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第10話 もし、クソ男の本性が見えたら
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そういって裕は俺達に画面を見せた。そこには写真のフォルダーがあり、中には大量の隠し撮りされたと思われる木山と女の写真があった。
「おいこれ……」
「おいおいおい! あんな人畜無害な顔をしておいて、とんだプレイボーイだな。一体何人だ? 何人と女と仲良くしてるって言うんだろうな? ご丁寧に自分と女の写真まであるぜ」
「……はん。結局、芽亜里も大勢いる”お友達”の1人ってか。間抜けな女だ。そんな間抜けにしてやられた俺はそれ以下だな」
「そう言うなよ、底に落ちたらそれ以上に這い上がればいいんだ。……お、こいつなんてなかなか面白いぜ?」
そう言って裕が見せて来たのは女の情報じゃない。ご丁寧に、いつ、何処で、誰と、何をやっていたかっていうマッチポンプの証拠がズラりと並んでた。几帳面な性格が裏目に出たな。こういうもんは机の中にでもしまっとくもんだ。
「他には、っと。……戸川さんとは一ヶ月前に関係を持ったらしいな、何か心当たりあるか?」
「付き合いが悪くなったのがその辺りだ。まあ、これは予想通りだが」
「そうだよな。何かもっとヤバめのもんは―――」
「待て、それはなんだ?」
「あ?」
俺が指差したのは、一枚の動画だった。
「んー?……あぁ、こいつは傑作だ。どうやら木山は――教師とも関係があったみたいだな」
その動画は、仕掛けたと思われるスマホのカメラによってうつされたものだった。
隠し撮りのように映ったそれは、木山と女教師のキス。
「確かこの先生、寿退社したんじゃなかったか? 婚約者と子供ができたってさ」
「まさか木山の野郎……!」
動画を他にもあった。それもとんでもないものだ。
『あの人とは条件があったから結婚するの。愛してるのはあくまであなたよ』
『分かってますよ、僕も同じ気持ちです。でも今の僕では貴女とともに過ごすことができない……!』
『もう何も言わないで、仕方がないのよ。でも、あなたとの思い出はこの子と共にいつまでも守っていくわ』
そういって、膨らみの目立つ腹を撫でる女教師。その顔はまさしく愛しいものを愛でる母親の顔だった。
「臭すぎて鼻が曲がる程感動的だな。悲劇のヒロインに酔った女と自分の演技に酔いしれる男……。クソみたいな連中ってのが身近にいるのは気分が悪くなるぜ」
吐き捨てるように放つ裕には完全に同意するとして、だ。
俺達は一つ切り札を手に入れたって訳だ。
「さて、あんまり悠長にはしてられない。……こいつを繋げてっと」
裕は懐から外付けのカードリーダーを取り出して自分のスマホにセットする。
カードリーダーに取り付けたカードに木山のデータを転送し始めた。
「さすがにちと時間がかかるな。……あ、先輩方もうちょっとだけ伸ばせますか? すんませんありがとうございます」
「無線なんて、何でそんなの持ってんだ?」
「ロボット部の連中に借りたんだよ。あいつら基本モテないからな、女を食いものにする奴を懲らしめる為って言ったら喜んで貸してくれたぜ」
裕の人脈の広さに驚く暇もなく、作業は進んでいく。
その間に裕は木山のスマホを弄くり回している。
俺はというと特にすることも無いから滝と一緒に木山のスマホを眺めているだけだ。スマホの中には俺たちの知らない女の名前ばかり。その中には聞いたことの無い名前もある。ここまで女好きだとは。そういや、権力者ってのはそっちの方もやり手なんて聞くが、あいつも漏れなくその類か。
「おいこれ……」
「おいおいおい! あんな人畜無害な顔をしておいて、とんだプレイボーイだな。一体何人だ? 何人と女と仲良くしてるって言うんだろうな? ご丁寧に自分と女の写真まであるぜ」
「……はん。結局、芽亜里も大勢いる”お友達”の1人ってか。間抜けな女だ。そんな間抜けにしてやられた俺はそれ以下だな」
「そう言うなよ、底に落ちたらそれ以上に這い上がればいいんだ。……お、こいつなんてなかなか面白いぜ?」
そう言って裕が見せて来たのは女の情報じゃない。ご丁寧に、いつ、何処で、誰と、何をやっていたかっていうマッチポンプの証拠がズラりと並んでた。几帳面な性格が裏目に出たな。こういうもんは机の中にでもしまっとくもんだ。
「他には、っと。……戸川さんとは一ヶ月前に関係を持ったらしいな、何か心当たりあるか?」
「付き合いが悪くなったのがその辺りだ。まあ、これは予想通りだが」
「そうだよな。何かもっとヤバめのもんは―――」
「待て、それはなんだ?」
「あ?」
俺が指差したのは、一枚の動画だった。
「んー?……あぁ、こいつは傑作だ。どうやら木山は――教師とも関係があったみたいだな」
その動画は、仕掛けたと思われるスマホのカメラによってうつされたものだった。
隠し撮りのように映ったそれは、木山と女教師のキス。
「確かこの先生、寿退社したんじゃなかったか? 婚約者と子供ができたってさ」
「まさか木山の野郎……!」
動画を他にもあった。それもとんでもないものだ。
『あの人とは条件があったから結婚するの。愛してるのはあくまであなたよ』
『分かってますよ、僕も同じ気持ちです。でも今の僕では貴女とともに過ごすことができない……!』
『もう何も言わないで、仕方がないのよ。でも、あなたとの思い出はこの子と共にいつまでも守っていくわ』
そういって、膨らみの目立つ腹を撫でる女教師。その顔はまさしく愛しいものを愛でる母親の顔だった。
「臭すぎて鼻が曲がる程感動的だな。悲劇のヒロインに酔った女と自分の演技に酔いしれる男……。クソみたいな連中ってのが身近にいるのは気分が悪くなるぜ」
吐き捨てるように放つ裕には完全に同意するとして、だ。
俺達は一つ切り札を手に入れたって訳だ。
「さて、あんまり悠長にはしてられない。……こいつを繋げてっと」
裕は懐から外付けのカードリーダーを取り出して自分のスマホにセットする。
カードリーダーに取り付けたカードに木山のデータを転送し始めた。
「さすがにちと時間がかかるな。……あ、先輩方もうちょっとだけ伸ばせますか? すんませんありがとうございます」
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「ロボット部の連中に借りたんだよ。あいつら基本モテないからな、女を食いものにする奴を懲らしめる為って言ったら喜んで貸してくれたぜ」
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