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「そいやさー、みんな悪魔に寿命と引き換えに何叶えてもらった?」
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今ちょっとした困り事があって。そんで連鎖的に丁度一年前エイプリルフールに、同居してるトッモ達がが面白いことをしていたことを思い出した。思い出したことからすると今の困り事は僕の自業自得ということになるんだけど、まぁ困り事のせいですることもないので去年のことを思い出して書いていこうと思う。
話は突然同居人の一人、ハイター(あだ名であって本名ではない)が
「そいやさー、みんな悪魔に寿命と引き換えに何叶えてもらった?」
と言い出したことから始まった。
その時僕はリビングでスマホを見てて、カズと榊原は僕の真横でポケモンの御三家でどれが一番可愛いかについて熱く語っていて、元凶のハイターは漫画を読んでいた。朝にしては珍しく全員リビングにいた訳だ。
「は?何言うてんのいきなり。」
「え?まだ来てない?そっかみんなまだか。」
「なに?悪魔に会うイベント全人類固定イベだと思ってらっしゃる?」
僕がとりあえずスマホを見ながら反応を返したところで、サルノリがいかに現代社会で飼育しやすいかについて熱いプレゼンを行っていたカズがあぁーね、と話に乗りはじめた。
ちなみに一年前はサルノリについて語っていたこいつは、昨日は榊原と一緒にニャオハが立つか、太るかについて真剣に考えていた。いつでも暇なのかも知らん。
さておき、真っ先に乗ったカズはこう返す。
「保留にしといたわ。来年あたりにまた聞きに来ると思う。」
「のるんかい、珍しい。」
「今日はのっていいんよ。」
そこで僕は成程エイプリルフール、ってなったんだけど、榊原は一人で「何言ってんだこいつら」の顔をしてたから、多分気がついてなかったんよな。
「私もしばらく保留してたんだけどさー、この間シンキングタイムが長ぇって怒られて。」
ハイターが読んでた漫画を閉じて、ソファに転がる。話し込むつもりの体勢だ。とことん話を作るつもりになったらしい。
「めちゃくちゃ悩んだんだけどさー、やっぱHP残量見たいよなって思ってそれにしたんだよね。」
「HP残量?自分の?」
「そうそう。ほら、自分の体力ってやる気とかと関わってくるから客観的に体感しづらいじゃん?見えればMAXなのにごろごろしてること無くなるかなって。」
「え、ハイターのやる気がMAXなことってあんの?なくない?」
榊原がすごく自然に右ストレートをかます。僕とカズが吹き出して、ソファに転がったまま、「そう、それよ!」とハイターが拳を突き上げた。
「見えるようになったんだけど基本0から50%くらいしかなくてずーーーっと黄色ゲージなんだよ!緑のバー見たことねぇの!」
「あっはははは、」
「不良品じゃない!?これホントにちゃんと見えてると思う!?」
「っひー、めっちゃ正確じゃん!」
思わず僕も声を上げて笑うし、カズは床をバンバン叩きながら悪魔作HPパラメーターの正確性を称えた。なにしろこれが全部ハイターの作り話って思うと、自分を客観視出来すぎてて笑う。よく真顔で抗議できるな。
「それいつから見えてんの。」
「一ヶ月くらい?」
「長。一ヶ月黄色バーは流石にウケるんだけど。」
榊原は話に乗ってきたのか、とりあえずハイターの言うことを事実として扱うことにしたらしい。
「今何パーなん、」
「36パー。」
「「ひっく!」」
カズと思わずハモる。榊原が憐れみのこもった微笑みを浮かべながら口を開く。
「なんもしてねーだろ今日お前。」
「寝て起きた時点で51パーでさ。」
「15パーも何に使ったの?起きるのと着替えるのと飯食うの?」
「と漫画読むの。」
「もやしがよ……」
榊原の怒涛のツッコミに僕とカズはほぼ無音で床に突っ伏していた。ちょ、呼吸キツイって、腹痛い。
「むしろHP見えることでより萎えちゃってさー、失敗したわ悪魔との契約。」
「寿命いくら払ったのさそれ。」
カズがラグに転がったまま聞く。ハイターが思い出すように、まぁ考えてなかったんだろうけど、斜め上をじっと見た。
「……三週間だったかな?」
「び、びみょーなところつくなぁ。」
「それはお値段相応ってやつじゃね?」
「これハズレかどうかをずっと考えてたんだけど、そっかー誰もまだ悪魔との契約終わってないか。比べるアテがないや。」
「比べるもんでもないだろ、自分にとって良いか悪いかの二択だから。」
ソファのハイターを見上げて思わず言えば、ヤツが腕を伸ばして僕のほっぺたをおもきし引っ張った。
「こういう時正論は求めてないのよー、慰めろや。」
「めんどくさい恋人みてぇな事言い出しやがった……助けて……」
榊原にヘルプを求める。目が合うなりわざとらしく喉乾いたわーっつって榊原が水を取りに行ってしまった。薄情者め。
話は突然同居人の一人、ハイター(あだ名であって本名ではない)が
「そいやさー、みんな悪魔に寿命と引き換えに何叶えてもらった?」
と言い出したことから始まった。
その時僕はリビングでスマホを見てて、カズと榊原は僕の真横でポケモンの御三家でどれが一番可愛いかについて熱く語っていて、元凶のハイターは漫画を読んでいた。朝にしては珍しく全員リビングにいた訳だ。
「は?何言うてんのいきなり。」
「え?まだ来てない?そっかみんなまだか。」
「なに?悪魔に会うイベント全人類固定イベだと思ってらっしゃる?」
僕がとりあえずスマホを見ながら反応を返したところで、サルノリがいかに現代社会で飼育しやすいかについて熱いプレゼンを行っていたカズがあぁーね、と話に乗りはじめた。
ちなみに一年前はサルノリについて語っていたこいつは、昨日は榊原と一緒にニャオハが立つか、太るかについて真剣に考えていた。いつでも暇なのかも知らん。
さておき、真っ先に乗ったカズはこう返す。
「保留にしといたわ。来年あたりにまた聞きに来ると思う。」
「のるんかい、珍しい。」
「今日はのっていいんよ。」
そこで僕は成程エイプリルフール、ってなったんだけど、榊原は一人で「何言ってんだこいつら」の顔をしてたから、多分気がついてなかったんよな。
「私もしばらく保留してたんだけどさー、この間シンキングタイムが長ぇって怒られて。」
ハイターが読んでた漫画を閉じて、ソファに転がる。話し込むつもりの体勢だ。とことん話を作るつもりになったらしい。
「めちゃくちゃ悩んだんだけどさー、やっぱHP残量見たいよなって思ってそれにしたんだよね。」
「HP残量?自分の?」
「そうそう。ほら、自分の体力ってやる気とかと関わってくるから客観的に体感しづらいじゃん?見えればMAXなのにごろごろしてること無くなるかなって。」
「え、ハイターのやる気がMAXなことってあんの?なくない?」
榊原がすごく自然に右ストレートをかます。僕とカズが吹き出して、ソファに転がったまま、「そう、それよ!」とハイターが拳を突き上げた。
「見えるようになったんだけど基本0から50%くらいしかなくてずーーーっと黄色ゲージなんだよ!緑のバー見たことねぇの!」
「あっはははは、」
「不良品じゃない!?これホントにちゃんと見えてると思う!?」
「っひー、めっちゃ正確じゃん!」
思わず僕も声を上げて笑うし、カズは床をバンバン叩きながら悪魔作HPパラメーターの正確性を称えた。なにしろこれが全部ハイターの作り話って思うと、自分を客観視出来すぎてて笑う。よく真顔で抗議できるな。
「それいつから見えてんの。」
「一ヶ月くらい?」
「長。一ヶ月黄色バーは流石にウケるんだけど。」
榊原は話に乗ってきたのか、とりあえずハイターの言うことを事実として扱うことにしたらしい。
「今何パーなん、」
「36パー。」
「「ひっく!」」
カズと思わずハモる。榊原が憐れみのこもった微笑みを浮かべながら口を開く。
「なんもしてねーだろ今日お前。」
「寝て起きた時点で51パーでさ。」
「15パーも何に使ったの?起きるのと着替えるのと飯食うの?」
「と漫画読むの。」
「もやしがよ……」
榊原の怒涛のツッコミに僕とカズはほぼ無音で床に突っ伏していた。ちょ、呼吸キツイって、腹痛い。
「むしろHP見えることでより萎えちゃってさー、失敗したわ悪魔との契約。」
「寿命いくら払ったのさそれ。」
カズがラグに転がったまま聞く。ハイターが思い出すように、まぁ考えてなかったんだろうけど、斜め上をじっと見た。
「……三週間だったかな?」
「び、びみょーなところつくなぁ。」
「それはお値段相応ってやつじゃね?」
「これハズレかどうかをずっと考えてたんだけど、そっかー誰もまだ悪魔との契約終わってないか。比べるアテがないや。」
「比べるもんでもないだろ、自分にとって良いか悪いかの二択だから。」
ソファのハイターを見上げて思わず言えば、ヤツが腕を伸ばして僕のほっぺたをおもきし引っ張った。
「こういう時正論は求めてないのよー、慰めろや。」
「めんどくさい恋人みてぇな事言い出しやがった……助けて……」
榊原にヘルプを求める。目が合うなりわざとらしく喉乾いたわーっつって榊原が水を取りに行ってしまった。薄情者め。
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