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「王、回収が終わりました」
「ご苦労。」
「少し多く回収してしまいましたが…」
「構わん。」
「分かりました。」
揺れ動く馬車の中で、王と影のやり取りが行われている中。椿は、腕の中でスヤスヤと寝息を立てていた。
愛おしそうに椿に触れると、その寝顔を見つめる。その姿は慈愛に満ちていた。
「王、国境を過ぎました。そろそろよろしいでしょうか?」
「あぁ任せる」
「はい。では、ペガサスに変え国に帰ります」
影は王の許可を貰い、馬に魔法をかけるとキラキラと馬の背に翼が生えてきた。いや、元々あったのを魔法で見えなくしていただけのようだ。
2頭のペガサスは翼を広げ、大空へと飛び立った。
「つばき、君を見つけた時から僕の花嫁と決めていたんだ。もう離さない。君は僕のものだ。あの男…エマ・マーリン、お前には絶対に渡さない。」
銀髪に隠れた金色の瞳には、エマに対しての憎しみの色が染まっていた。
◇
「ぅっ…う~ん、っは!私!!」
ガバリと起きた椿は、目の前に広がる光景に頭が真っ白になる。
キラキラと金銀の装飾品が飾られ、キングサイズの天蓋ベット。
窓から入る風に花瓶に生けられた花のよい香りが漂ってきた。
「・・・えっとーーー?」
自分の置かれた状況を読み込めないまま固まっていた所、部屋のドアが開いた。
「失礼します。奥様のお着替えをお手伝い致します。」
ぺこりと会釈しながら数名のメイドがベットに近付き、椿の服に触れる。
「だっだっ大丈夫です!自分で出来ます。」
狼狽えながら答える椿に有無を言わさずテキパキと脱がし着飾る。ふと、奥様とか聞こえたが真顔で作業するメイドが怖く聞き返す事が出来なかった。
「・・・もう、好きにして下さい。」
半ば投げやりに椿は身を委ねる。準備が終わると食事を用意してあると言われ、食堂にやってきた。
そこには、先に食事をしていたあの銀髪の男性がいた。
「あっ、」
何と声をかけていいのか迷い、言葉に詰まる。
(私を何で買ったの?いや、違うか。あなたは誰?これは直球すぎる?)そんな事を考えていたら。
「目覚めたか。体でおかしな所はあるかい?」
何より、この声に違和感を椿はずっと感じていた。
「・・・あなたは誰?前から私を知ってる?」
「起きてそうそうに質問かい?」
「ーーーこの声を私は知ってる。」
「声?あぁ、覚えていたんだね。うれしいよ、つばき」
「!!私の名前!」
「つばき?僕は何でも知ってるよ。例えばーー腕を治したり。病気も治したよね?そうそう、エマと一緒に旅をしていたようだけど。ーーーもう終わりだよ」
カタンと立ち上がり、口元を拭きながら椿の側に近づく。後ずさりながら椿は何故ここまで詳しいのか怖くなってきた。
「何でそんな事まで知ってるの!?エマの事もーーエマに何かしたら許さないからね!」
椿がエマの身を案じると、目の色を変えた男性がカッと目を見開き椿に詰め寄る。
「アイツの話なんかするんじゃない!!」
ビクゥと突然怒鳴る男性に驚いてしまった。それをみて、申し訳無さそうに「すまない、ただ。今後はアイツの話は聞きたくないんだ。」エマを知っているような口ぶりで、男は視線を逸らした。
「・・・・・」
「ごめん、僕にはつばきが必要なんだ。」
ギュウと抱きしめられ、椿は言葉を失った。そして、耳元で囁いた言葉に血の気が引いた。
「僕の名前はザイル・バッハ、この国の王。
そして、つばきは僕が異世界から呼んだ花嫁なんだ」
「ご苦労。」
「少し多く回収してしまいましたが…」
「構わん。」
「分かりました。」
揺れ動く馬車の中で、王と影のやり取りが行われている中。椿は、腕の中でスヤスヤと寝息を立てていた。
愛おしそうに椿に触れると、その寝顔を見つめる。その姿は慈愛に満ちていた。
「王、国境を過ぎました。そろそろよろしいでしょうか?」
「あぁ任せる」
「はい。では、ペガサスに変え国に帰ります」
影は王の許可を貰い、馬に魔法をかけるとキラキラと馬の背に翼が生えてきた。いや、元々あったのを魔法で見えなくしていただけのようだ。
2頭のペガサスは翼を広げ、大空へと飛び立った。
「つばき、君を見つけた時から僕の花嫁と決めていたんだ。もう離さない。君は僕のものだ。あの男…エマ・マーリン、お前には絶対に渡さない。」
銀髪に隠れた金色の瞳には、エマに対しての憎しみの色が染まっていた。
◇
「ぅっ…う~ん、っは!私!!」
ガバリと起きた椿は、目の前に広がる光景に頭が真っ白になる。
キラキラと金銀の装飾品が飾られ、キングサイズの天蓋ベット。
窓から入る風に花瓶に生けられた花のよい香りが漂ってきた。
「・・・えっとーーー?」
自分の置かれた状況を読み込めないまま固まっていた所、部屋のドアが開いた。
「失礼します。奥様のお着替えをお手伝い致します。」
ぺこりと会釈しながら数名のメイドがベットに近付き、椿の服に触れる。
「だっだっ大丈夫です!自分で出来ます。」
狼狽えながら答える椿に有無を言わさずテキパキと脱がし着飾る。ふと、奥様とか聞こえたが真顔で作業するメイドが怖く聞き返す事が出来なかった。
「・・・もう、好きにして下さい。」
半ば投げやりに椿は身を委ねる。準備が終わると食事を用意してあると言われ、食堂にやってきた。
そこには、先に食事をしていたあの銀髪の男性がいた。
「あっ、」
何と声をかけていいのか迷い、言葉に詰まる。
(私を何で買ったの?いや、違うか。あなたは誰?これは直球すぎる?)そんな事を考えていたら。
「目覚めたか。体でおかしな所はあるかい?」
何より、この声に違和感を椿はずっと感じていた。
「・・・あなたは誰?前から私を知ってる?」
「起きてそうそうに質問かい?」
「ーーーこの声を私は知ってる。」
「声?あぁ、覚えていたんだね。うれしいよ、つばき」
「!!私の名前!」
「つばき?僕は何でも知ってるよ。例えばーー腕を治したり。病気も治したよね?そうそう、エマと一緒に旅をしていたようだけど。ーーーもう終わりだよ」
カタンと立ち上がり、口元を拭きながら椿の側に近づく。後ずさりながら椿は何故ここまで詳しいのか怖くなってきた。
「何でそんな事まで知ってるの!?エマの事もーーエマに何かしたら許さないからね!」
椿がエマの身を案じると、目の色を変えた男性がカッと目を見開き椿に詰め寄る。
「アイツの話なんかするんじゃない!!」
ビクゥと突然怒鳴る男性に驚いてしまった。それをみて、申し訳無さそうに「すまない、ただ。今後はアイツの話は聞きたくないんだ。」エマを知っているような口ぶりで、男は視線を逸らした。
「・・・・・」
「ごめん、僕にはつばきが必要なんだ。」
ギュウと抱きしめられ、椿は言葉を失った。そして、耳元で囁いた言葉に血の気が引いた。
「僕の名前はザイル・バッハ、この国の王。
そして、つばきは僕が異世界から呼んだ花嫁なんだ」
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