上 下
2 / 4
■2 

色とりどりの花畑

しおりを挟む
ルスカは、来る日も来る日も、枝で花の形を描いていました。

「ルスカは花を描くのが好きなのね。そうしたら、もっとたくさん、いろんな色で描いたら素敵かも」

キリコさんはそう言って、色とりどりの花畑の写真を何枚もルスカに見せました。

「これは、お花畑。お花がいっぱい咲いている場所よ」

それを見たルスカの目はキラキラとかがやき、うれしそうに鼻を持ち上げます。

「ルスカ、お花畑を描きたいのね。この紙に、いろんな色で描いてみて」

キリコさんは、地面に大きな紙を敷きました。

そして、赤や黄色や青、それに白の絵の具が入った大きな缶を置いて、ルスカの鼻に大きな筆を持たせてくれたのです。

ルスカは、大きな紙の上に、いろんな色のお花をいくつもいくつも描きました。

そのうちに、絵の具を混ぜ合わせると、また違う色ができることにも気づきました。

ピンクも紫もオレンジも緑も、1つ1つ違う何万通りもの色合いの花を、いくつもいくつも紙に描いたのです。

あまりにも夢中になって、ルスカは毎日何枚もの紙に、ずっと花畑を描きつづけました。



大きくなったルスカにとって、すみかは少し狭かったのです。

けれど、毎日花畑を描くルスカは、退屈することを知りません。

自由に草原を歩き回れなくとも、花畑を描いていれば、ルスカは幸せでした。

そんなルスカと、ルスカの描く花畑の絵は、ポロロッコ動物園のある小さな田舎町でだんだん広まっていきました。

いつの間にか、そのソロッソ町では、ルスカのことを知らない者はいないほど、有名になっていったのです。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

ちびりゅうと たからの ちず

関谷俊博
児童書・童話
ともくんたちは たからさがしに でかけました。

蛇逃の滝

影燈
児童書・童話
半妖の半助は、身に覚えなく追われていた。

理想の王妃様

青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。 王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。 王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題! で、そんな二人がどーなったか? ざまぁ?ありです。 お気楽にお読みください。

マサオの三輪車

よん
児童書・童話
Angel meets Boy. ゾゾとマサオと……もう一人の物語。

フォルテとアンダンテ

ぱとす
児童書・童話
とある国の王位継承の物語です。 お子様の寝物語にはちょっと無理かも。

Sadness of the attendant

砂詠 飛来
児童書・童話
王子がまだ生熟れであるように、姫もまだまだ小娘でありました。 醜いカエルの姿に変えられてしまった王子を嘆く従者ハインリヒ。彼の強い憎しみの先に居たのは、王子を救ってくれた姫だった。

友梨奈さまの言う通り

西羽咲 花月
児童書・童話
「友梨奈さまの言う通り」 この学校にはどんな病でも治してしまう神様のような生徒がいるらしい だけど力はそれだけじゃなかった その生徒は治した病気を再び本人に戻す力も持っていた……

ちびりゅうの ひみつきち

関谷俊博
児童書・童話
ともくんと ちびりゅうの ひみつきち づくりが はじまりました。 カエデの いちばん したの きのえだに にほんの ひもと わりばしで ちびりゅうの ブランコを つくりました。 ちびりゅうは ともくんの かたから とびたつと さっそく ブランコを こぎはじめました。 「がお がお」 ちびりゅうは とても たのしそうです。

処理中です...