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第一章 醜いあひるの子
27 衝撃!
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海水浴で、ルーファス王子とジュリアが良い雰囲気だったと、シルビアは気が気でない。
「このままでは、ルーファス王子様とジュリアが恋人になってしまうかも……」
シルビアは年齢のハンデに、溜め息をつく。ジュリアは来年には社交界にデビューしてもおかしくない年になるのだと、ルーファス王子にエスコートされている姿を見るだけで、幼い恋心を痛めていた。
アンブローシア伯爵夫人の頼みを聞き入れて、伯爵、ルーファス王子、サリンジャー師、セドリックは、ジュリアをレディとして扱っている。そんな事情を知らないシルビアが、少しへこんでいるのに、ミリアム先生は気づいた。
「シルビア様、ルーファス王子は紳士的に振る舞われているのです。ほら、シルビア様にも同じように、接しておられるでしょう? ジュリア様は、イオニア王国の伯爵のお孫さんですから、レディに対する礼儀は必要です」
シルビアは、ジュリアを自分が友だちだと言いながら、ほんのちょっぴりメイド扱いしていたのを反省した。
「そうね、これからは、ジュリアをちゃんとライバル兼友だちだとして接するわ」
ミリアム先生は、少し自分が言いたかった事と違うと感じた。
「あのう、シルビア様、ライバルとは考えなくても良いのでは」
まだ10歳なのにと、呆れているミリアム先生に、シルビアは心底呆れかえる。
「先生、そんな考えでは、恋愛バトルに勝ち残れなくてよ」
ミリアムは、オールドミスになるのではと、本当は恐れていたので、シルビアの言葉に衝撃を受けた。
ジュリアはミリアム先生どころではない衝撃を、優しいサリンジャー師から受けることになった。
書斎に呼ばれた時から、少し何時もの穏やかなサリンジャー師とは違うと、ジュリアは感じていた。優しく椅子にエスコートされて座ると、ジュリアはサリンジャー師の真剣な顔を覚悟を決めて見つめた。
「サリンジャー師、もしかしたら、祖父から孫などいないと連絡があったのですか?」
サリンジャーは、また悲観的な考えを持ったジュリアに、違うと否定する。
「貴女のお祖父様であるゲチスバーモンド伯爵は、今すぐにでも会いたいと望んでおられますし、引き取りたいと考えておられます。しかし、私達の祖国イオニア王国は、内乱が続いてますので、なかなか会わせてあげられないのです」
ジュリアは、サリンジャー師が『私達の祖国イオニア王国』と発言したのに、軽いショックを受けた。
「私はルキアス王国のゲチスバーグで育ったけど、両親はイオニア王国の人だったのね……なら、私はイオニア人? それともルキアス人? わからないわ」
今までも、少し両親や、祖父の伯爵の話は聞いていたが、ジュリアは承認されてもいないのだからと、考えてなかった。
「両親がイオニア人なら、自分もイオニア人なのね……でも、見たこともない国を祖国だとは感じないわ」
育ったルキアス王国とは切り離された気持ちになって、ジュリアは心許なくなる。
「ジュリアが戸惑うのも無理はありません。イオニア王国に行った事も無いのだし、ご両親のことも詳しくは知らないのですから。これから、貴女のご両親について、私が知っている話をお聞かせします。まだ、若いジュリアには、つらい話かもしれませんが、自分がどのような両親から産まれたのか、知っておくべきだと思うのです」
ジュリアは、きっと両親は周囲から祝福された結婚とは無縁だったのだろうと察していた。
「サリンジャー師、私の両親について、教えて下さい」
覚悟の決まったジュリアの真剣な瞳を見て、サリンジャーはイオニア王国の巫女姫エミリアと、精霊使いフィッツジェラルドの悲恋を話して聞かせた。
「ちょっと、待って下さい……父と母はお互いに愛し合い、結婚の約束もしていたのでしょう? 何故、母が王様の側室にならなきゃいけなかったのですか? それに、アドルフ王は……母の父親の従兄ということは、かなり年上だったのでは?」
ジュリアは、生理的な嫌悪を感じて、身震いする。
「イオニア王国では、精霊使いの能力が重要視されます。しかし、それが全てでは、ありません。歴代の優れた国王には、精霊使いの王もいらしたし、違う王もいらっしゃいました。アドルフ王は、残念なことに優れた王ではなく、それを補う為に精霊使いを利用しているのです」
イオニア王国の事情を説明しながら、ジュリアのショックを和らげる。でも、言いにくくても言わなくてはならないのだ。サリンジャー師は、一呼吸置いてエミリア姫がアドルフ王の側室になった話を続ける。
「エミリア姫は、巫女姫として、精霊に愛される御方でした。アドルフ王には王妃との間に子どもがいませんし、優れた魔力を持つ王子や王女を望んで、無理やり側室にしたのでしょう」
ジュリアは話を聞いているうちに、アドルフ王への怒りがこみあげてきた。
「ジュリア、気持ちを落ち着けないと、精霊達が困っています」
サリンジャー師に、今日はここまでにしておきますか? と尋ねられたが、最後まで聞きたいと、ジュリアは深呼吸を何度か繰り返して、気持ちを整える。
「お願いです、両親はどうして亡くなったのですか? 教えて下さい」
これを伝えるのがつらくて、ジュリアに両親の話をするのを、先伸ばしにしていたのだと、サリンジャーは自分の弱さを恥じた。
「フィッツジェラルド卿は、エミリア姫をさらって逃げられました。そして、貴女が産まれたのです。しかし、アドルフ王はエミリア姫を連れ戻そうと、追手を掛けて……お二人は亡くなる前に、フィッツジェラルド卿の実家であるゲチスバーモンド伯爵家に貴女を送ろうと、精霊に託されたのでしょう」
両親がアドルフ王の追手に殺された! ジュリアは燃えるような怒りを感じた。
「アドルフ王は、私の両親の仇だわ!」
ジュリアの怒りを恐れて、精霊達は逃げ惑う。部屋中の物に精霊がぶつかり、音を立てたり、壊れたりする。
「ジュリア! 怒りを抑えなさい。精霊使いは、常に精神をコントロールしなくては、いけないのですよ」
サリンジャー師に抱き締められたジュリアは、激しく泣き続けた。
「私も、実のところ、アドルフ王は嫌いです。精霊使いを、自分の政治に利用して、反対勢力や国民を取り締まったり、搾取するのに使役しています。ジュリアには、巫女姫エミリア様と、優れた精霊使いフィッツジェラルド卿の血が流れています。アドルフ王の精霊使いになって、国民を虐げる道具になりたくなかったら、自分で考える力を身に付けないと、いけませんよ」
優しく言い聞かされてるうちに、ジュリアは落ち着き、サリンジャー師は年上とはいえ、まだ26歳の独身の男性なのだと、今更気づいて、真っ赤になった。
「もう、大丈夫です」
泣いて顔がまだらになっていると思うと、恥ずかしくて見られたくない気持ちになる。サリンジャーは、ジュリアが落ち着いたのでホッとした。
「このままでは、ルーファス王子様とジュリアが恋人になってしまうかも……」
シルビアは年齢のハンデに、溜め息をつく。ジュリアは来年には社交界にデビューしてもおかしくない年になるのだと、ルーファス王子にエスコートされている姿を見るだけで、幼い恋心を痛めていた。
アンブローシア伯爵夫人の頼みを聞き入れて、伯爵、ルーファス王子、サリンジャー師、セドリックは、ジュリアをレディとして扱っている。そんな事情を知らないシルビアが、少しへこんでいるのに、ミリアム先生は気づいた。
「シルビア様、ルーファス王子は紳士的に振る舞われているのです。ほら、シルビア様にも同じように、接しておられるでしょう? ジュリア様は、イオニア王国の伯爵のお孫さんですから、レディに対する礼儀は必要です」
シルビアは、ジュリアを自分が友だちだと言いながら、ほんのちょっぴりメイド扱いしていたのを反省した。
「そうね、これからは、ジュリアをちゃんとライバル兼友だちだとして接するわ」
ミリアム先生は、少し自分が言いたかった事と違うと感じた。
「あのう、シルビア様、ライバルとは考えなくても良いのでは」
まだ10歳なのにと、呆れているミリアム先生に、シルビアは心底呆れかえる。
「先生、そんな考えでは、恋愛バトルに勝ち残れなくてよ」
ミリアムは、オールドミスになるのではと、本当は恐れていたので、シルビアの言葉に衝撃を受けた。
ジュリアはミリアム先生どころではない衝撃を、優しいサリンジャー師から受けることになった。
書斎に呼ばれた時から、少し何時もの穏やかなサリンジャー師とは違うと、ジュリアは感じていた。優しく椅子にエスコートされて座ると、ジュリアはサリンジャー師の真剣な顔を覚悟を決めて見つめた。
「サリンジャー師、もしかしたら、祖父から孫などいないと連絡があったのですか?」
サリンジャーは、また悲観的な考えを持ったジュリアに、違うと否定する。
「貴女のお祖父様であるゲチスバーモンド伯爵は、今すぐにでも会いたいと望んでおられますし、引き取りたいと考えておられます。しかし、私達の祖国イオニア王国は、内乱が続いてますので、なかなか会わせてあげられないのです」
ジュリアは、サリンジャー師が『私達の祖国イオニア王国』と発言したのに、軽いショックを受けた。
「私はルキアス王国のゲチスバーグで育ったけど、両親はイオニア王国の人だったのね……なら、私はイオニア人? それともルキアス人? わからないわ」
今までも、少し両親や、祖父の伯爵の話は聞いていたが、ジュリアは承認されてもいないのだからと、考えてなかった。
「両親がイオニア人なら、自分もイオニア人なのね……でも、見たこともない国を祖国だとは感じないわ」
育ったルキアス王国とは切り離された気持ちになって、ジュリアは心許なくなる。
「ジュリアが戸惑うのも無理はありません。イオニア王国に行った事も無いのだし、ご両親のことも詳しくは知らないのですから。これから、貴女のご両親について、私が知っている話をお聞かせします。まだ、若いジュリアには、つらい話かもしれませんが、自分がどのような両親から産まれたのか、知っておくべきだと思うのです」
ジュリアは、きっと両親は周囲から祝福された結婚とは無縁だったのだろうと察していた。
「サリンジャー師、私の両親について、教えて下さい」
覚悟の決まったジュリアの真剣な瞳を見て、サリンジャーはイオニア王国の巫女姫エミリアと、精霊使いフィッツジェラルドの悲恋を話して聞かせた。
「ちょっと、待って下さい……父と母はお互いに愛し合い、結婚の約束もしていたのでしょう? 何故、母が王様の側室にならなきゃいけなかったのですか? それに、アドルフ王は……母の父親の従兄ということは、かなり年上だったのでは?」
ジュリアは、生理的な嫌悪を感じて、身震いする。
「イオニア王国では、精霊使いの能力が重要視されます。しかし、それが全てでは、ありません。歴代の優れた国王には、精霊使いの王もいらしたし、違う王もいらっしゃいました。アドルフ王は、残念なことに優れた王ではなく、それを補う為に精霊使いを利用しているのです」
イオニア王国の事情を説明しながら、ジュリアのショックを和らげる。でも、言いにくくても言わなくてはならないのだ。サリンジャー師は、一呼吸置いてエミリア姫がアドルフ王の側室になった話を続ける。
「エミリア姫は、巫女姫として、精霊に愛される御方でした。アドルフ王には王妃との間に子どもがいませんし、優れた魔力を持つ王子や王女を望んで、無理やり側室にしたのでしょう」
ジュリアは話を聞いているうちに、アドルフ王への怒りがこみあげてきた。
「ジュリア、気持ちを落ち着けないと、精霊達が困っています」
サリンジャー師に、今日はここまでにしておきますか? と尋ねられたが、最後まで聞きたいと、ジュリアは深呼吸を何度か繰り返して、気持ちを整える。
「お願いです、両親はどうして亡くなったのですか? 教えて下さい」
これを伝えるのがつらくて、ジュリアに両親の話をするのを、先伸ばしにしていたのだと、サリンジャーは自分の弱さを恥じた。
「フィッツジェラルド卿は、エミリア姫をさらって逃げられました。そして、貴女が産まれたのです。しかし、アドルフ王はエミリア姫を連れ戻そうと、追手を掛けて……お二人は亡くなる前に、フィッツジェラルド卿の実家であるゲチスバーモンド伯爵家に貴女を送ろうと、精霊に託されたのでしょう」
両親がアドルフ王の追手に殺された! ジュリアは燃えるような怒りを感じた。
「アドルフ王は、私の両親の仇だわ!」
ジュリアの怒りを恐れて、精霊達は逃げ惑う。部屋中の物に精霊がぶつかり、音を立てたり、壊れたりする。
「ジュリア! 怒りを抑えなさい。精霊使いは、常に精神をコントロールしなくては、いけないのですよ」
サリンジャー師に抱き締められたジュリアは、激しく泣き続けた。
「私も、実のところ、アドルフ王は嫌いです。精霊使いを、自分の政治に利用して、反対勢力や国民を取り締まったり、搾取するのに使役しています。ジュリアには、巫女姫エミリア様と、優れた精霊使いフィッツジェラルド卿の血が流れています。アドルフ王の精霊使いになって、国民を虐げる道具になりたくなかったら、自分で考える力を身に付けないと、いけませんよ」
優しく言い聞かされてるうちに、ジュリアは落ち着き、サリンジャー師は年上とはいえ、まだ26歳の独身の男性なのだと、今更気づいて、真っ赤になった。
「もう、大丈夫です」
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