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第ニ章 カザリア王国の日々
18 ゴルチェ大陸へ
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ショウとララが護衛を連れてニューパロマの街をデートしているのも、カザリア王国は把握していた。しかし、それより重大なのは、アスラン王がカザリア王国に滞在していることだ。
「アスラン王が、ニューパロマの大使館に来られているようですよ」
ハロルド・マゼラン外務大臣は、エドアルド王に報告した。貿易を一手に引き受けている東南諸島連合王国とは、解決しなくてはいけない問題が山積みだ。
「アスラン王が? まさかショウ王子の留学の様子を見に来たのか?」
若い日の傲慢な態度を思い出して、エドアルドはそんな父親らしい事をしそうに無いタイプだと思った。
「さぁ、シェパード大使はショウ王子が後継者なのではとレイテでは噂が流れていると報告していますが、真偽はわからないそうです。ショウ王子の母親は離れ島の出身で、王子を産んで直ぐに後宮を出て大商人に嫁いだそうです。後ろ盾を持たないので後継者では無いと思われていたのですけどね」
「ショウ王子は、第六王子なのだろう。上の王子達は、そんなに出来が悪いのか?」
カザリア王国では普通は年上の王子が相続するのだが、竜騎士でないと王位に付けないという帝国以来の不文律に縛られているので、たまに第一王子が竜騎士でない場合には王子の中で竜騎士の年上の者が王位に付くこともあった。
「ユリアンの報告では、第一王子サリームは温厚な良い王子だそうですし、第二王子のカリンは軍務大臣の孫で士官として能力も高いそうです。第三王子のハッサンは祖父の大商人アリが後継者にしようと金をバラまいたのがアスラン王に知れて、祖父が財産を一部没収されて隠居させられたから、後継者レースから外されたと見られていますね。第四王子、第五王子も普通に能力はあるそうですが、ショウ王子と同じく注目されていませんでしたから余り情報は無いのです」
「第一王子、第二王子が優秀なら、普通はその中から選ぶだろう。その王子達は、何歳なんだ?」
ハロルドは資料を捲って、十八歳と十七歳だと答えた。
「私なら十八歳のサリーム王子にするが、アスラン王の考えは理解できないからな。ショウ王子は、それほど優秀なのか?」
「パロマ大学の聴講生のテストは満点だったそうですから、馬鹿では無いでしょう」
スチュワートの芳しくなかった成績を思い出して、エドアルドは眉をしかめる。
「エドアルド様、うちのジェームスも今年は悪い成績でしたよ。見習い竜騎士の試験と重なったのだからら仕方ありません。貴方だって、そうだったでしょうに」
「しかし、ユリアンの息子のベンジャミンや、ジェラルドの息子のロレンスは優等を取っているのに……」
「彼等は去年は見習い竜騎士の試験と重なって無かったからですよ。秋学期を頑張れば、スチュワート王子も優等を取れます」
スチュワートの成績に悩むエドアルドは、立太子式もあるのに、イルバニア王国に遊びに行ったきりだと腹を立てる。
「秋には立太子式もあるが、ロザリモンド王女の社交界デビューもある。見習い竜騎士の試験どころではなく忙しいし、浮かれるだろうから成績は期待出来ないな」
ハロルドは、ご自分の若い頃を思い出して下さいと笑った。
「エドアルド様も恋にうかれて、勉強どころでは無かったではないですか。危うく退学させられそうになったのをお忘れですか?」
エドアルドは幼い時からの学友は、自分の失敗も側で見ているから始末が悪いと溜め息をつく。
「スチュワートの教育係のジェラルドに、厳しくするように言わなければな。十歳のショウ王子は、サマースクールも受講しているというのに……」
そう文句を言いながらも、恋しいロザリモンドの側に居たい気持ちは理解できるエドアルドだ。
金髪に緑の瞳、華奢な身体。初恋のユーリ王妃に瓜二つのロザリモンド王女に、エドアルドが甘々になってしまうのを、ジェーン王妃の兄であるハロルドは苦笑するしかなかった。
ショウとララが初デートを楽しんでいる頃、アスランはシーガルとワンダーから、見慣れない地図を見せられて唸っていた。
普段見ている地図では北の大陸が真ん中に位置し、その南西にゴルチェ大陸が書かれている。
その北の大陸を真っ二つに切って、未開の海の部分は白い紙を張り足した地図をアスランは何分か無言で眺める。
「この地図を見ると、確かに東航路がゴルチェ大陸には近いな。ただ、ゴルチェ大陸の西海岸は、北部や東海岸より発展が遅れているから、到着した場所による。ふむ、ゴルチェ大陸の北部に着けば、そこからカザリア王国へも行けるな……、ショウはどのように東航路を航行すると言っている?」
ワンダーは東南諸島の最東のペナン島から、南回帰線を東に航行するショウの考えを説明した。
「ペナン島からゴルチェ大陸へは、軍艦の速いのだと一週間かからないかもしれないな」
ワンダーは、アスラン王が東航路の有益さを認めてくれたので、嬉しくて身震いする。新航路の発見に是非立ち合いたいと、野心を燃やす。
アスランは、ワンダーの若い野心を見抜き、ショウの留学の学友に選んだのは正解だったと満足する。そして、もう一人の学友に目を向けた。
「シーガル、埋め立て埠頭は、実現可能なのか?」
シーガルは、アスラン王が自分が興味を持つと知っていて、ショウ王子の留学の付き添いに選んだのだと確信した。
「ええ、フォード教授は実現可能だと仰っています。ただレイテ港への影響は現地調査をしてみないと、ハッキリしないそうです」
「そうだな、埋め立て埠頭は東航路の後でも良いか。莫大な金がかかるが、新航路の発見で商人達は気が大きくなるだろうから資金を出させ易いだろう」
シーガルは、その巨大事業に自分も携わることができるかもしれないと、嬉しくなる。
側で聞いていたパシャム大使は、初めてショウの学友に会った時、特に武官のワンダーは選考ミスではないかと疑った自分の不明を恥じた。
「新航路の発見、そして埋め立て埠頭! こんな大プロジェクトがこのニューパロマから始まるだなんて!」
宴会が大嫌いなアスランは、慌ててパシャム大使を止める。
「パシャム! 今回はララが一緒だから、宴会はやめておこう。幼いララを宴会に出したと聞こえたら、カジム兄上に何を言われるかわからないからな」
パシャムは、ララを宴会に出さなければ良いのでは無いかと愚痴ったが、遠来の姫君を部屋に押し込めて宴会するのも悪い気もして、しぶしぶ諦める。
ショウとララは、毎日、馬車でニューパロマの街に出かけては、王宮を外から見学したり、前にララの髪飾りを買った店に行ってミミへのお土産を買ったりして楽しんだ。
アスランは、自分がニューパロマの大使館に滞在しているのを、カザリア王国側も気づいているだろうと案じていた。
「エドアルド国王となんか会見したくないぞ。そんなのはパシャムに任せるに限る」
そろそろ、自分の旗艦が着く頃だと、レキシントン港にメリルと飛んで行く。
「やれやれ、やっと、船も追いついたようだな。そろそろ帰国しないと、ミヤに叱られるな」
ミヤに叱られるのはいつもだが、カザリア王国のエドアルド国王との会見とかアスランは御免なので、やっと着いた旗艦に水と食料を詰め込めと命じて、大使館へ帰る。
『サンズとゆっくりさせてやると言ったのに』
大使館の竜舎で、離れ離れの子竜サンズと少ししか一緒にいれなかったと、騎竜のメリルに文句を言われ、アスランは素直に謝る。
『メリル、悪かったな。でも、これ以上留守にすると、ミヤに離婚されるかもしれない』
『ミヤに見放されたら大変だ。元気そうなサンズに会えたから、良いよ』
傲慢なアスランが素直になるのは、騎竜のメリルと第一夫人のミヤにだけだ。
「旗艦のコンクェスト号がレキシントンに着いた。さぁ、ララ、帰国するぞ」
自分の旗艦を置き去りにして、カザリア王国近くになる竜でひとっ飛びしたアスランに全員が呆れる。
その上、旗艦に休息も与えず、すぐに帰国すると聞いて、ショウは慌ててララに別れの挨拶をする。
「ララ、帰りの航海も長旅だから、体調に注意してね。お風呂とかも入れないから、気の毒だよ」
心配そうなショウに、ララは思いがけない事を言った。
「叔父上様が竜で時々陸に先に送って下さいましたから、船の不自由はさほど感じませんでしたわ。旅館や、領事館で休めましたもの」
「ええっ、あの父上が、そんな気遣いをするだなんて、嘘でしょ!」
ショウが唖然としていると、アスランは傲慢に命令を出した。
「ショウ、ゴルチェ大陸及び西海岸の測量へ行け! まぁ、一年は帰って来れないだろうから、これを持って行け」
ズッシリと重い金貨の入った皮袋を投げて渡されて、ショウは腹に衝撃を受けた。
「アスラン王、ゴルチェ大陸にショウ王子を行かせるは危険です」
パシャム大使をギロリと睨んで黙らせると、アスランはララを連れて飛び立った。
「やったぁ! ゴルチェ大陸へ行こう!」
無邪気に喜ぶショウ達を、パシャム大使とレグナム大尉は複雑な目で眺める。
「アスラン王が、ニューパロマの大使館に来られているようですよ」
ハロルド・マゼラン外務大臣は、エドアルド王に報告した。貿易を一手に引き受けている東南諸島連合王国とは、解決しなくてはいけない問題が山積みだ。
「アスラン王が? まさかショウ王子の留学の様子を見に来たのか?」
若い日の傲慢な態度を思い出して、エドアルドはそんな父親らしい事をしそうに無いタイプだと思った。
「さぁ、シェパード大使はショウ王子が後継者なのではとレイテでは噂が流れていると報告していますが、真偽はわからないそうです。ショウ王子の母親は離れ島の出身で、王子を産んで直ぐに後宮を出て大商人に嫁いだそうです。後ろ盾を持たないので後継者では無いと思われていたのですけどね」
「ショウ王子は、第六王子なのだろう。上の王子達は、そんなに出来が悪いのか?」
カザリア王国では普通は年上の王子が相続するのだが、竜騎士でないと王位に付けないという帝国以来の不文律に縛られているので、たまに第一王子が竜騎士でない場合には王子の中で竜騎士の年上の者が王位に付くこともあった。
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「第一王子、第二王子が優秀なら、普通はその中から選ぶだろう。その王子達は、何歳なんだ?」
ハロルドは資料を捲って、十八歳と十七歳だと答えた。
「私なら十八歳のサリーム王子にするが、アスラン王の考えは理解できないからな。ショウ王子は、それほど優秀なのか?」
「パロマ大学の聴講生のテストは満点だったそうですから、馬鹿では無いでしょう」
スチュワートの芳しくなかった成績を思い出して、エドアルドは眉をしかめる。
「エドアルド様、うちのジェームスも今年は悪い成績でしたよ。見習い竜騎士の試験と重なったのだからら仕方ありません。貴方だって、そうだったでしょうに」
「しかし、ユリアンの息子のベンジャミンや、ジェラルドの息子のロレンスは優等を取っているのに……」
「彼等は去年は見習い竜騎士の試験と重なって無かったからですよ。秋学期を頑張れば、スチュワート王子も優等を取れます」
スチュワートの成績に悩むエドアルドは、立太子式もあるのに、イルバニア王国に遊びに行ったきりだと腹を立てる。
「秋には立太子式もあるが、ロザリモンド王女の社交界デビューもある。見習い竜騎士の試験どころではなく忙しいし、浮かれるだろうから成績は期待出来ないな」
ハロルドは、ご自分の若い頃を思い出して下さいと笑った。
「エドアルド様も恋にうかれて、勉強どころでは無かったではないですか。危うく退学させられそうになったのをお忘れですか?」
エドアルドは幼い時からの学友は、自分の失敗も側で見ているから始末が悪いと溜め息をつく。
「スチュワートの教育係のジェラルドに、厳しくするように言わなければな。十歳のショウ王子は、サマースクールも受講しているというのに……」
そう文句を言いながらも、恋しいロザリモンドの側に居たい気持ちは理解できるエドアルドだ。
金髪に緑の瞳、華奢な身体。初恋のユーリ王妃に瓜二つのロザリモンド王女に、エドアルドが甘々になってしまうのを、ジェーン王妃の兄であるハロルドは苦笑するしかなかった。
ショウとララが初デートを楽しんでいる頃、アスランはシーガルとワンダーから、見慣れない地図を見せられて唸っていた。
普段見ている地図では北の大陸が真ん中に位置し、その南西にゴルチェ大陸が書かれている。
その北の大陸を真っ二つに切って、未開の海の部分は白い紙を張り足した地図をアスランは何分か無言で眺める。
「この地図を見ると、確かに東航路がゴルチェ大陸には近いな。ただ、ゴルチェ大陸の西海岸は、北部や東海岸より発展が遅れているから、到着した場所による。ふむ、ゴルチェ大陸の北部に着けば、そこからカザリア王国へも行けるな……、ショウはどのように東航路を航行すると言っている?」
ワンダーは東南諸島の最東のペナン島から、南回帰線を東に航行するショウの考えを説明した。
「ペナン島からゴルチェ大陸へは、軍艦の速いのだと一週間かからないかもしれないな」
ワンダーは、アスラン王が東航路の有益さを認めてくれたので、嬉しくて身震いする。新航路の発見に是非立ち合いたいと、野心を燃やす。
アスランは、ワンダーの若い野心を見抜き、ショウの留学の学友に選んだのは正解だったと満足する。そして、もう一人の学友に目を向けた。
「シーガル、埋め立て埠頭は、実現可能なのか?」
シーガルは、アスラン王が自分が興味を持つと知っていて、ショウ王子の留学の付き添いに選んだのだと確信した。
「ええ、フォード教授は実現可能だと仰っています。ただレイテ港への影響は現地調査をしてみないと、ハッキリしないそうです」
「そうだな、埋め立て埠頭は東航路の後でも良いか。莫大な金がかかるが、新航路の発見で商人達は気が大きくなるだろうから資金を出させ易いだろう」
シーガルは、その巨大事業に自分も携わることができるかもしれないと、嬉しくなる。
側で聞いていたパシャム大使は、初めてショウの学友に会った時、特に武官のワンダーは選考ミスではないかと疑った自分の不明を恥じた。
「新航路の発見、そして埋め立て埠頭! こんな大プロジェクトがこのニューパロマから始まるだなんて!」
宴会が大嫌いなアスランは、慌ててパシャム大使を止める。
「パシャム! 今回はララが一緒だから、宴会はやめておこう。幼いララを宴会に出したと聞こえたら、カジム兄上に何を言われるかわからないからな」
パシャムは、ララを宴会に出さなければ良いのでは無いかと愚痴ったが、遠来の姫君を部屋に押し込めて宴会するのも悪い気もして、しぶしぶ諦める。
ショウとララは、毎日、馬車でニューパロマの街に出かけては、王宮を外から見学したり、前にララの髪飾りを買った店に行ってミミへのお土産を買ったりして楽しんだ。
アスランは、自分がニューパロマの大使館に滞在しているのを、カザリア王国側も気づいているだろうと案じていた。
「エドアルド国王となんか会見したくないぞ。そんなのはパシャムに任せるに限る」
そろそろ、自分の旗艦が着く頃だと、レキシントン港にメリルと飛んで行く。
「やれやれ、やっと、船も追いついたようだな。そろそろ帰国しないと、ミヤに叱られるな」
ミヤに叱られるのはいつもだが、カザリア王国のエドアルド国王との会見とかアスランは御免なので、やっと着いた旗艦に水と食料を詰め込めと命じて、大使館へ帰る。
『サンズとゆっくりさせてやると言ったのに』
大使館の竜舎で、離れ離れの子竜サンズと少ししか一緒にいれなかったと、騎竜のメリルに文句を言われ、アスランは素直に謝る。
『メリル、悪かったな。でも、これ以上留守にすると、ミヤに離婚されるかもしれない』
『ミヤに見放されたら大変だ。元気そうなサンズに会えたから、良いよ』
傲慢なアスランが素直になるのは、騎竜のメリルと第一夫人のミヤにだけだ。
「旗艦のコンクェスト号がレキシントンに着いた。さぁ、ララ、帰国するぞ」
自分の旗艦を置き去りにして、カザリア王国近くになる竜でひとっ飛びしたアスランに全員が呆れる。
その上、旗艦に休息も与えず、すぐに帰国すると聞いて、ショウは慌ててララに別れの挨拶をする。
「ララ、帰りの航海も長旅だから、体調に注意してね。お風呂とかも入れないから、気の毒だよ」
心配そうなショウに、ララは思いがけない事を言った。
「叔父上様が竜で時々陸に先に送って下さいましたから、船の不自由はさほど感じませんでしたわ。旅館や、領事館で休めましたもの」
「ええっ、あの父上が、そんな気遣いをするだなんて、嘘でしょ!」
ショウが唖然としていると、アスランは傲慢に命令を出した。
「ショウ、ゴルチェ大陸及び西海岸の測量へ行け! まぁ、一年は帰って来れないだろうから、これを持って行け」
ズッシリと重い金貨の入った皮袋を投げて渡されて、ショウは腹に衝撃を受けた。
「アスラン王、ゴルチェ大陸にショウ王子を行かせるは危険です」
パシャム大使をギロリと睨んで黙らせると、アスランはララを連れて飛び立った。
「やったぁ! ゴルチェ大陸へ行こう!」
無邪気に喜ぶショウ達を、パシャム大使とレグナム大尉は複雑な目で眺める。
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