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大量のエロ漫画と自分で書いた小説を魔法陣の上に乗せて今日も異世界に行ける呪文を唱えていた。日本じゃない何処かの世界で人生を過ごしたい。このまま親に監視されている生活なんて御免だ。
(頼むから異世界転生させてください!イケメンだらけで私が美少女で持てる世界に行きたいです)
ノックの音がして慌ててシーツで隠すと前屈みになって気を失った……。
これがまさか最後だなんて知らなかった。
♢
目を覚ますと見知らぬ部屋。緩む口元を手で抑えて鏡を見ると心の中で喜んだ。やっと親から解放された。
前世日本人の私は女の子らしくを言われて親の言う通り育ってきた。女の子らしいこと以外は禁止。テレビもスマホも見るのは禁止。ろくでもない情報を手に入れてまともに育たないから。
刺繍にピアノ、ヴァイオリンに習字――。数えきれない習い事を習って身体で覚えてきた。オシャレは禁止。男の子を刺激するから。うちは強制的にスポーツ刈り。他の子は隠れて付き合っていた。それがなくてもモテなかったけれどさ。
そんな日々を過ごしているうちに疲れ切ってしまって。
ある日、学校の友達がスマホを貸してくれた。異世界漫画や小説を見て私はどっぷりハマってしまった。親が思ういい子を演じることに慣れてしまったから、その日から隠れて綺麗にする日々。親から逃げられる気はしない。異世界転生で一発人生やり直すために魔法陣を作ってみたところ成功した。
(て、転生しちゃったんだよね。夢みたい……)
見慣れぬ紫色の髪の毛にペリドットの瞳を見て思わず見惚れてしまった。やんちゃで可愛い子だ。クルクル回りながら楽しんで前世を思い出す。
普通の性欲が強いムッツリ女子だった私。自分で小説を書いて複数人に犯される小説ばかり書いていた。
超過保護な両親の元、幼稚園から女子校育ち。女子大に行き、親が行けと指示した会社の就職が決まったときに転生した。
お父様、お母様。長生き出来なくてごめんなさい。こちらの世界で子づくり頑張りたいと思います。
この世界はどんな世界なんだろうか。魔法があると嬉しい。もし魔法が使えるとしたらどんな魔法が使えるのだろう。ドキドキとワクワクが止まらん。
前世思い出した転生令嬢だから何でも出来るはずだよね。
この日から一週間私は自分のことを知る事になった。
自分が書いたハーレム小説の世界だった。やったぜ!中世ヨーロッパを舞台にした温暖な気候と綺麗な街並みが綺麗なフォレスト王国。メシマズ設定じゃないから、オーガニックなご飯は美味しい。しかし物足りない。
イリナ・ペシャルティは8歳。名門伯爵の令嬢で多くの女の子の友達に囲まれていた。刺繍やピアノ、ダンスが得意な異世界の流行好きな女の子だった。前世陰キャの私には衝撃的だった。姉を虐める悪女だけれど、悪女って最後娼婦館に行くからさ。そこで運命の人に出会うんだ……。多分。ラストは何と書いたのか忘れてしまった。
そしてイリナは友達と男の子の仲を取り持つムードメーカーで、こいつおもしれぇ女枠だった。
前の人格とイリナの人格が混ざりあってしまうと前世と同じくモテない人生だなぁと思うしかなかった。
ダンスはいつもイリナから誘い、男の子はゴリラに誘われたから仕方ないと反応してダンスすることになるのだ。
なぜ異世界にゴリラ?というと女の子を泣かせると鉄拳制裁を加えることで有名だったからだ。武人の祖父と現将軍の父を持つイリナは幼くてもとても強い。肩に触れただけで指が折れてしまうのだ。
盗賊に襲われている公爵家の人も単身で助けたことがあるイリナ。返り血を浴びた姿を公爵夫人に見られると気絶された。
「崖から馬が駆けてきたと思ったら小さな恐ろしい形相の女の子がやってきて盗賊が木の棒で殴られた」
そのことをお茶会で話されて有名なのだ。おばあちゃんやお爺ちゃん世代にはイリナは黙っていると可愛いんだからとよく言われていた。
「他の子よりも圧倒的にかわええのにのぉ」
「今流行りの顔じゃないのかしら」
貴族令嬢は14歳から婚活が始まるからそれまでなんとかなるだろうと思っていた。この調子だとイレナはすぐに結婚できる。明るくて可愛くて恵まれている。騎士たちも頭を下げて挨拶してくれるし、肩車もしてくれる。
どうしよう。モテモテすぎて誰も選べなかったら。
(頼むから異世界転生させてください!イケメンだらけで私が美少女で持てる世界に行きたいです)
ノックの音がして慌ててシーツで隠すと前屈みになって気を失った……。
これがまさか最後だなんて知らなかった。
♢
目を覚ますと見知らぬ部屋。緩む口元を手で抑えて鏡を見ると心の中で喜んだ。やっと親から解放された。
前世日本人の私は女の子らしくを言われて親の言う通り育ってきた。女の子らしいこと以外は禁止。テレビもスマホも見るのは禁止。ろくでもない情報を手に入れてまともに育たないから。
刺繍にピアノ、ヴァイオリンに習字――。数えきれない習い事を習って身体で覚えてきた。オシャレは禁止。男の子を刺激するから。うちは強制的にスポーツ刈り。他の子は隠れて付き合っていた。それがなくてもモテなかったけれどさ。
そんな日々を過ごしているうちに疲れ切ってしまって。
ある日、学校の友達がスマホを貸してくれた。異世界漫画や小説を見て私はどっぷりハマってしまった。親が思ういい子を演じることに慣れてしまったから、その日から隠れて綺麗にする日々。親から逃げられる気はしない。異世界転生で一発人生やり直すために魔法陣を作ってみたところ成功した。
(て、転生しちゃったんだよね。夢みたい……)
見慣れぬ紫色の髪の毛にペリドットの瞳を見て思わず見惚れてしまった。やんちゃで可愛い子だ。クルクル回りながら楽しんで前世を思い出す。
普通の性欲が強いムッツリ女子だった私。自分で小説を書いて複数人に犯される小説ばかり書いていた。
超過保護な両親の元、幼稚園から女子校育ち。女子大に行き、親が行けと指示した会社の就職が決まったときに転生した。
お父様、お母様。長生き出来なくてごめんなさい。こちらの世界で子づくり頑張りたいと思います。
この世界はどんな世界なんだろうか。魔法があると嬉しい。もし魔法が使えるとしたらどんな魔法が使えるのだろう。ドキドキとワクワクが止まらん。
前世思い出した転生令嬢だから何でも出来るはずだよね。
この日から一週間私は自分のことを知る事になった。
自分が書いたハーレム小説の世界だった。やったぜ!中世ヨーロッパを舞台にした温暖な気候と綺麗な街並みが綺麗なフォレスト王国。メシマズ設定じゃないから、オーガニックなご飯は美味しい。しかし物足りない。
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そしてイリナは友達と男の子の仲を取り持つムードメーカーで、こいつおもしれぇ女枠だった。
前の人格とイリナの人格が混ざりあってしまうと前世と同じくモテない人生だなぁと思うしかなかった。
ダンスはいつもイリナから誘い、男の子はゴリラに誘われたから仕方ないと反応してダンスすることになるのだ。
なぜ異世界にゴリラ?というと女の子を泣かせると鉄拳制裁を加えることで有名だったからだ。武人の祖父と現将軍の父を持つイリナは幼くてもとても強い。肩に触れただけで指が折れてしまうのだ。
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「崖から馬が駆けてきたと思ったら小さな恐ろしい形相の女の子がやってきて盗賊が木の棒で殴られた」
そのことをお茶会で話されて有名なのだ。おばあちゃんやお爺ちゃん世代にはイリナは黙っていると可愛いんだからとよく言われていた。
「他の子よりも圧倒的にかわええのにのぉ」
「今流行りの顔じゃないのかしら」
貴族令嬢は14歳から婚活が始まるからそれまでなんとかなるだろうと思っていた。この調子だとイレナはすぐに結婚できる。明るくて可愛くて恵まれている。騎士たちも頭を下げて挨拶してくれるし、肩車もしてくれる。
どうしよう。モテモテすぎて誰も選べなかったら。
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