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第1話
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突然だけど私は婚約を破棄されるらしい。
それは煌びやかなパーティー会場での出来事。高い天井に吊るされたシャンデリアが柔らかい光を放ち、着飾った貴族たちが優雅に談笑している。間違いなく今この国で一番華やかな場所だろう。
そんな中、第二王子であるリオン殿下の声が静寂を引き起こしたのだ。
「エリナ・クロウノート。君との婚約をここに破棄する」
私に向けられた冷たい声、咄嗟に言葉を失った。それでも、動揺を表に出してはならないと自身に言い聞かせる。
会場中の視線が一斉にこちらに集まる中、なるべく冷静を装って問い返した。
「殿下、そのような決定を突然告げられる理由がわかりません。どうかお聞かせ願えますか?」
「理由は簡単だ。君が偽りの聖女であり、本当の聖女であるリシアを虐げてきたからだ」
殿下の隣には、私の妹であるリシアが立っていた。
(どういうこと……?)
状況に取り残される中、彼女は大粒の涙を浮かべて俯き、震える声でこう言った。
「お、お姉様は今まで私を無能な妹として振る舞うように命じていたんです……っ。私はずっと怖かったけれど……やっと真実を話せましたっ!」
周囲の貴族たちはざわめき、一斉に非難の視線を向けてきた。
リシアは人一倍その容姿に自信を持っており、現に美しい顔が涙で濡れたその姿に多くの人が心を動かされているのが分かる。
「嘘ですっ!」
私は強い声で否定する。
まるで意味がわからず、悪人として仕立て上げられた事が認められないからだ。
「リシアは偽りを語っています。御存じでしょう? 私は聖女として神託を受け、その役目を今日という日まで果たしてきた。そのつもりです。一体、彼女の言うことに何の証拠はあるというのですか?」
しかし、殿下は私の言葉の聞く必要もないと言わんばかりに、遮るが如く冷たく言い放った。
「証拠など必要ではない。このリシアの純真の涙を見れば分かる。君のような醜い下衆と婚約を続けるわけにはいかない! この国の王族として、このような悪縁は断ち切らなければ国の災いにもなりえるからな! 私とて非情な決断に苦しいのだ。わかってもらえると信じているぞ」
そういう彼の言葉は、到底己の判断に苦しんでるようには聞こえない。
私は拳を握りしめた。冷静であろうと努めたが視界が滲む。
いつも私が支える存在だったはずの殿下が、こんなにも簡単に私を見限るとは思わなかった。
こんなに……!
「お姉様、もういい加減認めてください!」
リシアが追い打ちをかけるように言う。彼女の声には確かな勝ち誇りが含まれていた。
私は屈辱に塗れながらも深々と礼をし、その場を立ち去った。
これ以上話をしても意味がないと悟ったのだ。誤解だとかは関係ない、私の存在そのものが彼らにとって疎ましいとわかった。
それは煌びやかなパーティー会場での出来事。高い天井に吊るされたシャンデリアが柔らかい光を放ち、着飾った貴族たちが優雅に談笑している。間違いなく今この国で一番華やかな場所だろう。
そんな中、第二王子であるリオン殿下の声が静寂を引き起こしたのだ。
「エリナ・クロウノート。君との婚約をここに破棄する」
私に向けられた冷たい声、咄嗟に言葉を失った。それでも、動揺を表に出してはならないと自身に言い聞かせる。
会場中の視線が一斉にこちらに集まる中、なるべく冷静を装って問い返した。
「殿下、そのような決定を突然告げられる理由がわかりません。どうかお聞かせ願えますか?」
「理由は簡単だ。君が偽りの聖女であり、本当の聖女であるリシアを虐げてきたからだ」
殿下の隣には、私の妹であるリシアが立っていた。
(どういうこと……?)
状況に取り残される中、彼女は大粒の涙を浮かべて俯き、震える声でこう言った。
「お、お姉様は今まで私を無能な妹として振る舞うように命じていたんです……っ。私はずっと怖かったけれど……やっと真実を話せましたっ!」
周囲の貴族たちはざわめき、一斉に非難の視線を向けてきた。
リシアは人一倍その容姿に自信を持っており、現に美しい顔が涙で濡れたその姿に多くの人が心を動かされているのが分かる。
「嘘ですっ!」
私は強い声で否定する。
まるで意味がわからず、悪人として仕立て上げられた事が認められないからだ。
「リシアは偽りを語っています。御存じでしょう? 私は聖女として神託を受け、その役目を今日という日まで果たしてきた。そのつもりです。一体、彼女の言うことに何の証拠はあるというのですか?」
しかし、殿下は私の言葉の聞く必要もないと言わんばかりに、遮るが如く冷たく言い放った。
「証拠など必要ではない。このリシアの純真の涙を見れば分かる。君のような醜い下衆と婚約を続けるわけにはいかない! この国の王族として、このような悪縁は断ち切らなければ国の災いにもなりえるからな! 私とて非情な決断に苦しいのだ。わかってもらえると信じているぞ」
そういう彼の言葉は、到底己の判断に苦しんでるようには聞こえない。
私は拳を握りしめた。冷静であろうと努めたが視界が滲む。
いつも私が支える存在だったはずの殿下が、こんなにも簡単に私を見限るとは思わなかった。
こんなに……!
「お姉様、もういい加減認めてください!」
リシアが追い打ちをかけるように言う。彼女の声には確かな勝ち誇りが含まれていた。
私は屈辱に塗れながらも深々と礼をし、その場を立ち去った。
これ以上話をしても意味がないと悟ったのだ。誤解だとかは関係ない、私の存在そのものが彼らにとって疎ましいとわかった。
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