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P.S.
しおりを挟む思えば最近の颯士は様子がおかしかった。
今までは中二病のように
『かっこいい技』
とか
『ロマンのある技』
とか一緒に考えてはアホみたいに喜んでいた。
ところがあの日、ちょうど颯士と勝負したあの日から、
『的確に急所を狙う』
とか、
『鋭利な形状をイメージする』
とか、妙に効率を、もっと言えば目的の為に手段を選ばない意思を感じた。
例えば、何かに取り憑かれたかのように…。
「いてて…」
根性のデコアタックを食らった颯士は、いつもの雰囲気が戻ってきたように見える。
「ごめん、俺、何かおかしかった…」
そう言う颯士はなんとなく、もう大丈夫な気がする。
大丈夫、1人じゃない。
そう颯士に告げると
「イチャイチャしてるとこ悪いけど、続ききてるニャよ~」
うっさい綺羅々、と黙らせつつもゾロゾロと集まってくる。
シュンッ…シュンッ…
3人の横をバイクが通り抜ける。
しまった、行かせてしまう!
そう思ったが予想を裏切って、バイクで弧を描くように背後で停車する。
そちらに気を取られている一瞬でさらに数台、隣を通過する。
相手もバカではない。漠然と突進してくるだけでは勝てないと踏んだのだろう。
「あ~あ、にゃ。」
狭い山道とは言え、人を囲むくらいの幅はある。
『先制して鷹匠作戦(今名付けた)』
はこうなると死に体だ。
颯士さん、何か手はないの?と我が軍のブレーンに助け船を求めると
「あるにはあるんだけど…」
と、言うがちょっと気まずそう。
相手を殺さないような技なら何でもいいから、早く!
そう催促すると、遠慮がちにスケッチブックを見せてきた。
えー、これは…ボツにしたじゃん…
不満はあるが、仕方ない…か?
「早くしないとくるニャ!!」
悩む暇はないようだ。
焦る綺羅々を、ちょっと集中させて!と制する。
敵が襲ってくるギリギリまで、細部まで頭に叩き込みイメージ。
極限まで追い詰められた状態で、脳がいつもより三倍速く回転した。
三方向から鉄パイプをもったバイク、飛び込んでくるバイク、バールのようなものを地面に擦らせながら走ってくるバイクがそれぞれやってきた。
「もう駄目にゃ~!殺すしかないにゃ~!」
テンパる綺羅々の手を引っ張り、下がっててと後ろに投げる。
3台のバイクが襲いかかってくる瞬間、能力を発動した。
天を突くように白い塊が構築され、飛び込んできた3台のバイクはぶっ飛ばされた。
「あ、あれは…」
堕悪帝国(ダークていこく)の悪者達がざわめく。
ざわめきを貫くように、白い塊の中から魂の叫びが飛び出した!
灯里『天空を突く、白き刃!』
シャキーン!
颯士『今、悪を打ち砕く!!』
シャキシャキーーン!!
颯士&灯里『超銀河戦士!アカリオン・テリオス!!!』
ドッゴーーーン!!!
演出用の蒸気の中から、ユラリと姿を現したのは、『巨大ロボット』であった。
全長5mほどの巨体、流行りの複座式の構造、細部までこだわったデザインは男の子の、いや、性別に囚われない夢と正義が詰まっている。
「ふ、ふざけるな!!」
バイカーの1人が、鉄パイプを持って殴りかかってくる。
アカリオン・テリオスのスネに容赦なく叩きつけるが、傷ひとつ付かない。
むしろ、叩きつけた手の方が大きく痺れてしまう始末である。
颯士『アカリウム合金に、その程度の攻撃は通じない!』
鉄パイプ男は絶望してその場に座り込んでしまう。
「び、ビビるな!一気に攻めろ!」
堕悪帝国の戦闘兵が一気に攻めてくる。
颯士『灯里!アカリオン・ローリングマグナムだ!』
灯里『オッケー!颯士!』
グググググッ…
アカリオン・テリオスの腕が前方へ向き、拳が回転し始める。
灯里『アカリオン・ローリングマグナム、スタンバイ!』
ギュイイイイン…
拳の回転がより速くなり、甲高い音を鳴らす。
颯士&灯里『アカリオン・ローリングマグナム 発射!!!!』
打ち込まれた正義の拳はモーセの十戒の海割りの如くバイク集団を2つに割り、さらには隣の山の頂上を削り、そのままキランッ、と星となった。
大半の堕悪帝国戦闘兵は戦意を失い、来た道へ逃げようとするがアカリオン・テリオスからは逃げられない。
颯士『アカリオン・ブラスター、発射準備』
アカリオン・テリオスの両肩に砲門が設置される。
灯里『アカリオン・ブラスター充填開始!80…90…100%!』
颯士『アカリオン・ブラスター!発射!!!』
灯里『燃えつきろーー!!!』
逃げようとするバイク集団に、容赦なくベトベトの液体が降り注ぐ。
「くっ、ベトベトしてうごけねぇ…」
堕悪帝国の兵士が一網打尽にされる。
残った堕悪帝国兵は残り僅かだ。
颯士『今、決着をつける!!』
アカリオン・テリオスが天に向かって手のひらをかざす。
颯士『アカリオン!正義を胸に!勝利をこの手に!』
アカリオン・テリオスの手のひらに正義のエネルギーが現れる。
灯里『悪を滅する!正義の白刃よ!今っ!!』
正義のエネルギーが大きな剣を形なす。
颯士&灯里『アカリオン・ライトニング・セイバー!!!!』
足の裏とブースト発射し、アカリオン・テリオスは空中へ舞う。
颯士『とどめだ!!』
颯士&灯里『灯(とう)・里(りん)・斬(ざん)!!!』
正義の白刃が悪の帝国に振り下ろされた!!
ポフン…
アカリオン・テリオスが霧散し、颯士と灯里は空中へ放り出された。
空から落ちていく最中に灯里は思った。
『だからロボットものなんて乗り気じゃなかったのに…』
今までは中二病のように
『かっこいい技』
とか
『ロマンのある技』
とか一緒に考えてはアホみたいに喜んでいた。
ところがあの日、ちょうど颯士と勝負したあの日から、
『的確に急所を狙う』
とか、
『鋭利な形状をイメージする』
とか、妙に効率を、もっと言えば目的の為に手段を選ばない意思を感じた。
例えば、何かに取り憑かれたかのように…。
「いてて…」
根性のデコアタックを食らった颯士は、いつもの雰囲気が戻ってきたように見える。
「ごめん、俺、何かおかしかった…」
そう言う颯士はなんとなく、もう大丈夫な気がする。
大丈夫、1人じゃない。
そう颯士に告げると
「イチャイチャしてるとこ悪いけど、続ききてるニャよ~」
うっさい綺羅々、と黙らせつつもゾロゾロと集まってくる。
シュンッ…シュンッ…
3人の横をバイクが通り抜ける。
しまった、行かせてしまう!
そう思ったが予想を裏切って、バイクで弧を描くように背後で停車する。
そちらに気を取られている一瞬でさらに数台、隣を通過する。
相手もバカではない。漠然と突進してくるだけでは勝てないと踏んだのだろう。
「あ~あ、にゃ。」
狭い山道とは言え、人を囲むくらいの幅はある。
『先制して鷹匠作戦(今名付けた)』
はこうなると死に体だ。
颯士さん、何か手はないの?と我が軍のブレーンに助け船を求めると
「あるにはあるんだけど…」
と、言うがちょっと気まずそう。
相手を殺さないような技なら何でもいいから、早く!
そう催促すると、遠慮がちにスケッチブックを見せてきた。
えー、これは…ボツにしたじゃん…
不満はあるが、仕方ない…か?
「早くしないとくるニャ!!」
悩む暇はないようだ。
焦る綺羅々を、ちょっと集中させて!と制する。
敵が襲ってくるギリギリまで、細部まで頭に叩き込みイメージ。
極限まで追い詰められた状態で、脳がいつもより三倍速く回転した。
三方向から鉄パイプをもったバイク、飛び込んでくるバイク、バールのようなものを地面に擦らせながら走ってくるバイクがそれぞれやってきた。
「もう駄目にゃ~!殺すしかないにゃ~!」
テンパる綺羅々の手を引っ張り、下がっててと後ろに投げる。
3台のバイクが襲いかかってくる瞬間、能力を発動した。
天を突くように白い塊が構築され、飛び込んできた3台のバイクはぶっ飛ばされた。
「あ、あれは…」
堕悪帝国(ダークていこく)の悪者達がざわめく。
ざわめきを貫くように、白い塊の中から魂の叫びが飛び出した!
灯里『天空を突く、白き刃!』
シャキーン!
颯士『今、悪を打ち砕く!!』
シャキシャキーーン!!
颯士&灯里『超銀河戦士!アカリオン・テリオス!!!』
ドッゴーーーン!!!
演出用の蒸気の中から、ユラリと姿を現したのは、『巨大ロボット』であった。
全長5mほどの巨体、流行りの複座式の構造、細部までこだわったデザインは男の子の、いや、性別に囚われない夢と正義が詰まっている。
「ふ、ふざけるな!!」
バイカーの1人が、鉄パイプを持って殴りかかってくる。
アカリオン・テリオスのスネに容赦なく叩きつけるが、傷ひとつ付かない。
むしろ、叩きつけた手の方が大きく痺れてしまう始末である。
颯士『アカリウム合金に、その程度の攻撃は通じない!』
鉄パイプ男は絶望してその場に座り込んでしまう。
「び、ビビるな!一気に攻めろ!」
堕悪帝国の戦闘兵が一気に攻めてくる。
颯士『灯里!アカリオン・ローリングマグナムだ!』
灯里『オッケー!颯士!』
グググググッ…
アカリオン・テリオスの腕が前方へ向き、拳が回転し始める。
灯里『アカリオン・ローリングマグナム、スタンバイ!』
ギュイイイイン…
拳の回転がより速くなり、甲高い音を鳴らす。
颯士&灯里『アカリオン・ローリングマグナム 発射!!!!』
打ち込まれた正義の拳はモーセの十戒の海割りの如くバイク集団を2つに割り、さらには隣の山の頂上を削り、そのままキランッ、と星となった。
大半の堕悪帝国戦闘兵は戦意を失い、来た道へ逃げようとするがアカリオン・テリオスからは逃げられない。
颯士『アカリオン・ブラスター、発射準備』
アカリオン・テリオスの両肩に砲門が設置される。
灯里『アカリオン・ブラスター充填開始!80…90…100%!』
颯士『アカリオン・ブラスター!発射!!!』
灯里『燃えつきろーー!!!』
逃げようとするバイク集団に、容赦なくベトベトの液体が降り注ぐ。
「くっ、ベトベトしてうごけねぇ…」
堕悪帝国の兵士が一網打尽にされる。
残った堕悪帝国兵は残り僅かだ。
颯士『今、決着をつける!!』
アカリオン・テリオスが天に向かって手のひらをかざす。
颯士『アカリオン!正義を胸に!勝利をこの手に!』
アカリオン・テリオスの手のひらに正義のエネルギーが現れる。
灯里『悪を滅する!正義の白刃よ!今っ!!』
正義のエネルギーが大きな剣を形なす。
颯士&灯里『アカリオン・ライトニング・セイバー!!!!』
足の裏とブースト発射し、アカリオン・テリオスは空中へ舞う。
颯士『とどめだ!!』
颯士&灯里『灯(とう)・里(りん)・斬(ざん)!!!』
正義の白刃が悪の帝国に振り下ろされた!!
ポフン…
アカリオン・テリオスが霧散し、颯士と灯里は空中へ放り出された。
空から落ちていく最中に灯里は思った。
『だからロボットものなんて乗り気じゃなかったのに…』
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