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第三章 新航路発見
5 ラシンドの忠告
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ショウは、カインズ船長とラシンドの屋敷にサンズで舞い降りた。九歳のマルシェは折角背が伸びたショウに追い付く勢いで大きくなっていたし、六歳のマリリンは母親のルビィの美貌を受け継いだ可愛いおしゃまさんになっていた。
「ショウ兄上~」
どちらかというと細身のショウは、骨太のマルシェに突進されて、受け止めるのに一歩後退してしまう。
「マルシェ、大きくなったなぁ~。手紙ありがとう、故郷を離れて心細くなった時に、読んで慰められたよ」
マルシェは大好きな兄上に喜んで貰えたと聞いて、嬉しそうな顔をする。
「今度の航海には、連れて行って貰えるのです。まだ、父上のお役には立てないかもしれないけど、外国に行くのは初めてだからワクワクしてます」
ショウは自分も八歳の時に、メーリングへ航海した時を思い出した。
「マルシェ、父上が一緒なら心配はいらないね。メーリングは大きな貿易港だから、しっかり見学して来たら良いよ」
兄上達の話が終わるまで待とうとしていたマリリンだったが、我慢できなくなってショウに纏わりついて、私の手紙も読んだのかと催促する。
「マリリンの手紙も楽しみにしていたよ。絵も上手だったし、文字も書けるようになったね」
ラシンドの第一夫人のハーミヤが、ショウがカインズ船長を伴って屋敷を訪れたのは主人と話があるからだろうと、マルシェとマリリンに捕まってしまっていたのを救出にきた。
「マルシェもマリリンも、お勉強の時間ですよ。ショウ様は父上とお話があるのです」
二人はハーミヤの言葉に素直に従ったので、待たせていたカインズ船長とラシンドの書斎へと向かう。
「これはショウ様、帰国なさったと聞いてはおりましたが、ゴルチェ大陸の西海岸の測量お疲れ様でした」
ショウは、流石にラシンドは耳が早いなと驚く。
「今日は、ユーカ号を売る報告に来たのです。ユーカ号を買うときにお世話になりましたので、カインズ船長に報告するべきだと勧められて」
ラシンドはそろそろ買い換える資金が貯まる頃だと思っていたので、目を輝かせる。お茶を出していたハーミヤは、船と聞いたら目の無いラシンドの昼からの予定は総てキャンセルだと覚悟する。
「カインズ船長は、義理堅い男ですね。ユーカ号を売って、中型船を買うのですか? それとも中古の大型船ですか?」
自分の船でも無いのに、目を輝かせて熱心にカインズ船長と話し合うラシンドに呆れて、お茶をハーミヤから受け取りながら謝った。
「ハーミヤさん、どうやらお仕事のお邪魔をしに来たみたいです。ラシンドさんは船が大好きなのですね」
ハーミヤは東南諸島の男は船に目が無いからと笑う。ショウもユーカ号は好きだけど、他の人の船を買うのにここまで熱心に討論出来ないなと、ラシンドとカインズ船長の話し合いに付いていけない。
二人は新しい中型船と中古の大型船と、どちらを買うかで揉めていたが、現品を見るべきだと立ち上がる。
「ハーミヤ、船屋に行ってくるよ」
やっぱり! とハーミヤは覚悟して見送る。
「竜は便利ですなぁ」
何度乗ってもカインズ船長は竜が便利だと認めなかったが、ラシンドは素直に早く船屋に着いたと喜ぶ。
船屋の主人はショウを見て、中古の大型船より、新しい中型船がお勧めだと、見せもしないうちから言い切る。
「なんで中古の大型船じゃいけないんだ」
船屋には何隻かの中古の大型船も有ったので、カインズ船長は見せようともしない船屋の主人に腹を立てる。ラシンドは船屋の主人の態度で、アスラン王を恐れているのだと察した。
「アスラン王に怯えているのでしょう」
ラシンドの言葉に、無意識に頷いた主人を見て、ショウは驚く。
「もしかして、父上が訪ねて来たとか……え~? マジで? でも、それはまだ僕が八歳だったからですよ。もうすぐ十四歳なんだから、大丈夫です。僕は新航路の発見の航海に出たいから、新造の中型船が良いかなと思ったけど、中古の大型船の方が儲けが大きいとカインズ船長は言うんだよね。どちらが良いのかなぁ」
ラシンドと船屋の主人は、新航路の発見の航海に商船で出ると言うショウに呆れてしまう。
「ちょっと、ショウ王子様、お待ち下さい。ユーカ号を売って、新航路の発見の航海に出るのですか? おい、船屋の主人、軍の造船所で新型の軍艦が作られてなかったか?」
「へい、新しい大型軍艦カドフェル号がもうすぐ出来上がります」
二人はアスラン王の考えにピンときた。
「カドフェル号は知ってますよ。カリン兄上から、レッサ艦長がカドフェル号の艦長に任命されたと聞きました。あっ!………」
ショウは思い出したくない話題まで思い出す。カリンは、父上がショウを後継者にする為に新航路の発見をさせて、皆に公表すると言っていたのだ。
眉をしかめたショウを、三人はじっと見つめる。
「何か思い当たる事でも?」
「何か有るなら、言って下さい。後からアスラン王に問い詰められるのは御免ですぜ」
ラシンドと船屋の主人は遠まわしに質問したが、当事者のカインズ船長はストレートに聞いてきた。
「なぁ、アスラン王はカドフェル号で新航路の発見航海をさせたいのだろう? 新航路の発見航海なんて、足の遅い商船でさせるわけ無いじゃないか。だから、中古の大型船を買おうぜ!」
顔色を変えたショウに、ラシンドは未だ噂を知らないのだと察した。
「ショウ王子、貴方は父王と話した方が良いですよ。船は、私達で選んでおきます」
ラシンドの忠告を受けて、顔色を悪くしたショウは父上と話して来ると、サンズと飛び去る。
カインズ船長は、オーナーが居なくて大丈夫かとラシンドに聞いたが、船のオーナーどころじゃ有りませんと返答されて首を捻った。
「ショウ王子は、アスラン王の後継者なのですよ。カインズ船長、これからは貴方が自分で考えて総てを決定していくことになります。ショウ様は国の舵取りで忙しくなりそうですからね」
カインズ船長はあの小動物みたいに可愛いかったショウが、恐ろしげなアスラン王の後継者になれるのかと案じたが、上の人の考えをどうこう言っても仕方ないと船選びに取り掛かる。
「ショウ兄上~」
どちらかというと細身のショウは、骨太のマルシェに突進されて、受け止めるのに一歩後退してしまう。
「マルシェ、大きくなったなぁ~。手紙ありがとう、故郷を離れて心細くなった時に、読んで慰められたよ」
マルシェは大好きな兄上に喜んで貰えたと聞いて、嬉しそうな顔をする。
「今度の航海には、連れて行って貰えるのです。まだ、父上のお役には立てないかもしれないけど、外国に行くのは初めてだからワクワクしてます」
ショウは自分も八歳の時に、メーリングへ航海した時を思い出した。
「マルシェ、父上が一緒なら心配はいらないね。メーリングは大きな貿易港だから、しっかり見学して来たら良いよ」
兄上達の話が終わるまで待とうとしていたマリリンだったが、我慢できなくなってショウに纏わりついて、私の手紙も読んだのかと催促する。
「マリリンの手紙も楽しみにしていたよ。絵も上手だったし、文字も書けるようになったね」
ラシンドの第一夫人のハーミヤが、ショウがカインズ船長を伴って屋敷を訪れたのは主人と話があるからだろうと、マルシェとマリリンに捕まってしまっていたのを救出にきた。
「マルシェもマリリンも、お勉強の時間ですよ。ショウ様は父上とお話があるのです」
二人はハーミヤの言葉に素直に従ったので、待たせていたカインズ船長とラシンドの書斎へと向かう。
「これはショウ様、帰国なさったと聞いてはおりましたが、ゴルチェ大陸の西海岸の測量お疲れ様でした」
ショウは、流石にラシンドは耳が早いなと驚く。
「今日は、ユーカ号を売る報告に来たのです。ユーカ号を買うときにお世話になりましたので、カインズ船長に報告するべきだと勧められて」
ラシンドはそろそろ買い換える資金が貯まる頃だと思っていたので、目を輝かせる。お茶を出していたハーミヤは、船と聞いたら目の無いラシンドの昼からの予定は総てキャンセルだと覚悟する。
「カインズ船長は、義理堅い男ですね。ユーカ号を売って、中型船を買うのですか? それとも中古の大型船ですか?」
自分の船でも無いのに、目を輝かせて熱心にカインズ船長と話し合うラシンドに呆れて、お茶をハーミヤから受け取りながら謝った。
「ハーミヤさん、どうやらお仕事のお邪魔をしに来たみたいです。ラシンドさんは船が大好きなのですね」
ハーミヤは東南諸島の男は船に目が無いからと笑う。ショウもユーカ号は好きだけど、他の人の船を買うのにここまで熱心に討論出来ないなと、ラシンドとカインズ船長の話し合いに付いていけない。
二人は新しい中型船と中古の大型船と、どちらを買うかで揉めていたが、現品を見るべきだと立ち上がる。
「ハーミヤ、船屋に行ってくるよ」
やっぱり! とハーミヤは覚悟して見送る。
「竜は便利ですなぁ」
何度乗ってもカインズ船長は竜が便利だと認めなかったが、ラシンドは素直に早く船屋に着いたと喜ぶ。
船屋の主人はショウを見て、中古の大型船より、新しい中型船がお勧めだと、見せもしないうちから言い切る。
「なんで中古の大型船じゃいけないんだ」
船屋には何隻かの中古の大型船も有ったので、カインズ船長は見せようともしない船屋の主人に腹を立てる。ラシンドは船屋の主人の態度で、アスラン王を恐れているのだと察した。
「アスラン王に怯えているのでしょう」
ラシンドの言葉に、無意識に頷いた主人を見て、ショウは驚く。
「もしかして、父上が訪ねて来たとか……え~? マジで? でも、それはまだ僕が八歳だったからですよ。もうすぐ十四歳なんだから、大丈夫です。僕は新航路の発見の航海に出たいから、新造の中型船が良いかなと思ったけど、中古の大型船の方が儲けが大きいとカインズ船長は言うんだよね。どちらが良いのかなぁ」
ラシンドと船屋の主人は、新航路の発見の航海に商船で出ると言うショウに呆れてしまう。
「ちょっと、ショウ王子様、お待ち下さい。ユーカ号を売って、新航路の発見の航海に出るのですか? おい、船屋の主人、軍の造船所で新型の軍艦が作られてなかったか?」
「へい、新しい大型軍艦カドフェル号がもうすぐ出来上がります」
二人はアスラン王の考えにピンときた。
「カドフェル号は知ってますよ。カリン兄上から、レッサ艦長がカドフェル号の艦長に任命されたと聞きました。あっ!………」
ショウは思い出したくない話題まで思い出す。カリンは、父上がショウを後継者にする為に新航路の発見をさせて、皆に公表すると言っていたのだ。
眉をしかめたショウを、三人はじっと見つめる。
「何か思い当たる事でも?」
「何か有るなら、言って下さい。後からアスラン王に問い詰められるのは御免ですぜ」
ラシンドと船屋の主人は遠まわしに質問したが、当事者のカインズ船長はストレートに聞いてきた。
「なぁ、アスラン王はカドフェル号で新航路の発見航海をさせたいのだろう? 新航路の発見航海なんて、足の遅い商船でさせるわけ無いじゃないか。だから、中古の大型船を買おうぜ!」
顔色を変えたショウに、ラシンドは未だ噂を知らないのだと察した。
「ショウ王子、貴方は父王と話した方が良いですよ。船は、私達で選んでおきます」
ラシンドの忠告を受けて、顔色を悪くしたショウは父上と話して来ると、サンズと飛び去る。
カインズ船長は、オーナーが居なくて大丈夫かとラシンドに聞いたが、船のオーナーどころじゃ有りませんと返答されて首を捻った。
「ショウ王子は、アスラン王の後継者なのですよ。カインズ船長、これからは貴方が自分で考えて総てを決定していくことになります。ショウ様は国の舵取りで忙しくなりそうですからね」
カインズ船長はあの小動物みたいに可愛いかったショウが、恐ろしげなアスラン王の後継者になれるのかと案じたが、上の人の考えをどうこう言っても仕方ないと船選びに取り掛かる。
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