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第三章
第49話 遠い場所にて
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魔界との境界付近の街から遠く離れた街。そこで頭を悩ませる人物が居た。
「ぐぬぬぬ……、どいう事だ。どうして売り上げが落ちてきておるのだ?」
肘をつきながら頭を支える小太りな男は、書類を目にしながら唸っている。
「はあ……、聞いた者の話では、食事に満足できない者が、冒険者を中心にいるらしいです。理由はよく分かりませんが……」
痩せ型の気弱そうな男が、小太りの男に対して答えている。
小太りの男はくるりと体の向きを変え、頬杖を崩して机を指でトントンと叩いている。相当に荒れているようだ。
そして、ぎろりと痩せ型の男を睨み、命令を下す。
「原因を明らかにするために調査してこい。職員や冒険者は必要なら連れて行っても構わんから、はっきりと分かるまで戻ってくるな。いいなっ!」
「は、はい……」
机を叩くドンという音にびびりながら、痩せ型の男は返事をして部屋を出て行った。
彼を見送った小太りの男は、まだしばらく不機嫌な様子が収まりそうになかった。
建物から追い出されるように出てきた男は、途方に暮れていた。原因を究明するまで商業組合に戻れないのだ。
「はあ、なんだって俺が……」
大きなため息を吐くと同時に、情報を集めるために冒険者組合へと出向く事にした。
なぜ冒険者組合かというと、理由は前述のとおり。
商業組合は魔界の境界付近とはあまり交流が積極的ではない。それとは対照的に、手に入る素材の質の良さから冒険者たちはよく魔界との境界付近へと赴いていく。
今回の異変の原因がその境界付近であるがために、情報を得るなら冒険者ギルドが一番というわけなのだ。
「おやおや、レンダさんじゃないですか。どうしたんですか、今日は」
「いやまぁ、実はですね……」
冒険者組合に入るなり、職員から声を掛けられた痩せ型の男。名前はレンダというらしい。
レンダが冒険者組合の職員に事情を説明すると、職員はふむふむと頷きながら話を聞いていた。
「それでしたら、私どもの方でも聞き及んでおります。なんでも、魔界の境界付近の街では、食事が大きく変わったとかどうかと聞きますね。レシピの販売もしているようですし、そちらでは把握されておりませんか?」
「いえ、お恥ずかしながら、こちらは魔界境界付近とは取引がありませんので、なんとも……」
冒険者組合の職員からの言葉に、どうも歯切れの悪い受け答えをするレンダである。
冒険者組合に比べれば、どちらかといえば安全に行動する商業組合らしい話だ。
これを聞いた職員は、腕を抱えて考え始める。
しばらく考えた職員は、レンダに対してこう提案した。
「それでしたら、ちょうどそちらに向かう冒険者が居ますので、同行させてもらえるようにお願いしましょう。商業組合の職員とはいえ、体力には自信があるでしょう?」
「ええ、まあ。あの組合長の下に居ては体力ないと話になりませんからね」
項垂れたように言葉を返すレンダ。それでも、あまりまだ乗り気に見えないレンダに、職員は更なる情報を与える。
「魔界の境界付近の料理を食べた冒険者たちは舌が肥えたようなんですが、その料理を提供しているというのが、なんでもまだ小さな女の子らしいんですよ。……気になりませんかね?」
「なん……だと……?」
話を聞いたレンダは衝撃を受けている。
小さな女の子が料理を作って、それを食べた冒険者たちがこちらの料理に満足できなくなったとでもいうのだろうか。レンダはそんな視線を冒険者組合の職員に向けている。
疑いの目を向けられている事がよく分かるので、職員はレンダにこう告げた。
「そのあたりは冒険者たちからお聞き下さい。あの辺りに向かう冒険者たちの話なら、十分信用に値しますからね」
「分かりました。そうさせてもらいます」
レンダが納得したようなので、職員はレンダを待たせて、魔界の境界付近へ向かう冒険者たちに声を掛ける事にする。
職員の記憶通りならば、彼らは出発前の準備のためにまだ街に居るはずだ。
職員は手の空いている別の職員に頼んで、彼らを探し出してきてもらう。ただ、当の職員はそのままその場にとどまっていた。なにせ居なければレンダに話が通らないのだから仕方がない。
そんなわけで、冒険者たちを呼びに行っている間、職員とレンダは適当に話をしながら時間を潰していた。
どれほど待っただろうか。ようやく出て行った職員が該当する冒険者を見つけて戻ってきた。
「た、ただいま戻りました。つ、連れてきましたよ……」
ものすごく呼吸が乱れている。どれだけ必死に探し回ったのかがよく分かるというものだ。
その職員の後ろからは、急に呼び出されて困惑の表情を浮かべる冒険者たちが姿を現した。
その冒険者たちに職員は声を掛ける。
「急に呼び出して申し訳ありません。実は魔界の境界付近に出向かれるみなさんに、依頼を追加したいと思いましてね」
「何を追加されるんですか」
文句よりもそれを真っ先に気にする冒険者。急な依頼の差し込みに慣れているのだろうか。
「この商業組合の職員レンダと、私、冒険者組合の職員アドンを、境界付近の街との往復の間、護衛をして頂きたいのです」
「……お前も来るのかよ」
冒険者たちよりも、レンダの方が呆れ返る始末だった。
「冒険者たちを虜にするおいしい料理、気になるじゃないですか」
にこりと笑うアドン。
この依頼を頭を掻きながらも了承する冒険者たちである。
こうして、ミルフィたちが拠点を構える魔界との境界付近の街まで、遠く離れた場所の一般人がやってくる事となったのだった。
「ぐぬぬぬ……、どいう事だ。どうして売り上げが落ちてきておるのだ?」
肘をつきながら頭を支える小太りな男は、書類を目にしながら唸っている。
「はあ……、聞いた者の話では、食事に満足できない者が、冒険者を中心にいるらしいです。理由はよく分かりませんが……」
痩せ型の気弱そうな男が、小太りの男に対して答えている。
小太りの男はくるりと体の向きを変え、頬杖を崩して机を指でトントンと叩いている。相当に荒れているようだ。
そして、ぎろりと痩せ型の男を睨み、命令を下す。
「原因を明らかにするために調査してこい。職員や冒険者は必要なら連れて行っても構わんから、はっきりと分かるまで戻ってくるな。いいなっ!」
「は、はい……」
机を叩くドンという音にびびりながら、痩せ型の男は返事をして部屋を出て行った。
彼を見送った小太りの男は、まだしばらく不機嫌な様子が収まりそうになかった。
建物から追い出されるように出てきた男は、途方に暮れていた。原因を究明するまで商業組合に戻れないのだ。
「はあ、なんだって俺が……」
大きなため息を吐くと同時に、情報を集めるために冒険者組合へと出向く事にした。
なぜ冒険者組合かというと、理由は前述のとおり。
商業組合は魔界の境界付近とはあまり交流が積極的ではない。それとは対照的に、手に入る素材の質の良さから冒険者たちはよく魔界との境界付近へと赴いていく。
今回の異変の原因がその境界付近であるがために、情報を得るなら冒険者ギルドが一番というわけなのだ。
「おやおや、レンダさんじゃないですか。どうしたんですか、今日は」
「いやまぁ、実はですね……」
冒険者組合に入るなり、職員から声を掛けられた痩せ型の男。名前はレンダというらしい。
レンダが冒険者組合の職員に事情を説明すると、職員はふむふむと頷きながら話を聞いていた。
「それでしたら、私どもの方でも聞き及んでおります。なんでも、魔界の境界付近の街では、食事が大きく変わったとかどうかと聞きますね。レシピの販売もしているようですし、そちらでは把握されておりませんか?」
「いえ、お恥ずかしながら、こちらは魔界境界付近とは取引がありませんので、なんとも……」
冒険者組合の職員からの言葉に、どうも歯切れの悪い受け答えをするレンダである。
冒険者組合に比べれば、どちらかといえば安全に行動する商業組合らしい話だ。
これを聞いた職員は、腕を抱えて考え始める。
しばらく考えた職員は、レンダに対してこう提案した。
「それでしたら、ちょうどそちらに向かう冒険者が居ますので、同行させてもらえるようにお願いしましょう。商業組合の職員とはいえ、体力には自信があるでしょう?」
「ええ、まあ。あの組合長の下に居ては体力ないと話になりませんからね」
項垂れたように言葉を返すレンダ。それでも、あまりまだ乗り気に見えないレンダに、職員は更なる情報を与える。
「魔界の境界付近の料理を食べた冒険者たちは舌が肥えたようなんですが、その料理を提供しているというのが、なんでもまだ小さな女の子らしいんですよ。……気になりませんかね?」
「なん……だと……?」
話を聞いたレンダは衝撃を受けている。
小さな女の子が料理を作って、それを食べた冒険者たちがこちらの料理に満足できなくなったとでもいうのだろうか。レンダはそんな視線を冒険者組合の職員に向けている。
疑いの目を向けられている事がよく分かるので、職員はレンダにこう告げた。
「そのあたりは冒険者たちからお聞き下さい。あの辺りに向かう冒険者たちの話なら、十分信用に値しますからね」
「分かりました。そうさせてもらいます」
レンダが納得したようなので、職員はレンダを待たせて、魔界の境界付近へ向かう冒険者たちに声を掛ける事にする。
職員の記憶通りならば、彼らは出発前の準備のためにまだ街に居るはずだ。
職員は手の空いている別の職員に頼んで、彼らを探し出してきてもらう。ただ、当の職員はそのままその場にとどまっていた。なにせ居なければレンダに話が通らないのだから仕方がない。
そんなわけで、冒険者たちを呼びに行っている間、職員とレンダは適当に話をしながら時間を潰していた。
どれほど待っただろうか。ようやく出て行った職員が該当する冒険者を見つけて戻ってきた。
「た、ただいま戻りました。つ、連れてきましたよ……」
ものすごく呼吸が乱れている。どれだけ必死に探し回ったのかがよく分かるというものだ。
その職員の後ろからは、急に呼び出されて困惑の表情を浮かべる冒険者たちが姿を現した。
その冒険者たちに職員は声を掛ける。
「急に呼び出して申し訳ありません。実は魔界の境界付近に出向かれるみなさんに、依頼を追加したいと思いましてね」
「何を追加されるんですか」
文句よりもそれを真っ先に気にする冒険者。急な依頼の差し込みに慣れているのだろうか。
「この商業組合の職員レンダと、私、冒険者組合の職員アドンを、境界付近の街との往復の間、護衛をして頂きたいのです」
「……お前も来るのかよ」
冒険者たちよりも、レンダの方が呆れ返る始末だった。
「冒険者たちを虜にするおいしい料理、気になるじゃないですか」
にこりと笑うアドン。
この依頼を頭を掻きながらも了承する冒険者たちである。
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