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第三章 白鳥
誰の手を取りたいのか?
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ジュリアは、王都に行って、やっと自分の意思をカリースト師に伝えた。
「王都では、私は息がしづらいのです。緑蔭城で指導して頂けないでしょうか?」
やっと自分の言葉で話し出したジュリアに、カリースト師は喜ぶ。
「ああ、良いだろう! 丁度、年老いて引退したいと考えていたのだ。緑蔭城なら、王都より暖かいだろう」
暖かいという言葉で、寒い北部にいるサリンジャー師を気の毒だと思ったジュリアだったが、王都に着いた日から待ち構えたように屋敷に訪れた貴公子達から逃れたい気持ちが勝った。
ゲチスバーモンド伯爵は、ジュリアが緑陰城で修業すると聞いて、反対したが、グローリアに諭された。
「あの子が初めて自分の意思で決めたのですよ。それに、私はひ孫の顔を見たいと願っていますの」
できれば、政治的に有利になる相手と結婚させたかったが、可愛い孫娘の好きにさせることにした。
半年後、ジュリアとジョージは婚約した。
エドモンド王は、孫娘の為に盛大な婚約パーティーを開こうと言ったが、田舎暮らしの方が性に合っていると婉曲に断られた。
グローリアは、緑陰城でささやかな婚約パーティーを開いた。
そこには、綺麗な白いドレスを着たジュリアをエスコートするジョージ。お似合いのカップルが、笑顔で招待客の祝福を受けていた。
ジュリアは、空を舞うマリエールに微笑み、精霊達はバラの花びらを緑陰城に舞い散らした。
「ジュリア、幸せになるのよ!」
ジョージがグローリアの言葉に力強く頷く。
「絶対に幸せにします」
カリースト師は、精神的に落ち着き、闇の精霊も呼び出せるようになったジュリアは、弟子卒業だと笑った。
一年後、精霊姫の娘、ジュリアは幸せな結婚をし、可愛い赤ちゃんを授かるのだが、それは先の話。
その赤ちゃんが、隣国の王子と結ばれるなんて、先の先のお話!
醜いアヒルの子と呼ばれたジュリアは、綺麗な白鳥になった。
おしまい
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その赤ちゃんが、隣国の王子と結ばれるなんて、先の先のお話!
醜いアヒルの子と呼ばれたジュリアは、綺麗な白鳥になった。
おしまい
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