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第五章『思いはひとつ!』
ルナル対ディラン
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「食らえ、天雨四連撃!」
「なんの! 天閃烈破!」
ディランの振り下ろしとルナルの振り上げがぶつかり合う。初撃の動きでお互いの武器がぶつかり合って、一気に膠着状態に入る。
「くくっ、さすがは現役の魔王といったところだな。これをいとも容易く受け止めるとはな」
「だてに紅の砦、アカーシャと戦って勝ってはいませんよ」
剣と槍をぶつけ合ったまま、お互いに譲らないルナルとディラン。そこからはただならぬ雰囲気が漂っている。こうなってくると誰もそこには近付けない。ある意味二人だけの領域と化していた。
「ふん、あの運だけで勝ったような戦いか。まるで児戯だったぞ」
「まぁ、そんな人にも勝てず、下についていたというのに……。実に面白い事を言う人ですね、あなたは」
「ほざけっ!」
剣を引いて距離を取るディラン。そして、着地するや否や次の攻撃を放つ。
「聖破斬!」
聖属性の衝撃波を放つ技だった。魔族を封じる魔法陣すら扱えるディランにとってしてみれば、軽々と扱える技である。
「軽いですね……、槍竜閃!」
ディランの放った衝撃波を、ルナルは槍を鋭く突く衝撃波で相殺する。ぶつかり合った衝撃で辺りに爆風が吹き荒れるが、二人ともまったく動じないで立っていた。
「くっ、さすがは魔王といったところか。子どもだましでは通じないというのか」
「ハンターをやりながら、私がさぼっていたと思いますか?」
苦しい表情のディランに対して、ルナルは槍で肩をポンポンと叩いている。ずいぶんと余裕なようだ。そして、再び槍を構える。
一方のディランの方も笑みを浮かべている。まだ策があるというのだろうか。
その笑みを見たルナルは、槍を素早く地面へと突き刺した。
「まったく、油断も隙もありませんね。ですが、二度目は通用しませんよ」
突き立てた槍の先から魔力を放つルナル。
「エクスプロージョン!」
魔族特有の火属性魔法の上級魔法を、槍から地面に向けて放つ。すると、地面が大爆発を起こして粉々になってしまった。
「なんだと?!」
ルナルの思わぬ行動にディランは衝撃を受けていた。
「なぜ分かった」
「だから言いましたでしょう。二度目は通じないと!」
ルナルははっきりとディランに伝える。
この時ディランが仕掛けようとしていたのは、魔王城で仕掛けて待っていた魔封じの魔法陣だ。ディランの不敵な笑みを見て、すぐにピンと来たのである。
地面からあの時と同じ魔力を感じたために、魔法陣を地面ごと破壊したのである。
「まさか私と武器をぶつけ合っているあの間に魔法陣を描くとは思いませんでしたね。ですが、自分が巻き込まれる可能性があったので、距離を取った。そういったところですかね」
「くっ……」
ディランの表情を見る限り、ルナルの指摘は図星のようである。
急ごしらえの魔法陣だったがために、その効果を限定しきれなかったのである。
「聖破斬も、魔法陣を完成させるための攻撃とは恐れ入りましたね。ずいぶんと技を磨いたようですが……、私には通用しませんよ」
余裕の表情のルナルに、ディランはますます状況が苦しくなる一方だった。
それだけ、ルナルの事を甘く見ていたというわけだ。
だが、ここまでの大風呂敷を広げてしまったがゆえに、今さら後に引けないディランなのである。
「ほざけっ! 人間の与する奴などが魔法の座に居続けるなど、あってなるものか」
万策尽きたのか、ディランはやぶれかぶれである。何も考えていないかのように、ルナルへと斬りかかっていく。
「実に愚かしいですね。力量を見誤り、己の主張にすがるものの姿というものは……」
「そんな目で、俺を見るなぁっ!」
哀れむようなルナルの視線に、ディランは大声で叫ぶ。
「天雨連牙衝!」
ディランがルナルに向けて技を放とうとしている。だが、ルナルはあえてそれを正面から迎え撃つ。
「己の未熟さを思い知りなさい、ディラン」
炎をまとい、ルナルは槍を構える。
「なに、それは」
思わずディランが驚く。それに答える事なく、ルナルは技を繰り出した。
「鳳閃火!」
ルナルの槍による素早い突き上げが、ディランを鋭く貫いた。
「ぐはっ!」
その衝撃の凄まじさに、ディランは派手に吹っ飛び、地面へと叩きつけられた。
あまりにダメージが大きいのか、ディランはしばらく起き上がれないようだ。
「……本当に哀れですね。自分の目的を急ぐあまり、自分の腕が鈍っている事にも気付かないなんて」
倒れ込んだディランへと、ルナルが近付いていく。
「……殺せ」
「できればそうしたいですね。魔王に対する裏切りに対する処遇はそうでしたから」
見下ろすだけで何もしようとしないルナル。その姿を見てディランはほくそ笑んでいる。
「ふん、どこまでも甘い奴だな……。そんなだから、俺みたいなやつに足元をすくわれるのだ」
「何とでも言うといいですよ」
ルナルが槍を抱え上げて、ディランを見据える。
その時だった。
「待って下さい!」
フォルに付き添われながら、マイアがルナルたちに駆け寄ってきたのだった。
「なんの! 天閃烈破!」
ディランの振り下ろしとルナルの振り上げがぶつかり合う。初撃の動きでお互いの武器がぶつかり合って、一気に膠着状態に入る。
「くくっ、さすがは現役の魔王といったところだな。これをいとも容易く受け止めるとはな」
「だてに紅の砦、アカーシャと戦って勝ってはいませんよ」
剣と槍をぶつけ合ったまま、お互いに譲らないルナルとディラン。そこからはただならぬ雰囲気が漂っている。こうなってくると誰もそこには近付けない。ある意味二人だけの領域と化していた。
「ふん、あの運だけで勝ったような戦いか。まるで児戯だったぞ」
「まぁ、そんな人にも勝てず、下についていたというのに……。実に面白い事を言う人ですね、あなたは」
「ほざけっ!」
剣を引いて距離を取るディラン。そして、着地するや否や次の攻撃を放つ。
「聖破斬!」
聖属性の衝撃波を放つ技だった。魔族を封じる魔法陣すら扱えるディランにとってしてみれば、軽々と扱える技である。
「軽いですね……、槍竜閃!」
ディランの放った衝撃波を、ルナルは槍を鋭く突く衝撃波で相殺する。ぶつかり合った衝撃で辺りに爆風が吹き荒れるが、二人ともまったく動じないで立っていた。
「くっ、さすがは魔王といったところか。子どもだましでは通じないというのか」
「ハンターをやりながら、私がさぼっていたと思いますか?」
苦しい表情のディランに対して、ルナルは槍で肩をポンポンと叩いている。ずいぶんと余裕なようだ。そして、再び槍を構える。
一方のディランの方も笑みを浮かべている。まだ策があるというのだろうか。
その笑みを見たルナルは、槍を素早く地面へと突き刺した。
「まったく、油断も隙もありませんね。ですが、二度目は通用しませんよ」
突き立てた槍の先から魔力を放つルナル。
「エクスプロージョン!」
魔族特有の火属性魔法の上級魔法を、槍から地面に向けて放つ。すると、地面が大爆発を起こして粉々になってしまった。
「なんだと?!」
ルナルの思わぬ行動にディランは衝撃を受けていた。
「なぜ分かった」
「だから言いましたでしょう。二度目は通じないと!」
ルナルははっきりとディランに伝える。
この時ディランが仕掛けようとしていたのは、魔王城で仕掛けて待っていた魔封じの魔法陣だ。ディランの不敵な笑みを見て、すぐにピンと来たのである。
地面からあの時と同じ魔力を感じたために、魔法陣を地面ごと破壊したのである。
「まさか私と武器をぶつけ合っているあの間に魔法陣を描くとは思いませんでしたね。ですが、自分が巻き込まれる可能性があったので、距離を取った。そういったところですかね」
「くっ……」
ディランの表情を見る限り、ルナルの指摘は図星のようである。
急ごしらえの魔法陣だったがために、その効果を限定しきれなかったのである。
「聖破斬も、魔法陣を完成させるための攻撃とは恐れ入りましたね。ずいぶんと技を磨いたようですが……、私には通用しませんよ」
余裕の表情のルナルに、ディランはますます状況が苦しくなる一方だった。
それだけ、ルナルの事を甘く見ていたというわけだ。
だが、ここまでの大風呂敷を広げてしまったがゆえに、今さら後に引けないディランなのである。
「ほざけっ! 人間の与する奴などが魔法の座に居続けるなど、あってなるものか」
万策尽きたのか、ディランはやぶれかぶれである。何も考えていないかのように、ルナルへと斬りかかっていく。
「実に愚かしいですね。力量を見誤り、己の主張にすがるものの姿というものは……」
「そんな目で、俺を見るなぁっ!」
哀れむようなルナルの視線に、ディランは大声で叫ぶ。
「天雨連牙衝!」
ディランがルナルに向けて技を放とうとしている。だが、ルナルはあえてそれを正面から迎え撃つ。
「己の未熟さを思い知りなさい、ディラン」
炎をまとい、ルナルは槍を構える。
「なに、それは」
思わずディランが驚く。それに答える事なく、ルナルは技を繰り出した。
「鳳閃火!」
ルナルの槍による素早い突き上げが、ディランを鋭く貫いた。
「ぐはっ!」
その衝撃の凄まじさに、ディランは派手に吹っ飛び、地面へと叩きつけられた。
あまりにダメージが大きいのか、ディランはしばらく起き上がれないようだ。
「……本当に哀れですね。自分の目的を急ぐあまり、自分の腕が鈍っている事にも気付かないなんて」
倒れ込んだディランへと、ルナルが近付いていく。
「……殺せ」
「できればそうしたいですね。魔王に対する裏切りに対する処遇はそうでしたから」
見下ろすだけで何もしようとしないルナル。その姿を見てディランはほくそ笑んでいる。
「ふん、どこまでも甘い奴だな……。そんなだから、俺みたいなやつに足元をすくわれるのだ」
「何とでも言うといいですよ」
ルナルが槍を抱え上げて、ディランを見据える。
その時だった。
「待って下さい!」
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