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あの日から数ヶ月が経った。
エマは相変わらず、私を甘やかしてくれる。でも、前と違うのはそこに愛がある。そう確信出来るのが嬉しい。
でも、ザイルはエマと話をしようともせず。会わないようにしているのが…なんだか悲しいね。
エマはその度に苦笑しながら「しょうがないわね。」と悲しい目をしているけど…本人達の問題だから、私がどうこうしても意味が無いと思い、それ以上は話さなかった。
この数ヶ月で、ザイルと共同で作った商品が固定して私がいなくても大丈夫になり。私は暇な時間が増えてきた。
材料も作り方も教えて、もう安心できる。
売り上げ金は1割をいただき、後はザイル達が使っていいよ。と話したけど、納得して貰えず交渉の末…4割になってしまった。
私としては少年・・・いや、アルテミスから貰ったお金があるから不自由は無いんだけどね。
だからこのお金は、後で貢献しようと考えている。
この国で、充分すぎるほど暖かく優しいみんなに甘えてきた。そして、温泉も見つけて。エマとも両思いになれた。
こんな幸せでいいのかな、幸せ過ぎて怖い。
この数ヶ月は穏やかに過ぎていて、私はこのまま幸せが続けばいいと思っていた。
でも、このままこの場所に居てもいいのかな?
最近私はふとそう思う事があって、エマに相談しようとしてたんだけど。
「何を悩んでるの?」と先に聞かれてしまった。どうやら顔に出てたみたいだ。
「エマ、このまま…ここにいていいのかな?」
「んー?」
「思ったんだけど。私が来てから凄くよくなって。あっ!嫌味じゃなくて、皆んな凄く頑張っているから…私には勿体ないぐらいーー今は私が居なくてやっていけるみたいだし。」
そこまで言うと言葉が詰まってしまった。
「つばきちゃんは頑張ったんだね。うん。頑張った、偉いエライ」
よしよしと優しく抱きしめながら頭を撫でてくれるエマに涙がジワリとこみ上げてくる。
そうか、私は誰かに褒めて貰いたかったのかな?そんな気持ちになったけど。今はエマの胸の中で癒されたい。
「悲しくて泣いてるんじゃないよ?エマが優しくて、嬉しいの。」
「うん。そうー‥…ねぇ!考えたんだけど。そろそろ遠い国に行って見ない?」
「えっ?」
「だって~ここにいてもやる事は無いんでしょ?もう大丈夫なんでしょ?」
「ぅん…大丈夫だけどーーーでも…」
「私が守るわよ。それに、遠い国に行けばいいじゃない。ペガに乗ってさ!」
エマがニコニコしながら提案してくるから、私も不安になってた気持ちが吹き飛んだ。
そうだよね。いつまでもお世話になりっぱなしだとダメだよね…
「うん!新しい場所に行くのもいいかもしれないね。」
「そう来なくちゃ!」
エマはパチンとウインクしながらギュっと抱きしめ、いそいそと準備を始めた。
私は、お世話になった人達に挨拶をする為部屋を出る。
残されたエマは、独り言の様に呟いた。
「悩んでるみたいだったけど、気分転換になるかしら。でも、これで心置きなく愛せるわ~~2人っきりになる暇がなかったのよね~~つばきちゃんは大人気なんだから。」
苦笑しながらも、どこか嬉しそうにしているエマは上機嫌で荷物をアイテムバックの中にしまっていく。
そう、2人はまだ何も進展が無かったのだ。
日中は、色々な人達が挨拶にきたりとなかなか2人だけの時間が無く。夜は疲れた椿が先に寝てしまったり、襲いたい衝動に駆られても、ウルが威嚇し…結果。我慢するしかなかったのだ。
そんな苦労を椿は気付かずにノホホンと過ごしているのだった。
だから、今回ここを出る事を一番に喜んだのはエマかも知れない。
エマは相変わらず、私を甘やかしてくれる。でも、前と違うのはそこに愛がある。そう確信出来るのが嬉しい。
でも、ザイルはエマと話をしようともせず。会わないようにしているのが…なんだか悲しいね。
エマはその度に苦笑しながら「しょうがないわね。」と悲しい目をしているけど…本人達の問題だから、私がどうこうしても意味が無いと思い、それ以上は話さなかった。
この数ヶ月で、ザイルと共同で作った商品が固定して私がいなくても大丈夫になり。私は暇な時間が増えてきた。
材料も作り方も教えて、もう安心できる。
売り上げ金は1割をいただき、後はザイル達が使っていいよ。と話したけど、納得して貰えず交渉の末…4割になってしまった。
私としては少年・・・いや、アルテミスから貰ったお金があるから不自由は無いんだけどね。
だからこのお金は、後で貢献しようと考えている。
この国で、充分すぎるほど暖かく優しいみんなに甘えてきた。そして、温泉も見つけて。エマとも両思いになれた。
こんな幸せでいいのかな、幸せ過ぎて怖い。
この数ヶ月は穏やかに過ぎていて、私はこのまま幸せが続けばいいと思っていた。
でも、このままこの場所に居てもいいのかな?
最近私はふとそう思う事があって、エマに相談しようとしてたんだけど。
「何を悩んでるの?」と先に聞かれてしまった。どうやら顔に出てたみたいだ。
「エマ、このまま…ここにいていいのかな?」
「んー?」
「思ったんだけど。私が来てから凄くよくなって。あっ!嫌味じゃなくて、皆んな凄く頑張っているから…私には勿体ないぐらいーー今は私が居なくてやっていけるみたいだし。」
そこまで言うと言葉が詰まってしまった。
「つばきちゃんは頑張ったんだね。うん。頑張った、偉いエライ」
よしよしと優しく抱きしめながら頭を撫でてくれるエマに涙がジワリとこみ上げてくる。
そうか、私は誰かに褒めて貰いたかったのかな?そんな気持ちになったけど。今はエマの胸の中で癒されたい。
「悲しくて泣いてるんじゃないよ?エマが優しくて、嬉しいの。」
「うん。そうー‥…ねぇ!考えたんだけど。そろそろ遠い国に行って見ない?」
「えっ?」
「だって~ここにいてもやる事は無いんでしょ?もう大丈夫なんでしょ?」
「ぅん…大丈夫だけどーーーでも…」
「私が守るわよ。それに、遠い国に行けばいいじゃない。ペガに乗ってさ!」
エマがニコニコしながら提案してくるから、私も不安になってた気持ちが吹き飛んだ。
そうだよね。いつまでもお世話になりっぱなしだとダメだよね…
「うん!新しい場所に行くのもいいかもしれないね。」
「そう来なくちゃ!」
エマはパチンとウインクしながらギュっと抱きしめ、いそいそと準備を始めた。
私は、お世話になった人達に挨拶をする為部屋を出る。
残されたエマは、独り言の様に呟いた。
「悩んでるみたいだったけど、気分転換になるかしら。でも、これで心置きなく愛せるわ~~2人っきりになる暇がなかったのよね~~つばきちゃんは大人気なんだから。」
苦笑しながらも、どこか嬉しそうにしているエマは上機嫌で荷物をアイテムバックの中にしまっていく。
そう、2人はまだ何も進展が無かったのだ。
日中は、色々な人達が挨拶にきたりとなかなか2人だけの時間が無く。夜は疲れた椿が先に寝てしまったり、襲いたい衝動に駆られても、ウルが威嚇し…結果。我慢するしかなかったのだ。
そんな苦労を椿は気付かずにノホホンと過ごしているのだった。
だから、今回ここを出る事を一番に喜んだのはエマかも知れない。
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