32 / 83
32
しおりを挟む
「つばき、つばきちゃん、着いたわよ~」
ユサユサとエマに起こされた。どうやら、いつのまにか寝ていたようだ。
「うー、もう着いたの?って!寒!!急に寒いんですけどーー」
腕をさすりながら、先程まで感じなかった寒さに震えながら窓の外を見て絶句した。
先程の景色とは違い、白銀の世界だったのだ。
「ーーー雪?この星にも雪があるの?」
自分がこちらに来た時はまだ夏だったのに、もう冬なのかとジンワリする。
雪は降っていなかったが、日本では豪雪地帯に行かないとここまで積もる事も無い雪景色に椿は見惚れていた。
「どう?綺麗よね~、この街は特別でね。王様が氷の精霊を代々受け継いでいるから平均で気温が低いのよ~今の時期は特に綺麗なのよね~~しばらく滞在しましょう」
「うんーーー」
エマの言葉に言葉ここにあらずで聞き流していた。
街を出ると話した時、記憶のない椿を色々な場所に連れて行き、何か思い出せれば。とエマが提案してくれたのだ。
本当は違うけど、言っても信じて貰えないと思い黙っていた。
無言で景色を見る椿に、「気に入ったのね。」とそっとしておくエマだった。
街に近づくと、外壁は氷で出来ているのか太陽に反射してキラキラと光っていた。氷の壁から透けて見える街はとても幻想的だ。
衛兵が一人一人確認しているので、とても時間がかかる。椿とエマは順番まで馬車で待つことにした。
「ブルブル、それにしても寒いーーエマは平気そうだね」
ガタガタ震える椿に対して、エマは平気な顔をしている。
服装は同じ薄着なのに、寒くないのかな?と思ってしまう。
「あら?つばきちゃんは寒いの?」
「寒いよ~~!こんなに寒いなら上着を用意するんだった。エマはよくその格好でいられるねー」
「ふふ、私だって寒いわよ?今はこれを飲んでるから寒さが和らいでるのよ~良かったら飲む?」
そういえば、さっきから暖かそうなの飲んでたな。気づかなかったけど。
ニコニコしながら飲み物を注ぎ、椿に手渡すと更にニコニコしている。
もしかして、この飲み物に何か入っているのかしら?
疑惑の目を向けると「毒なんていれてないわよ」と言われてしまった。
意を決してグイッと飲むと、意外にも蜂蜜とジンジャーの味で美味しかった。
「美味しい、エマが用意したから絶対まずいって思ったのに、予想外だゎ」
「あんたねーー人を何だと思ってんのよ」
つい、心の声が漏れてしまった。でも、本当に美味しい。それになんだかポカポカしてきたかも、これなら上着が無くても大丈夫。
ゴクゴクと飲み干して、空になったコップをエマに返すとニンマリしたエマが片付けながら椿の隣に座る。
「全部飲んだのね?これが何だか分からなかったの?」
「えっ?蜂蜜とジンジャーの味でしたけどーーやっぱり毒が!?」
「馬鹿ね!入れてないって言ってるでしょ!?まったく、失礼しちゃうわね。これには、ほんの一滴だけ媚薬が入っているのよ。一滴なら体が温まるだけ。でも、沢山入れたらーーどうなるか分かるでしょ?」
怪しげに話すエマにいまいち話が分かっていなかったが、媚薬と聞いて青ざめた。
「!!!やっぱり毒じゃないですか!?どうしてくれるんですか?媚薬なんて……ムラムラな気分になるじゃない!」
カッと赤くなりながら話す椿に、落ち着きなさいよ。っと冷静に話すエマ。
「何で今、この飲み物を飲ませたと思う?この街は氷の精霊が守っているから常に寒いの。だから、皆これを普通に飲んでるゎ。
この街の住民は媚薬に対して抗体が出来ているけど、私達のように慣れていない人間には危険なの。この意味は分かるわね?」
真剣に話すエマにコクリと頷く。
「いい子ね。だから、街で出された飲み物は飲んだらダメよ?何に入れて飲んでるか分からないからね。1週間ほど観光したら次の街に行きましょう。」
なんて恐ろしい街なんだ。怖すぎる。
椿が絶句していると、あははと笑いながら頭を撫でてくれた。
「怖がらせちゃったわね~、飲み物に気をつければいい町よ?街は綺麗だし、装飾品もお勧めよ」
「わざわざ、寄らなくても良かったんじゃない?」
「あら!それはダメよ。次の街まで、また何日もかかるのよ?少し休憩しながらじゃないと体が持たないわ」
それもそうかと、納得した。
飲み物か……飲まないって事は出来ないから、自分で作ればいいか。
無限空間から取り出すと見せかけて、飲み物を出せばいいと考えていたが、エマが既に用意してくれたので大丈夫そうだ。
他にも、街について話していたら順番が来たようで外から降りるように声をかけられた。
「身分証明書、ギルドカードを見せて1週間ぐらい滞在って言えば大丈夫よ」
と、エマに教えて貰ったとおりにするとすんなり「許可する」と門を開けてくれた。
滞在なら、馬車は門の近くで預かる仕組みで馬さんとはしばしのお別れ。
馬車と馬を預けてから街に入る。
煉瓦で作った道の上にガラスを覆った作りになっている。キラキラしている道に椿は一歩踏み出す。
ピキィーーーッ
氷が割れる様な音が響き渡る。
椿の足元から亀裂が起きたのだ。
「えっ?」
訳が分からず、戸惑っていると衛兵が近寄ってきた。
「あんた、何したのよ?」
「えっ?えっ?私?私は何もしてないよ!?」
椿があたふたしていると、衛兵が椿に詰め寄ってきた。
「失礼ながら、あちらでお話を伺えますか?」
何かの間違いと思いながらも衛兵の後をついて行く度に、ピキィベキッと足元がひび割れている。
振り返ると椿の歩いた部分がひび割れていた。
(そんなに重くないんだけど、)
自分の重みでひび割れたのか心配する椿だった。
ユサユサとエマに起こされた。どうやら、いつのまにか寝ていたようだ。
「うー、もう着いたの?って!寒!!急に寒いんですけどーー」
腕をさすりながら、先程まで感じなかった寒さに震えながら窓の外を見て絶句した。
先程の景色とは違い、白銀の世界だったのだ。
「ーーー雪?この星にも雪があるの?」
自分がこちらに来た時はまだ夏だったのに、もう冬なのかとジンワリする。
雪は降っていなかったが、日本では豪雪地帯に行かないとここまで積もる事も無い雪景色に椿は見惚れていた。
「どう?綺麗よね~、この街は特別でね。王様が氷の精霊を代々受け継いでいるから平均で気温が低いのよ~今の時期は特に綺麗なのよね~~しばらく滞在しましょう」
「うんーーー」
エマの言葉に言葉ここにあらずで聞き流していた。
街を出ると話した時、記憶のない椿を色々な場所に連れて行き、何か思い出せれば。とエマが提案してくれたのだ。
本当は違うけど、言っても信じて貰えないと思い黙っていた。
無言で景色を見る椿に、「気に入ったのね。」とそっとしておくエマだった。
街に近づくと、外壁は氷で出来ているのか太陽に反射してキラキラと光っていた。氷の壁から透けて見える街はとても幻想的だ。
衛兵が一人一人確認しているので、とても時間がかかる。椿とエマは順番まで馬車で待つことにした。
「ブルブル、それにしても寒いーーエマは平気そうだね」
ガタガタ震える椿に対して、エマは平気な顔をしている。
服装は同じ薄着なのに、寒くないのかな?と思ってしまう。
「あら?つばきちゃんは寒いの?」
「寒いよ~~!こんなに寒いなら上着を用意するんだった。エマはよくその格好でいられるねー」
「ふふ、私だって寒いわよ?今はこれを飲んでるから寒さが和らいでるのよ~良かったら飲む?」
そういえば、さっきから暖かそうなの飲んでたな。気づかなかったけど。
ニコニコしながら飲み物を注ぎ、椿に手渡すと更にニコニコしている。
もしかして、この飲み物に何か入っているのかしら?
疑惑の目を向けると「毒なんていれてないわよ」と言われてしまった。
意を決してグイッと飲むと、意外にも蜂蜜とジンジャーの味で美味しかった。
「美味しい、エマが用意したから絶対まずいって思ったのに、予想外だゎ」
「あんたねーー人を何だと思ってんのよ」
つい、心の声が漏れてしまった。でも、本当に美味しい。それになんだかポカポカしてきたかも、これなら上着が無くても大丈夫。
ゴクゴクと飲み干して、空になったコップをエマに返すとニンマリしたエマが片付けながら椿の隣に座る。
「全部飲んだのね?これが何だか分からなかったの?」
「えっ?蜂蜜とジンジャーの味でしたけどーーやっぱり毒が!?」
「馬鹿ね!入れてないって言ってるでしょ!?まったく、失礼しちゃうわね。これには、ほんの一滴だけ媚薬が入っているのよ。一滴なら体が温まるだけ。でも、沢山入れたらーーどうなるか分かるでしょ?」
怪しげに話すエマにいまいち話が分かっていなかったが、媚薬と聞いて青ざめた。
「!!!やっぱり毒じゃないですか!?どうしてくれるんですか?媚薬なんて……ムラムラな気分になるじゃない!」
カッと赤くなりながら話す椿に、落ち着きなさいよ。っと冷静に話すエマ。
「何で今、この飲み物を飲ませたと思う?この街は氷の精霊が守っているから常に寒いの。だから、皆これを普通に飲んでるゎ。
この街の住民は媚薬に対して抗体が出来ているけど、私達のように慣れていない人間には危険なの。この意味は分かるわね?」
真剣に話すエマにコクリと頷く。
「いい子ね。だから、街で出された飲み物は飲んだらダメよ?何に入れて飲んでるか分からないからね。1週間ほど観光したら次の街に行きましょう。」
なんて恐ろしい街なんだ。怖すぎる。
椿が絶句していると、あははと笑いながら頭を撫でてくれた。
「怖がらせちゃったわね~、飲み物に気をつければいい町よ?街は綺麗だし、装飾品もお勧めよ」
「わざわざ、寄らなくても良かったんじゃない?」
「あら!それはダメよ。次の街まで、また何日もかかるのよ?少し休憩しながらじゃないと体が持たないわ」
それもそうかと、納得した。
飲み物か……飲まないって事は出来ないから、自分で作ればいいか。
無限空間から取り出すと見せかけて、飲み物を出せばいいと考えていたが、エマが既に用意してくれたので大丈夫そうだ。
他にも、街について話していたら順番が来たようで外から降りるように声をかけられた。
「身分証明書、ギルドカードを見せて1週間ぐらい滞在って言えば大丈夫よ」
と、エマに教えて貰ったとおりにするとすんなり「許可する」と門を開けてくれた。
滞在なら、馬車は門の近くで預かる仕組みで馬さんとはしばしのお別れ。
馬車と馬を預けてから街に入る。
煉瓦で作った道の上にガラスを覆った作りになっている。キラキラしている道に椿は一歩踏み出す。
ピキィーーーッ
氷が割れる様な音が響き渡る。
椿の足元から亀裂が起きたのだ。
「えっ?」
訳が分からず、戸惑っていると衛兵が近寄ってきた。
「あんた、何したのよ?」
「えっ?えっ?私?私は何もしてないよ!?」
椿があたふたしていると、衛兵が椿に詰め寄ってきた。
「失礼ながら、あちらでお話を伺えますか?」
何かの間違いと思いながらも衛兵の後をついて行く度に、ピキィベキッと足元がひび割れている。
振り返ると椿の歩いた部分がひび割れていた。
(そんなに重くないんだけど、)
自分の重みでひび割れたのか心配する椿だった。
0
お気に入りに追加
871
あなたにおすすめの小説
二度目の人生は異世界で溺愛されています
ノッポ
恋愛
私はブラック企業で働く彼氏ナシのおひとりさまアラフォー会社員だった。
ある日 信号で轢かれそうな男の子を助けたことがキッカケで異世界に行くことに。
加護とチート有りな上に超絶美少女にまでしてもらったけど……中身は今まで喪女の地味女だったので周りの環境変化にタジタジ。
おまけに女性が少ない世界のため
夫をたくさん持つことになりー……
周りに流されて愛されてつつ たまに前世の知識で少しだけ生活を改善しながら異世界で生きていくお話。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
魔力なしと虐げられた令嬢は孤高の騎士団総長に甘やかされる
橋本彩里(Ayari)
恋愛
五歳で魔力なしと判定され魔力があって当たり前の貴族社会では恥ずかしいことだと蔑まれ、使用人のように扱われ物置部屋で生活をしていた伯爵家長女ミザリア。
十六歳になり、魔力なしの役立たずは出て行けと屋敷から追い出された。
途中騎士に助けられ、成り行きで王都騎士団寮、しかも総長のいる黒狼寮での家政婦として雇われることになった。
それぞれ訳ありの二人、総長とミザリアは周囲の助けもあってじわじわ距離が近づいていく。
命を狙われたり互いの事情やそれにまつわる事件が重なり、気づけば総長に過保護なほど甘やかされ溺愛され……。
孤高で寡黙な総長のまっすぐな甘やかしに溺れないようにとミザリアは今日も家政婦業に励みます!
※R15については暴力や血の出る表現が少々含まれますので保険としてつけています。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる