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◇ エマ視点になります。


(つばきちゃんがいなくなり、色々な場所も探したが見つからなかったわ。手かがりはこの黒い花だけ。
お店を終い、ハウスに戻るけどやはり誰もいない。
つばきちゃんがいないから中に入れないわーーー)

「つばきちゃんー!?いるのーー?やっぱり。返事は無いわ」しょうがないからハウスを仕舞おうと壁に触れる。

「強制吸収。私の鞄に入りなさい。」
エマが魔法を使い、強制的に鞄へハウスを仕舞う。

「これだけは、使いたくなかったけど。しょうがないわね。」

“サーチ・捕捉対象者・つばき”

鞄から取り出した魔石に魔力を注ぐと、緑色の光に輝き出し蝶へと変わった。
その先につばきがいるのだ。

「鳥じゃなくて良かったわ。蝶ならまだ近くにいるわね」

ヒラヒラと羽ばたきながら椿の所まで案内する蝶は、人混みの中に紛れるが誰も気にしていない事から。エマにしか見えていないようだった。

人混みを抜けると街の外れにある建物の前をヒラヒラと回っている。
「ここね。ーーありがとう。戻っていいわ」
すると、光を無くした石がコロンと地面に転がる。
エマは石を拾うと鞄にしまい、建物を見ると豪邸だった。敷地を囲うように壁が立ちはだかり中の様子が分からない。

どうしようかと思っていたら、おじいさんが近づいてきた。
「おや、魔石を売ってたお嬢さんじゃないか。こんな所までどうしたんだい?」
「あら、最後のお客さんよね?立派な豪邸ね~誰が住んでいるのかしら?」

おじいさんから、世間話をして情報を聞き出そうと考えていた。
「ここは、この国を裏で支えているゼオン様の屋敷だよ。」
「ゼオン・様?」
「この国は、貧しくてねぇ。子供を育てられなくなった親が子を売りに来るのさ、それをゼオン様が高く売ってその利益が国を支える資源になっているのだよ」

「人買いなの?」
「人買いなんて!!人聞きの悪い!国の為なんだよ。異国の方は考えが違うからねぇ、酷い話だと思うが生きるために必要な事もあるんだよ」
おじいさんは悲しい目をしながらエマを見つめた。

「儂も何人か子供を売ったんだ。そのお金があったから、こうして生きているんだよ。あの子達も幸せだろう」
そう話すと歩いて行ってしまった。
残されたエマは考える。ここが人買いなら、つばきが売られる為に攫われた。そう考えて間違い無さそうだ。
だけど、理由がない。






「あった。ーーーウルを出したから目をつけられたのね。」
つばきを助ける為に、影の中から出たウル・フェンリル を物珍しさで欲しくなって攫った。
「守りが仇になるなんてーーーウルを出さない様に何かしら強い魔法があるのね。慎重に行かないと危険だわ」




エマは、屋敷の周りを見渡して中に入る方法が無いかと探した。

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