰色がかった青色の卵を見せてくれた。
『メリル、おめでとう! 綺麗な卵だね』
巨大な竜の卵の割には、人間の頭位の大きさは小さく思えて、孵りたての子竜は可愛いだろうなぁとショウは想像するだけでワクワクする。
『いつ頃、卵は孵るの?』
綺麗な卵をもっと見ていたいのに、メリルはすぐに上に座ってしまった。
『二週間ぐらいで孵るよ。サンズは子竜の兄になるのだから、色々と教えるんだよ』
サンズは得意満面で頷いたが、アスランはショウを竜舎から追い出した。
「ショウ、卵が孵るまで、あまり竜舎に来るな。メリルが神経質になるからな」
卵を傷つけたりしないのにとショウは不満だけど、メリルが神経質になるのなら竜舎に来るのは控えようと頷く。
サンズと離宮の竜舎に帰って、ショウは何故メリルが神経質になるのかと尋ねた。
『竜は子竜でも丈夫だよ、誰も傷つけることはできない。でも、卵の時が一番弱いんだ。だから、メリルは卵が孵るまで側を一瞬も離れない。二週間、餌も食べないんだよ。気が立つさぁ~』
食いしん坊のサンズの心よりの叫びにショウは苦笑して、卵を産んだら鶏ぐらいは差し入れてやろうと思った。
『せめて子山羊ぐらいにしてよ』
『え~、子山羊……竜舎で子山羊を食べるのはちょっと……えっ? サンズって僕の考えを読んでいるの?』
前から、声が聞こえない程遠くからでも、サンズを呼び寄せられるのは絆のせいだけなのかなと疑問に思っていたショウは、何度か自分の思考を読んでいるのではと感じていた。
『さあ、感じるだけだよ。ショウの心と、私の心が絆で結び付いているからかな? それにショウは顔にでやすいよ』
ショウはこれから外交とかの場面で、顔に思った事を出さないようにとフラナガン宰相に言われたのを思い出して、竜にも言われるとドッと落ち込む。
「サンズにも気持ちが顔に出ていると言われるなんて、ショックだな。フラナガン宰相を見習ってにっこり笑ってみようかなぁ~。父上が常に傲慢な態度をとるのは、あれは考えを読ませない為なのかな? いや、あれは性格だよね。傲慢そのもの、唯我独尊男だもの。メルト伯父上の無表情は不気味だし、やはり笑顔かな?」
ショウは部屋で、ポーカーフェイスの練習を鏡に向かってしたが、にやにや笑う自分の顔を眺めていても無意味だとベッドに横たわった。
「僕は好奇の目で見られても仕方無いけど、ララやロジーナやメリッサが軽く見られるのは嫌だな。帝国三国は、一夫多妻制に対して偏見があるもの。男はエロ好きみたいに思われても格好悪いだけで実害はないけど、女の子は誰でもOKみたいに思われるのは嫌だな。彼女達を守る為にも、相手に舐められないようにしなくちゃいけないんだ。でも、手の内を知らせてはいけないし、難しいよなぁ」
ショウは外交の難しさを考えながら、眠りについた。
ドレス作りの為にユングフラウに向けて出帆するまで、ショウはフラナガン宰相や、外交官から帝国三国の細かい情報や、人間関係をレクチャーされた。
「元々、三国は婚姻を繰り返していますから、ややこしいですが覚えて下さいね」
ショウは記憶力に自信があったので、覚えるのは平気だったが、一つだけ確認しておきたかった。
「帝国三国は、一夫一妻制でしょ。公式な場には同じ相手を同伴した方が、相手国としては扱い易いのではないですか? まして今回はスチュワート皇太子の結婚式だから、彼方側としては受け入れるのに困惑するのではないでしょうか」
フラナガン宰相は難しい問題だと、少し考えて口を開く。
「カザリア王国側から見れば、ショウ王子がララ様だけを同伴されている方が接待は楽でしょうな。自国で一夫多妻制であろうと、その場は相手国に合わせて一夫一妻制風に振る舞うのは、駐在大使達も慣例化しています」
やっぱりと、ショウは三人を連れて行く事になってからの懸念が当たっていたと思った。
「今更、留守番は可哀想ですので同行しますが、お目出度い席に波風を起こす必要も無いでしょう」
フラナガン宰相も初めはアスラン王が兄上達から自分の娘達を公平に扱うように苦情を言われて、面倒臭いから受け入れたのだと思っていたが、前からの懸案を解決する良い機会だと考えられたのではと思うようになった。
「東南諸島連合王国は王家同士の交流もなく、外交は駐在大使任せになっています。アスラン王は、次代のショウ王子に変革を望んでいらっしゃるのでしょう」
「変革? なら、一夫一妻制にしたら、旧帝国三国や、それに付随している小国とは付き合い易いのではないでしょうか? 我が国でも、庶民は実質は一夫一妻なのですから問題ないでしょう」
フラナガン宰相は、ショウ王子と歴史や文化を論じるつもりは無かった。
「旧帝国三国の一夫一妻制も、問題が有るのはご存知でしょう。現に、ローラン王国のルドルフ王はゲオルク王の側室が産んだのを、王妃が産んだとして皇太子に据えたのですよ。それにカザリア王国のエドアルド王も、愛人に庶子を産ませています。東南諸島の結婚制度もいずれは変化していくでしょうが、今はその話ではありません」
上手くいけば許嫁をキャンセルできるかなと思っていたが、そうは都合よくできないなと、ショウは最後の足掻きを諦めた。
「確かに旧帝国三国は一夫一妻制で、王家同士の婚姻も難しいですが、交友関係も進んでいません。スチュワート皇太子の結婚を機会にショウ王子には、各国の王族と交友関係を結んで頂きたいのです。その際にララ様お一人だけを紹介して、宜しいと思われますか? 今後、外遊に招待された時も、ララ様のみに公務を任せられるのですか?」
「それは……そういうやり方もあるとは思いますが、そこまで考えていませんでした。ただ、カザリア王国では、郷に入りては郷に従う方が良いかなと思っただけです」
フラナガン宰相は、若いショウ王子が気まずい思いをするかもしれないのは同情したが、アスラン王が拒否した王家同士の付き合いを引き受けて貰うチャンスを逃す気持ちはなかった。
「ショウ王子の気持ちはわかりますが、帝国三国以外のゴルチェ大陸の国々の多くは一夫多妻制なのですよ。彼方には彼方の歴史や価値観があり、此方には此方の考え方があるのを示しても、良い時期なのかもしれません」
狐の化け物みたいなフラナガン宰相に、卵の欠片をくっつけているショウが太刀打ちできるわけもなかった。アスラン王が竜舎にメリルと籠もりきりなので、丁度よいとフラナガン宰相に実務にも付き合わされて、踏んだり蹴ったりのショウだった。
『ショウ、卵が孵るよ!』
この日もフラナガン宰相にレイテ港の埋め立て埠頭の莫大な予算をどこから出すのかと詰問されて、過去の予算の見直しをさせられていたショウはサンズの呼び声に飛び上がる。
「これ、ショウ王子! 何処に行かれるのですか」
フラナガン宰相は逃亡の常習犯のアスラン王のようにさせまいと、自分の執務室に机を置かせて予算の見直しをさせていた。
「メリルの卵が孵るのです! 行かなくては」
「子竜なんて、何時でも見れます」
「卵から孵る瞬間を見たいんだ!」
引き止めるフラナガン宰相を振り切って、ショウは竜舎へ走った。
竜舎の中では、藁の上の卵がグラグラ揺れていた。
「コツン、コツン……コツン、コツン……」
卵を割ろうと必死の子竜が中から叩くのを、メリルとアスランは真剣に見つめていた。
『ショウ、私もこうして孵ったんだね』
『そうだろうね、あっ! ヒビが入った!』
卵のヒビは縦にピキンと伸びて、中から濡れた子竜が転がり出た。
『スローン、私がお前の親のメリルだよ』
『キュイ~ン、キュイ~ン』
ショウは可愛いスローンに夢中だったが、強烈な空腹感を感じた。
『サンズ? お腹が空いてるの?』
『私は三日前に食事をしたら、あっ、スローンがお腹が好いてるんだ。卵の中では、食べれないものね』
竜舎の飼育係が、肉を細かくミンチにしたのをボールに入れて持って来た。スローンはつんのめるようにヨタヨタ歩いて、ボールに顔ごと突っ込んでバグバグ食べ出した。
『メリル、お前も空腹だろう。サンズとショウが、スローンを見ていてくれる。食事をしよう』
卵を守って食事もろくに食べてなかったメリルは、スローンが腹いっぱいになったのか長い舌で鼻や顔のあちこちに付いたミンチを舐めているのを見ると、二週間ぶりの本格的な食事に向かった。
『ほら、サンズ! スローンはお腹いっぱいになって寝てしまったよ~可愛いなぁ』
『ショウは、私の絆の竜騎士なんだからね。スローンは可愛いけど、そこの所は忘れないでね』
そう言いつつも、子竜に甘い竜の習性で、寝てしまったスローンがなめ残したミンチの欠片を、綺麗に舐めとってやるサンズだった。
『ショウ! メリルが卵を産むよ!』
帰るや否や、サンズからの呼び声に王宮の竜舎に駆けつける。
「父上、メリルが卵を産むとサンズから聞いて……」
いつもより沢山の藁をびっしり敷き詰めた竜舎の中に、メリルと寄り添うアスランが扉に目を向けたが、ショウとサンズと知って入って良いと許可を与えた。
『卵、産まれたんだね』
サンズは自分より年下の竜がいなかったので、嬉しくて仕方がない。メリルはヨッコラショと立ち上がって、灰色がかった青色の卵を見せてくれた。
『メリル、おめでとう! 綺麗な卵だね』
巨大な竜の卵の割には、人間の頭位の大きさは小さく思えて、孵りたての子竜は可愛いだろうなぁとショウは想像するだけでワクワクする。
『いつ頃、卵は孵るの?』
綺麗な卵をもっと見ていたいのに、メリルはすぐに上に座ってしまった。
『二週間ぐらいで孵るよ。サンズは子竜の兄になるのだから、色々と教えるんだよ』
サンズは得意満面で頷いたが、アスランはショウを竜舎から追い出した。
「ショウ、卵が孵るまで、あまり竜舎に来るな。メリルが神経質になるからな」
卵を傷つけたりしないのにとショウは不満だけど、メリルが神経質になるのなら竜舎に来るのは控えようと頷く。
サンズと離宮の竜舎に帰って、ショウは何故メリルが神経質になるのかと尋ねた。
『竜は子竜でも丈夫だよ、誰も傷つけることはできない。でも、卵の時が一番弱いんだ。だから、メリルは卵が孵るまで側を一瞬も離れない。二週間、餌も食べないんだよ。気が立つさぁ~』
食いしん坊のサンズの心よりの叫びにショウは苦笑して、卵を産んだら鶏ぐらいは差し入れてやろうと思った。
『せめて子山羊ぐらいにしてよ』
『え~、子山羊……竜舎で子山羊を食べるのはちょっと……えっ? サンズって僕の考えを読んでいるの?』
前から、声が聞こえない程遠くからでも、サンズを呼び寄せられるのは絆のせいだけなのかなと疑問に思っていたショウは、何度か自分の思考を読んでいるのではと感じていた。
『さあ、感じるだけだよ。ショウの心と、私の心が絆で結び付いているからかな? それにショウは顔にでやすいよ』
ショウはこれから外交とかの場面で、顔に思った事を出さないようにとフラナガン宰相に言われたのを思い出して、竜にも言われるとドッと落ち込む。
「サンズにも気持ちが顔に出ていると言われるなんて、ショックだな。フラナガン宰相を見習ってにっこり笑ってみようかなぁ~。父上が常に傲慢な態度をとるのは、あれは考えを読ませない為なのかな? いや、あれは性格だよね。傲慢そのもの、唯我独尊男だもの。メルト伯父上の無表情は不気味だし、やはり笑顔かな?」
ショウは部屋で、ポーカーフェイスの練習を鏡に向かってしたが、にやにや笑う自分の顔を眺めていても無意味だとベッドに横たわった。
「僕は好奇の目で見られても仕方無いけど、ララやロジーナやメリッサが軽く見られるのは嫌だな。帝国三国は、一夫多妻制に対して偏見があるもの。男はエロ好きみたいに思われても格好悪いだけで実害はないけど、女の子は誰でもOKみたいに思われるのは嫌だな。彼女達を守る為にも、相手に舐められないようにしなくちゃいけないんだ。でも、手の内を知らせてはいけないし、難しいよなぁ」
ショウは外交の難しさを考えながら、眠りについた。
ドレス作りの為にユングフラウに向けて出帆するまで、ショウはフラナガン宰相や、外交官から帝国三国の細かい情報や、人間関係をレクチャーされた。
「元々、三国は婚姻を繰り返していますから、ややこしいですが覚えて下さいね」
ショウは記憶力に自信があったので、覚えるのは平気だったが、一つだけ確認しておきたかった。
「帝国三国は、一夫一妻制でしょ。公式な場には同じ相手を同伴した方が、相手国としては扱い易いのではないですか? まして今回はスチュワート皇太子の結婚式だから、彼方側としては受け入れるのに困惑するのではないでしょうか」
フラナガン宰相は難しい問題だと、少し考えて口を開く。
「カザリア王国側から見れば、ショウ王子がララ様だけを同伴されている方が接待は楽でしょうな。自国で一夫多妻制であろうと、その場は相手国に合わせて一夫一妻制風に振る舞うのは、駐在大使達も慣例化しています」
やっぱりと、ショウは三人を連れて行く事になってからの懸念が当たっていたと思った。
「今更、留守番は可哀想ですので同行しますが、お目出度い席に波風を起こす必要も無いでしょう」
フラナガン宰相も初めはアスラン王が兄上達から自分の娘達を公平に扱うように苦情を言われて、面倒臭いから受け入れたのだと思っていたが、前からの懸案を解決する良い機会だと考えられたのではと思うようになった。
「東南諸島連合王国は王家同士の交流もなく、外交は駐在大使任せになっています。アスラン王は、次代のショウ王子に変革を望んでいらっしゃるのでしょう」
「変革? なら、一夫一妻制にしたら、旧帝国三国や、それに付随している小国とは付き合い易いのではないでしょうか? 我が国でも、庶民は実質は一夫一妻なのですから問題ないでしょう」
フラナガン宰相は、ショウ王子と歴史や文化を論じるつもりは無かった。
「旧帝国三国の一夫一妻制も、問題が有るのはご存知でしょう。現に、ローラン王国のルドルフ王はゲオルク王の側室が産んだのを、王妃が産んだとして皇太子に据えたのですよ。それにカザリア王国のエドアルド王も、愛人に庶子を産ませています。東南諸島の結婚制度もいずれは変化していくでしょうが、今はその話ではありません」
上手くいけば許嫁をキャンセルできるかなと思っていたが、そうは都合よくできないなと、ショウは最後の足掻きを諦めた。
「確かに旧帝国三国は一夫一妻制で、王家同士の婚姻も難しいですが、交友関係も進んでいません。スチュワート皇太子の結婚を機会にショウ王子には、各国の王族と交友関係を結んで頂きたいのです。その際にララ様お一人だけを紹介して、宜しいと思われますか? 今後、外遊に招待された時も、ララ様のみに公務を任せられるのですか?」
「それは……そういうやり方もあるとは思いますが、そこまで考えていませんでした。ただ、カザリア王国では、郷に入りては郷に従う方が良いかなと思っただけです」
フラナガン宰相は、若いショウ王子が気まずい思いをするかもしれないのは同情したが、アスラン王が拒否した王家同士の付き合いを引き受けて貰うチャンスを逃す気持ちはなかった。
「ショウ王子の気持ちはわかりますが、帝国三国以外のゴルチェ大陸の国々の多くは一夫多妻制なのですよ。彼方には彼方の歴史や価値観があり、此方には此方の考え方があるのを示しても、良い時期なのかもしれません」
狐の化け物みたいなフラナガン宰相に、卵の欠片をくっつけているショウが太刀打ちできるわけもなかった。アスラン王が竜舎にメリルと籠もりきりなので、丁度よいとフラナガン宰相に実務にも付き合わされて、踏んだり蹴ったりのショウだった。
『ショウ、卵が孵るよ!』
この日もフラナガン宰相にレイテ港の埋め立て埠頭の莫大な予算をどこから出すのかと詰問されて、過去の予算の見直しをさせられていたショウはサンズの呼び声に飛び上がる。
「これ、ショウ王子! 何処に行かれるのですか」
フラナガン宰相は逃亡の常習犯のアスラン王のようにさせまいと、自分の執務室に机を置かせて予算の見直しをさせていた。
「メリルの卵が孵るのです! 行かなくては」
「子竜なんて、何時でも見れます」
「卵から孵る瞬間を見たいんだ!」
引き止めるフラナガン宰相を振り切って、ショウは竜舎へ走った。
竜舎の中では、藁の上の卵がグラグラ揺れていた。
「コツン、コツン……コツン、コツン……」
卵を割ろうと必死の子竜が中から叩くのを、メリルとアスランは真剣に見つめていた。
『ショウ、私もこうして孵ったんだね』
『そうだろうね、あっ! ヒビが入った!』
卵のヒビは縦にピキンと伸びて、中から濡れた子竜が転がり出た。
『スローン、私がお前の親のメリルだよ』
『キュイ~ン、キュイ~ン』
ショウは可愛いスローンに夢中だったが、強烈な空腹感を感じた。
『サンズ? お腹が空いてるの?』
『私は三日前に食事をしたら、あっ、スローンがお腹が好いてるんだ。卵の中では、食べれないものね』
竜舎の飼育係が、肉を細かくミンチにしたのをボールに入れて持って来た。スローンはつんのめるようにヨタヨタ歩いて、ボールに顔ごと突っ込んでバグバグ食べ出した。
『メリル、お前も空腹だろう。サンズとショウが、スローンを見ていてくれる。食事をしよう』
卵を守って食事もろくに食べてなかったメリルは、スローンが腹いっぱいになったのか長い舌で鼻や顔のあちこちに付いたミンチを舐めているのを見ると、二週間ぶりの本格的な食事に向かった。
『ほら、サンズ! スローンはお腹いっぱいになって寝てしまったよ~可愛いなぁ』
『ショウは、私の絆の竜騎士なんだからね。スローンは可愛いけど、そこの所は忘れないでね』
そう言いつつも、子竜に甘い竜の習性で、寝てしまったスローンがなめ残したミンチの欠片を、綺麗に舐めとってやるサンズだった。
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