41 / 105
第1章 王都編
第41話 入城
しおりを挟む
儀式が行われる当日
商会の者に王城を見張らせていたが、特に動きがないことから、儀式は王城のどこかで行うのだろう。フェリクスは儀式の場所までは突き止めていなかったが、別段その必要はなかった。
フェリクスは王城の正門に正々堂々と降り立った。
王都の住人に騒がれても面倒なので最近、お世話になりぱっなしの隠蔽用の結界もフェリクスはしっかり張っている。
その結界が張られたことによって、王城の中が騒がしくなるが、フェリクスはそんなことは気にせず、ゆっくりと王城の正門に向かって歩いて行く。
「おい、貴様、何者だ」
正門を守る兵士から声が掛かるが、フェリクスは歩みを止めない。
「止まらねば、攻撃するぞ」
兵士の制止の声を無視したので、当然、フェリクスに対して、攻撃を開始される。
あえて、フェリクスは反撃せずにいた。剣や槍などの物理攻撃は受け流し、後ろに流していく。その様子を見ていて物理攻撃ではダメだと判断した兵士たちは、遠距離から、魔法をフェリクスに向かって打ちだした。
砂塵が立ち込める中、その中から無傷のフェリクスが姿を現した。
「くそ、ダメだ、皆、アリサ王女専用陣形用意」
「へぇ、少しはマシな人はいるみたいだね」
一人の兵士の掛け声を皮切りに兵士の陣形が変わっていく。目の前に兵士たちの盾が築かれ、その後ろで集団魔法を作っていた。
「まぁ、俺はアリサ王女じゃないから、そんなの待ってあげないよ」
ここで初めて、フェリクスは反撃に出る。フェリクスは10本の指でそれぞれ魔法陣を描いた。その速度は圧倒的に早く、兵士たちが反応するより魔法陣が早く組み立てられた。
その魔法陣が起動すると、縦の兵士たちの後ろで魔法を準備していた兵士たちが土から飛び出てきた手によって捕まえられる状態になった。
その様子に兵士たちは騒然となる。
「落ち着け―――」
そこに明らかに服装の違うものが現れる。服装の様子からして、近衛兵と言ったところだろう。
「私は、第一近衛騎士隊長サイラス、少年、何故、こんなことをするんだ」
まだ、フェリクスが誰も殺していないことから、対話が可能と思ったのだろう。
「俺は今日、儀式が行われる前に王様に話を付けに来ただけだ」
「何故、君がそのことを知っているんだ」
「そんなことは今問題じゃないだろ、俺を止めたければ止めてみなよ、誰も怪我をさせずに俺は王様の所まで行く」
「・・・君の覚悟は伝わった、しかし、私も近衛騎士として君を通すわけには行かない」
「だろうな」
これ以上の言葉は必要ないとお互いの魔力が高まっていく。いつ戦闘が起こってもおかしくないのにも関わらず、フェリクスはゆっくりと歩くのをやめない。
サイラスが剣を上段に構え、フェリクスが来るのを待った。そして、射程距離に入った瞬間、その剣は目にも止まらぬ速さで振り下ろされた。
しかし、次の瞬間、待っていたのは、根元から切られた剣といつの間にか抜刀された刀だった。
止めとばかりに呆然としているサイラスに何重にも拘束魔法が掛けられた。
近衛騎士隊長の一撃ですら、フェリクスにかすり傷を負わせることはできなかった。
そのまま、結局、フェリクスは誰にも止められることなく、王様がいる謁見の間にたどり着いた。
「やぁ、王様」
「なんの騒ぎかと思えば、アリサの学友が何用かな?」
王様の言葉は平穏だが、口調は決して穏やかではなかった。
「なぁに、ちょっと、王様に交渉をやりに来ただけだよ」
しかし、それ以上にフェリクスの口調には迫力があった。
商会の者に王城を見張らせていたが、特に動きがないことから、儀式は王城のどこかで行うのだろう。フェリクスは儀式の場所までは突き止めていなかったが、別段その必要はなかった。
フェリクスは王城の正門に正々堂々と降り立った。
王都の住人に騒がれても面倒なので最近、お世話になりぱっなしの隠蔽用の結界もフェリクスはしっかり張っている。
その結界が張られたことによって、王城の中が騒がしくなるが、フェリクスはそんなことは気にせず、ゆっくりと王城の正門に向かって歩いて行く。
「おい、貴様、何者だ」
正門を守る兵士から声が掛かるが、フェリクスは歩みを止めない。
「止まらねば、攻撃するぞ」
兵士の制止の声を無視したので、当然、フェリクスに対して、攻撃を開始される。
あえて、フェリクスは反撃せずにいた。剣や槍などの物理攻撃は受け流し、後ろに流していく。その様子を見ていて物理攻撃ではダメだと判断した兵士たちは、遠距離から、魔法をフェリクスに向かって打ちだした。
砂塵が立ち込める中、その中から無傷のフェリクスが姿を現した。
「くそ、ダメだ、皆、アリサ王女専用陣形用意」
「へぇ、少しはマシな人はいるみたいだね」
一人の兵士の掛け声を皮切りに兵士の陣形が変わっていく。目の前に兵士たちの盾が築かれ、その後ろで集団魔法を作っていた。
「まぁ、俺はアリサ王女じゃないから、そんなの待ってあげないよ」
ここで初めて、フェリクスは反撃に出る。フェリクスは10本の指でそれぞれ魔法陣を描いた。その速度は圧倒的に早く、兵士たちが反応するより魔法陣が早く組み立てられた。
その魔法陣が起動すると、縦の兵士たちの後ろで魔法を準備していた兵士たちが土から飛び出てきた手によって捕まえられる状態になった。
その様子に兵士たちは騒然となる。
「落ち着け―――」
そこに明らかに服装の違うものが現れる。服装の様子からして、近衛兵と言ったところだろう。
「私は、第一近衛騎士隊長サイラス、少年、何故、こんなことをするんだ」
まだ、フェリクスが誰も殺していないことから、対話が可能と思ったのだろう。
「俺は今日、儀式が行われる前に王様に話を付けに来ただけだ」
「何故、君がそのことを知っているんだ」
「そんなことは今問題じゃないだろ、俺を止めたければ止めてみなよ、誰も怪我をさせずに俺は王様の所まで行く」
「・・・君の覚悟は伝わった、しかし、私も近衛騎士として君を通すわけには行かない」
「だろうな」
これ以上の言葉は必要ないとお互いの魔力が高まっていく。いつ戦闘が起こってもおかしくないのにも関わらず、フェリクスはゆっくりと歩くのをやめない。
サイラスが剣を上段に構え、フェリクスが来るのを待った。そして、射程距離に入った瞬間、その剣は目にも止まらぬ速さで振り下ろされた。
しかし、次の瞬間、待っていたのは、根元から切られた剣といつの間にか抜刀された刀だった。
止めとばかりに呆然としているサイラスに何重にも拘束魔法が掛けられた。
近衛騎士隊長の一撃ですら、フェリクスにかすり傷を負わせることはできなかった。
そのまま、結局、フェリクスは誰にも止められることなく、王様がいる謁見の間にたどり着いた。
「やぁ、王様」
「なんの騒ぎかと思えば、アリサの学友が何用かな?」
王様の言葉は平穏だが、口調は決して穏やかではなかった。
「なぁに、ちょっと、王様に交渉をやりに来ただけだよ」
しかし、それ以上にフェリクスの口調には迫力があった。
1
お気に入りに追加
2,247
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
あ、出ていって差し上げましょうか?許可してくださるなら喜んで出ていきますわ!
リーゼロッタ
ファンタジー
生まれてすぐ、国からの命令で神殿へ取られ十二年間。
聖女として真面目に働いてきたけれど、ある日婚約者でありこの国の王子は爆弾発言をする。
「お前は本当の聖女ではなかった!笑わないお前など、聖女足り得ない!本来の聖女は、このマルセリナだ。」
裏方の聖女としてそこから三年間働いたけれど、また王子はこう言う。
「この度の大火、それから天変地異は、お前がマルセリナの祈りを邪魔したせいだ!出ていけ!二度と帰ってくるな!」
あ、そうですか?許可が降りましたわ!やった!
、、、ただし責任は取っていただきますわよ?
◆◇◆◇◆◇
誤字・脱字等のご指摘・感想・お気に入り・しおり等をくださると、作者が喜びます。
100話以内で終わらせる予定ですが、分かりません。あくまで予定です。
更新は、夕方から夜、もしくは朝七時ごろが多いと思います。割と忙しいので。
また、更新は亀ではなくカタツムリレベルのトロさですので、ご承知おきください。
更新停止なども長期の期間に渡ってあることもありますが、お許しください。
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる