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目を覚ますとエマがいる。
整った顔に長いまつ毛、男なのに女性のように美しいエマーーー
私の愛おしい人。やっと会えた、もう離れたりしない。
スヤスヤ眠るエマに椿はそっと頬に触れる。
「んん~」
「おはよう、エマ。」
もぞもぞと起き出すエマに挨拶すると「おはよう」っと、返事が返ってきた。
それだけで充分嬉しく顔がにやけてしまう。
「ふぁ~よく寝た、つばきちゃんも昨日より顔色が良くなったわね?」
コキコキと肩を鳴らしながら顔色を伺ってくるエマに「大丈夫だよ、何か食べる?」と声をかけながらテーブルに向かう。
確か、パンがあったよな?と朝食の準備をするとフワリと後ろから抱きしめられた。
驚いて、持っていたお皿を落としそうになるが耐えてドキドキする心臓を落ち着かせようとする。
「っどうしたの?ーー」
「無事でっっ無事で本当に良かったっ何かあったのかと心配だったのよ?」
「ーーーぅん」
抱きしめられた腕に触れると微かに震えている。不謹慎だと思いながらも心配してくれたのが嬉しいと思ってしまう。
「ウルがいたから、心強かったよ?」
「そう、ウルにも感謝しないとね。」
ウルはエマに椿を任せ、影の中に戻っていた。その為、しっかりと挨拶が出来ずにいたのだ。
《幸せ》
あんなにも失恋で懲りたのに、エマを好きだと自覚してからはこの気持ちを抑えきれない。
好きになるって事はこんなに幸せな気持ちになってしまうのかと思いながら、今はこの腕の中でエマの温もりを感じていたい。
グーー
気持ちとは裏腹に空気の読めないお腹が部屋に響く。
恥ずかしく、耳まで赤くなりながらエマを見ると笑いを堪えているようだ。
「しょっ、食事にしましょうか?」
腕を解き、パンをお皿に乗せてジャムを取るとエマを椅子に座るように促す。
「ふふっ相変わらずの食いしん坊さんね」
優雅にパンを手に取りジャムを付けて口に運ぶ姿を見て、綺麗だなと見惚れてしまう。
「・・・エマは、どうして自分が国王の子供だと知ったの?」
ピタリと食べる手を止めて静かに目を合わせるエマ。
昨日の話では、語られなかった事。真っ直ぐ見る椿の視線にエマはパンをお皿に置き、隣に座るようにと言うとまた静かに食べ始めた。
(言いたくないのかな?)
傷口を広げたのかと後悔したが、エマの全てを受け止めたい一心で口が滑ってしまったのだ。
沈黙の中、静かに食べ終えたエマが椿に向き合い鞄から1つの鍵を出してきた。
その鍵は銀色で赤い石がはめ込まれていた。
「これは?」
鍵を渡され、見てみるが特に変わった様子が無かった。
「この鍵は、ベリーナの形見。物心ついた時には首にぶら下げていたわ。羽を折られて酷い生活だったから、私は死のうと覚悟を決めた時にこの鍵が光ったの。
何もない空間なのに鍵穴があるみたいに動いて…ガチャリって聞こえたら、空間の歪みから1冊の本が出てきて中を見るとベリーナの日記だったわ。」
鞄から1冊の本を取り出して椿に渡す。それは上等な羊皮紙で装飾されていた。
ペラリとめくると綺麗な字が次々と変換されていく。
“愛しい我が息子、エマ・マーリン”
最初の文字から自分の死が分かっていたかのような内容だった。
“これを見ていると言う事は、あなたに危険が迫っているのね。ごめんなさい。側にいられなくて、でも忘れないで。私はあなたを愛しています。側にいなくてもエマの事が愛おしくて堪らない。どんな子に成長したかしら?私に似てるのかしら?あなたをずっと見ていたい。一緒に居たい。…けれど、それは叶わない事なのは分かっています。幼いあなたを残して居なくなる私を許してーーーーー”
日記には、エマへの愛が詰まっていた。
そして、本当の父の事も書かれていたのだ。
◇
読み終えて、エマを見ると柔らかい笑顔で椿を見つめていた。
「納得したかしら?」
「ぅんーーー」
言葉が見つからない。そう思いながら、日記を返すとエマは鞄にしまいながらポツリと話し出した。
「私も幼かったのよね、これを見つけて国王に見せたら今の生活が変わるって思ったのよ。歓喜のあまり、周りの事なんて目に入っていなかったの。それがあんな悲劇を生むなんて思いもよらなかったわ・・・」
そう言いながら、飲み物を口に運び一呼吸置き
「その頃、妃にはすでに王子がいたのよ。つばきちゃんも会ったでしょ?」
「・・・ザイル?」
思い当たる人物の名前を答えると、コクリと頷く。
「そう。ザイル。彼が第1王位継承権を握っていたのに、私が国王の息子だと知ると国王は、目の色を変えて私を取り立てたのよ。年も私の方が2つ上だからね。
国王派と妃派の者達が私かザイルを王子にしようと争いが起きてしまったの、私は未熟だったわーーー生活が良くなればいいと思ったのに事態は悪くなってしまった。それはしばらく続いて、結果的には暗殺にまで酷くなってしまいーーー私には止める術が無かったから怖くて震えることしか出来なかったの…
そんな時に彼が私を遠くに逃がしてくれたんだけど、残されたザイルに押し付ける形で逃げたから、ザイルは私の事を酷く恨んでいるでしょうね…」
「彼って?味方がいたの??」
「あぁ、彼はべリーナを幼い時から見守ってきた執事よ。今はザイルの影としているようだけど、私をつばきちゃんの所まで案内してくれたのも彼よ。」
(ーーー?そんな人いたかな?)
記憶を辿るが、覚えるのが苦手な椿には身に覚えが無かった。
「まぁ、私が街で働けるように色々教えてくれたから。今の私がいるって訳よ?はい!これで私のお話はお終い。他には?何か聞きたい事はあるの?」
最後は明るく締めくくったエマに椿はコクリと頷いた。
(エマについては分かったけど、まだ大事な事を聞いてない…)
「エマは、私の事が好き?」
整った顔に長いまつ毛、男なのに女性のように美しいエマーーー
私の愛おしい人。やっと会えた、もう離れたりしない。
スヤスヤ眠るエマに椿はそっと頬に触れる。
「んん~」
「おはよう、エマ。」
もぞもぞと起き出すエマに挨拶すると「おはよう」っと、返事が返ってきた。
それだけで充分嬉しく顔がにやけてしまう。
「ふぁ~よく寝た、つばきちゃんも昨日より顔色が良くなったわね?」
コキコキと肩を鳴らしながら顔色を伺ってくるエマに「大丈夫だよ、何か食べる?」と声をかけながらテーブルに向かう。
確か、パンがあったよな?と朝食の準備をするとフワリと後ろから抱きしめられた。
驚いて、持っていたお皿を落としそうになるが耐えてドキドキする心臓を落ち着かせようとする。
「っどうしたの?ーー」
「無事でっっ無事で本当に良かったっ何かあったのかと心配だったのよ?」
「ーーーぅん」
抱きしめられた腕に触れると微かに震えている。不謹慎だと思いながらも心配してくれたのが嬉しいと思ってしまう。
「ウルがいたから、心強かったよ?」
「そう、ウルにも感謝しないとね。」
ウルはエマに椿を任せ、影の中に戻っていた。その為、しっかりと挨拶が出来ずにいたのだ。
《幸せ》
あんなにも失恋で懲りたのに、エマを好きだと自覚してからはこの気持ちを抑えきれない。
好きになるって事はこんなに幸せな気持ちになってしまうのかと思いながら、今はこの腕の中でエマの温もりを感じていたい。
グーー
気持ちとは裏腹に空気の読めないお腹が部屋に響く。
恥ずかしく、耳まで赤くなりながらエマを見ると笑いを堪えているようだ。
「しょっ、食事にしましょうか?」
腕を解き、パンをお皿に乗せてジャムを取るとエマを椅子に座るように促す。
「ふふっ相変わらずの食いしん坊さんね」
優雅にパンを手に取りジャムを付けて口に運ぶ姿を見て、綺麗だなと見惚れてしまう。
「・・・エマは、どうして自分が国王の子供だと知ったの?」
ピタリと食べる手を止めて静かに目を合わせるエマ。
昨日の話では、語られなかった事。真っ直ぐ見る椿の視線にエマはパンをお皿に置き、隣に座るようにと言うとまた静かに食べ始めた。
(言いたくないのかな?)
傷口を広げたのかと後悔したが、エマの全てを受け止めたい一心で口が滑ってしまったのだ。
沈黙の中、静かに食べ終えたエマが椿に向き合い鞄から1つの鍵を出してきた。
その鍵は銀色で赤い石がはめ込まれていた。
「これは?」
鍵を渡され、見てみるが特に変わった様子が無かった。
「この鍵は、ベリーナの形見。物心ついた時には首にぶら下げていたわ。羽を折られて酷い生活だったから、私は死のうと覚悟を決めた時にこの鍵が光ったの。
何もない空間なのに鍵穴があるみたいに動いて…ガチャリって聞こえたら、空間の歪みから1冊の本が出てきて中を見るとベリーナの日記だったわ。」
鞄から1冊の本を取り出して椿に渡す。それは上等な羊皮紙で装飾されていた。
ペラリとめくると綺麗な字が次々と変換されていく。
“愛しい我が息子、エマ・マーリン”
最初の文字から自分の死が分かっていたかのような内容だった。
“これを見ていると言う事は、あなたに危険が迫っているのね。ごめんなさい。側にいられなくて、でも忘れないで。私はあなたを愛しています。側にいなくてもエマの事が愛おしくて堪らない。どんな子に成長したかしら?私に似てるのかしら?あなたをずっと見ていたい。一緒に居たい。…けれど、それは叶わない事なのは分かっています。幼いあなたを残して居なくなる私を許してーーーーー”
日記には、エマへの愛が詰まっていた。
そして、本当の父の事も書かれていたのだ。
◇
読み終えて、エマを見ると柔らかい笑顔で椿を見つめていた。
「納得したかしら?」
「ぅんーーー」
言葉が見つからない。そう思いながら、日記を返すとエマは鞄にしまいながらポツリと話し出した。
「私も幼かったのよね、これを見つけて国王に見せたら今の生活が変わるって思ったのよ。歓喜のあまり、周りの事なんて目に入っていなかったの。それがあんな悲劇を生むなんて思いもよらなかったわ・・・」
そう言いながら、飲み物を口に運び一呼吸置き
「その頃、妃にはすでに王子がいたのよ。つばきちゃんも会ったでしょ?」
「・・・ザイル?」
思い当たる人物の名前を答えると、コクリと頷く。
「そう。ザイル。彼が第1王位継承権を握っていたのに、私が国王の息子だと知ると国王は、目の色を変えて私を取り立てたのよ。年も私の方が2つ上だからね。
国王派と妃派の者達が私かザイルを王子にしようと争いが起きてしまったの、私は未熟だったわーーー生活が良くなればいいと思ったのに事態は悪くなってしまった。それはしばらく続いて、結果的には暗殺にまで酷くなってしまいーーー私には止める術が無かったから怖くて震えることしか出来なかったの…
そんな時に彼が私を遠くに逃がしてくれたんだけど、残されたザイルに押し付ける形で逃げたから、ザイルは私の事を酷く恨んでいるでしょうね…」
「彼って?味方がいたの??」
「あぁ、彼はべリーナを幼い時から見守ってきた執事よ。今はザイルの影としているようだけど、私をつばきちゃんの所まで案内してくれたのも彼よ。」
(ーーー?そんな人いたかな?)
記憶を辿るが、覚えるのが苦手な椿には身に覚えが無かった。
「まぁ、私が街で働けるように色々教えてくれたから。今の私がいるって訳よ?はい!これで私のお話はお終い。他には?何か聞きたい事はあるの?」
最後は明るく締めくくったエマに椿はコクリと頷いた。
(エマについては分かったけど、まだ大事な事を聞いてない…)
「エマは、私の事が好き?」
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