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ルスカとリンドウ
しおりを挟むソロッソ町では、花畑を描くゾウのルスカが有名になっていました。
そんなある日、車椅子に乗った少年が、スケッチブックを持ってルスカの元へやってきました。
「やあ、ルスカ。ぼくはリンドウ。キミはほんとうに絵を描くのが好きなんだね。ぼくとおんなじだ」
リンドウがそう話しかけると、ルスカは、リンドウの目をじっと見つめ、それからまた、リンドウに見せるように花畑を描きはじめました。
「なんてステキなお花畑!それに、色とりどりの花を魔法のように描くキミの姿は、なんて美しいんだろう!」
リンドウはそう言うと、スケッチブックと絵の具を出して、花畑と、それを描くルスカの絵を描いたのでした。
その絵に描かれたルスカは、まるで魔法使いのように、美しく幻想的なゾウでした。
「見て。ルスカの絵を描いたよ。ぼくはすっかりキミのとりこだ!」
それからというもの、リンドウは毎日のようにやってきて、花畑を描くルスカの絵を描くようになりました。
ルスカも、リンドウが描く自分の絵を見るのが大好きになって、毎日リンドウが来るのを楽しみに待っていました。
ルスカは、自分のためだけでなく、リンドウが喜ぶ顔を見たいためにも絵を描くようになりました。
「ぼくもキミも、自由に走り回ることはできないけれど、絵を描いて、こうして見せ合える友だちがいるなんて、ぼくはとっても幸せだよ。ルスカもそう思ってくれる?」
ことばで語り合うことはできなくても、ルスカとリンドウは絵を描くことをとおして、お互いをわかっていたのです。
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