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眼福だな~っと、イケメンを見ると目が合い シュバーツ王子がハッとして椿の手にキスを落とす。
「シュバーツ・ウル・インダーと申します。以後、お見知り置きを」
「あっーーはい。春風 椿と申します。助けていただき、ありがとうございます」

お礼を言うと、にこりと笑うイケメン。もとい、シュバーツ王子。握った手を離して欲しいんですが。

「はるかぜつばき?では、つばき。そうお呼びしても?」
「はい。良いですよ」
「つばき、貴女は身分証明書が無い。そう言いましたね?何か事情でもあるのですか?」
優しく話かけながら、何故か馬車の方に連れて行かれてるんですけど。手も離してくれないし、ジャイローーは後ろから付いてきてる。
「あの、身分証明書は気付いたら無かったんです。ーーどこに連れて行くんですか?」
「私の馬車です。見た所、つばきはそのマントの下に何も着てないですよね?身分証明書もお金も無い。詳しくは馬車の中で話しましょうか。ーーーまた、はだけてもしたら大変です」
「ーー!!」

隠そうとしていたが、見破られていたのだ。
なら、話は早いと椿はこれまでの経緯を説明した。
気づいたら森にいて、何も所持していなく、以前の記憶が無い。
そう話をしたのだ。
本当の事を言っても信じてもらえない。だから、嘘をついたのだ。
シュバーツは、目を椿から離さず黙って聞いていた。

「そうでしたか、記憶も無いとはーー心細かったでしょう。では、記憶が戻るまで私の王宮で過ごしたらどうでしょう?行く当ても無いのでは?」
「えっとーー」

確かに嬉しい申し出だけど、私が王宮?ふふっ笑ってしまう。
「嬉しい申し出ですが、ご遠慮します。こんな平凡な私が王宮になんて恐れ多いです。自分で、住む所を見つけますので失礼します」
ぺこりと会釈をして、門の方へ踵を返す。
「まって!!」
ガシッと腕を掴まれ、イケメンが椿に迫る。
「なら!せめて、服を用意する!その姿で、街を歩くのは危険だよ!」
そうだった。自分の格好を忘れてました。

「では、お言葉に甘えて良いでしょうか?」
「!!あぁ、すぐに出発しよう!」
また、手を握られ馬車に乗せて貰う。



なんで、この人はすぐ手を握るのかな?
そんな疑問を考えながら、馬車の外を眺める。
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