3 / 5
「でもカズ割と緊張感ないよな、この間も部屋閉じ込めたん結局気がついてくれなかったし。」
しおりを挟む
「でもカズ割と緊張感ないよな、この間も部屋閉じ込めたん結局気がついてくれなかったし。」
ここまで来たらもう百物語みたいなもんで順番に語るしかないやろ、と思って僕は口を開いた。
「え何?何の時?」
「先週くらい?にさ、ハイターと榊原出掛けてて二人でいた時あったじゃんか。」
「あったわ。」
「あん時にドアのあの、外から開けられるやつ?コイン差し込んで鍵回せるじゃん。」
各部屋についている内鍵は、コイン一枚で簡単に開くようになっている。あの溝のところね、といえば三人が頷いた。
「カズが昼寝してた時に、あそこにおゆまるをはめて固めて、上からガムテープで固定してみたのよ。驚くかなーと思って。」
「え?カズの部屋の入口を?ッンフ、おゆ、おゆまるで?」
「そうそうそう。あっためて押し付けて、冷めるとストッパーが出来上がるんよ。」
榊原が笑いを堪えながら聞いてくるのに、僕は真顔で頷いた。
「ダッハハハ、やば、タチが悪い、」
「その覇王みたいな笑い方何?てか全然覚えとらん、そんなことされてたの???マジで気がついてないんだが。」
本気でやりそう、とハイターがゲラゲラ笑う。ほんとにやったんだってば、と返せばカズがなんとも言えない顔になった。本気で先週の記憶をひっくり返し始めたらしい。
「待って……昼寝したのは覚えてる……」
「うん、それでまぁ最悪ウォークインクローゼットから出てくるだろと思ってそのままほっといたんだけど。二時間くらいしたらドアがガチャガチャ言い始めて。ガムテープ持つかなーってドアの前で眺めてたらギリドア外に聞こえる声量で『夢か……』つって二度寝しやがって。」
「アハハハ、待って脳内再生出来るんだけど。」
「否定できない自分がいるんだが……嘘だろ……」
「そのまま剥がして何事もないようにここにいたらカズも三十分後くらいにふつーに起きてきた。あれマジでリアクションなくて寂しかったわ。」
おゆまる型取り頑張ったのに、なんて適当なことをいえばハイターはソファのクッションに埋もれて震えている。
「だからカズの部屋のドアのところ剥げてんのか。」
榊原がぽんと手を打った。そういえばそんな剥げあったな、と思いながら僕は適当に頷いた。
「そう、ガムテで剥げたわ。」
「え?鍵横?あれ前からじゃね?待って先週???解像度上げるのやめてくれねーかなマジで。」
ホントかもしれんじゃん、とカズが頭を抱えた。勿論嘘なんだけど。あの剥げ、1年くらいあるけど。意外と壁のへこみとかいつ気がついたか忘れるよね、気付けばそこにある傷っつーの。
ここまで来たらもう百物語みたいなもんで順番に語るしかないやろ、と思って僕は口を開いた。
「え何?何の時?」
「先週くらい?にさ、ハイターと榊原出掛けてて二人でいた時あったじゃんか。」
「あったわ。」
「あん時にドアのあの、外から開けられるやつ?コイン差し込んで鍵回せるじゃん。」
各部屋についている内鍵は、コイン一枚で簡単に開くようになっている。あの溝のところね、といえば三人が頷いた。
「カズが昼寝してた時に、あそこにおゆまるをはめて固めて、上からガムテープで固定してみたのよ。驚くかなーと思って。」
「え?カズの部屋の入口を?ッンフ、おゆ、おゆまるで?」
「そうそうそう。あっためて押し付けて、冷めるとストッパーが出来上がるんよ。」
榊原が笑いを堪えながら聞いてくるのに、僕は真顔で頷いた。
「ダッハハハ、やば、タチが悪い、」
「その覇王みたいな笑い方何?てか全然覚えとらん、そんなことされてたの???マジで気がついてないんだが。」
本気でやりそう、とハイターがゲラゲラ笑う。ほんとにやったんだってば、と返せばカズがなんとも言えない顔になった。本気で先週の記憶をひっくり返し始めたらしい。
「待って……昼寝したのは覚えてる……」
「うん、それでまぁ最悪ウォークインクローゼットから出てくるだろと思ってそのままほっといたんだけど。二時間くらいしたらドアがガチャガチャ言い始めて。ガムテープ持つかなーってドアの前で眺めてたらギリドア外に聞こえる声量で『夢か……』つって二度寝しやがって。」
「アハハハ、待って脳内再生出来るんだけど。」
「否定できない自分がいるんだが……嘘だろ……」
「そのまま剥がして何事もないようにここにいたらカズも三十分後くらいにふつーに起きてきた。あれマジでリアクションなくて寂しかったわ。」
おゆまる型取り頑張ったのに、なんて適当なことをいえばハイターはソファのクッションに埋もれて震えている。
「だからカズの部屋のドアのところ剥げてんのか。」
榊原がぽんと手を打った。そういえばそんな剥げあったな、と思いながら僕は適当に頷いた。
「そう、ガムテで剥げたわ。」
「え?鍵横?あれ前からじゃね?待って先週???解像度上げるのやめてくれねーかなマジで。」
ホントかもしれんじゃん、とカズが頭を抱えた。勿論嘘なんだけど。あの剥げ、1年くらいあるけど。意外と壁のへこみとかいつ気がついたか忘れるよね、気付けばそこにある傷っつーの。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
猫が作る魚料理
楓洋輔
ライト文芸
猫人間のモモ子は魚料理が大得意。ほっこりした日常を描くレシピ小説です。
香織(32歳)はモモ子と一軒家で同居している。モモ子は、二足歩行で言葉を喋る、人間と同じくらいの大きさの猫だ。猫だけに、いつもぐうたらと怠けているモモ子だが、魚が好きで、魚料理が大得意。魚料理は下ごしらえなどが面倒なので、怠け者のモモ子は手間のかからない、お手軽だけど絶品な魚料理のレシピを次々と披露する。そのレシピは、普段料理をしない人でも簡単にできてしまうようなものばかり。同じく同居人の誠也(22歳)と共に、仕事や恋に悩みながらも、香織はモモ子の魚料理を堪能していく。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
蛍火のおもかげ
藤田 蓮
ライト文芸
馨はある夏の夕暮れ、浴衣姿の「掃除屋」だと名乗る男に遭遇する。
「掃除屋」の男に礼を言って消えた老婆。手向けられた花。得体の知れない「掃除屋」との出会い。
それはただの遭遇に過ぎないかと思われた。
だが、馨は、それが忘れることの出来ぬ夏の日の始まりだということを、まだ知らなかった。
掃除屋シリーズ、第一弾。今回は「夏」です。
ハッピーニューイヤー相談室
坂本 光陽
ライト文芸
ラジオ番組『スマイル相談室』では、アンディ千々倉がパーソナリティを務め、リスナーの相談にのっている。本日のテーマは「お正月なんて大嫌い」。アンディはリスナーの抱えている問題に、次々とアドバイスをしていくのだが……。この番組に秘められた、その真意、その目的とは?
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
俺がメイドで妹ご主人!!?
麻苺 遊奈
ライト文芸
15歳の頃に両親を亡くし、幼い妹と俺は別々の家に引き取られた。
そんな俺が就職した先で待っていたのは、社長令嬢となっていた妹だった!?
しかも仕事は…メイド!?
俺の人生どうなっちまうんだ~!!!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる