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新章 青色の智姫
第67話 不吉の象徴?
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翌日貼り出された結果により、シアン、ブランチェスカ、プルネはみんな魔法型の適性と判断された。プルネはそこそこの剣術を見せていたとはいえ、ちょっと扱い方が特殊だったために武術型の判断はなされなかったようだ。とはいえ、試験の時に見せた闇魔法の使い方もかなり特殊だったのだが。
これによって、一年次の後期からは三人揃って魔法型の学生として通うことが確定になった。
とはいえ、授業のメインが魔法関連となるだけで、授業はそこまで縛られることはない。武術大会に魔法型のペシエラが出ることができたくらいには自由なのである。
しかし、前期末の試験が終わると、夏休みの合宿が始まる。サンフレア学園の合宿は学生全員強制参加だ。
ただ、開始までには数日間の準備期間がある。その時間を利用して、シアンはブランチェスカとプルネの二人を城に呼んでお茶会を開いていた。
「いよいよ夏合宿ですね」
「ええ、確か開催地はアクアマリン子爵領のサファイア湖の付近でしたね」
期末試験直後に発表された内容を確認する三人。合宿の場所を聞いて、シアンだけは他の学生たちとは明らかに違う反応をしていた。
「シアン様はなんだか懐かしそうな反応をしてらっしゃいましたけど、行かれたことがありますのでしょうか」
ブランチェスカがかなりストレートに聞いている。
「ええ、数年前に一度だけですけれど」
その質問に素直に答えるシアン。実際、ペイルの王位継承後の家族旅行でアクアマリン子爵領へは出向いていた。自分の前世の兄が健在だったり、見慣れた光景がそのままだったりで感動した覚えがある。
ただ、今回は学園の生徒として合宿という状況下で向かうことになるので、さすがにその時のような気持ちではいられないだろう。
「おやおや、こんなところにいたのかい」
お茶会をするシアンたちのところに、雰囲気をぶち壊すような声が響き渡る。
顔を向けると、そこにはシアンが見慣れた姿が立っていた。
「ケットシー……」
シアンの表情は歪み、ブランチェスカとプルネは見た事ない生き物に固まっていた。
「やあ、女子たちの集まりに割り込んでしまってすまないね。取引のために城に来ていたらふらふらと日向ぼっこをしたくなってしまってね。そしたら懐かしい声が聞こえたので見に来たというわけさ」
相変わらずにこにこと雰囲気の怪しい二足歩行の猫である。
「し、シアン様、お知り合いですか?」
ぎこちない動きでシアンを見るブランチェスカ。
「ええ、知っていますよ。彼はモスグリネ王国の商業組合の商会長で幻獣のケットシーですわ」
「げ、幻獣?! あの幻といわれている存在ですか?!」
驚いたブランチェスカとプルネは、思わず畏まってしまう。淑女の仕草を取って、ケットシーに頭を下げている。
「はっはっはっ、そこまでの挨拶はしなくていいよ。ボクは気まぐれだし、今紹介にあったように商業組合の組合長という一般人でもある。むしろプルネくんにはボクの方が頭を下げなきゃいけない」
「ど、どうしてですか?」
「幻獣なのに君のお母さんに従っていないからさ。でも、ボクにも事情はあるから仕方ないんだよ。はっはっはっはっ」
笑うケットシーではあるものの、肝心のプルネが理解できていなかった。
「まったく、アイリスくんはともかく、ニーズヘッグのやつまで黙っているのか。なら、ボクがここで話すわけにはいかないか。うん、すまない、さっきの事は忘れておくれ」
ケットシーは残念そうに首を左右に振っていた。
だが、すぐさま気を取り直して話を始める。
「そうだ、会ったついでに君たちに忠告はしておくよ」
「何をですか?」
糸目のままとはいえ、ケットシーの雰囲気ががらりと変わる。そのために、息を飲みながらもシアンは確認のために質問をしている。
「またどうも不穏な空気があるみたいでね。君にそれを伝えるためにここに来たんだよ。ボクの思い過ごしであればいいんだけどね」
じっとケットシーは、シアンの後ろに構えるスミレの方を見る。同じ幻獣であるためか、これだけでスミレにはケットシーの意図が伝わったようだ。
「それじゃボクはこれで失礼するよ。本当に邪魔して悪かったね。はっはっはっはっ」
手を振りながら、歩いて去っていくケットシー。まったくなんだったのかと、シアンたちは呆然とした様子でしばらく固まっていた。
「も、モスグリネには変わった方がいらっしゃるのですね」
「ええ、まあ」
ブランチェスカがそんな反応をしているのだが、アイヴォリー国内にもああいった不思議な存在はいくらでもいるのである。城の中にだって、あまり表立って動くことはないもののオークジェネラルのラルクがいる。ただ単に知られていないだけなのだ。
それはともかくとして、シアンがわざわざケットシーが顔を見せた事が気になっていた。不穏な空気とも言っていたので、なおさらである。
(まったく、邪魔だと分かっていながらやって来たあたり、今度の夏合宿は相当に警戒をしておいた方がよさそうですね)
プルネたちとは普通に接しながらも、心の中でいろいろと考え込むシアンである。もし何かあれば、今度こそアクアマリン子爵家の存続の危機にもなり得るからだ。
お茶会を済ませたシアンは、対策を考えることにしたのであった。
これによって、一年次の後期からは三人揃って魔法型の学生として通うことが確定になった。
とはいえ、授業のメインが魔法関連となるだけで、授業はそこまで縛られることはない。武術大会に魔法型のペシエラが出ることができたくらいには自由なのである。
しかし、前期末の試験が終わると、夏休みの合宿が始まる。サンフレア学園の合宿は学生全員強制参加だ。
ただ、開始までには数日間の準備期間がある。その時間を利用して、シアンはブランチェスカとプルネの二人を城に呼んでお茶会を開いていた。
「いよいよ夏合宿ですね」
「ええ、確か開催地はアクアマリン子爵領のサファイア湖の付近でしたね」
期末試験直後に発表された内容を確認する三人。合宿の場所を聞いて、シアンだけは他の学生たちとは明らかに違う反応をしていた。
「シアン様はなんだか懐かしそうな反応をしてらっしゃいましたけど、行かれたことがありますのでしょうか」
ブランチェスカがかなりストレートに聞いている。
「ええ、数年前に一度だけですけれど」
その質問に素直に答えるシアン。実際、ペイルの王位継承後の家族旅行でアクアマリン子爵領へは出向いていた。自分の前世の兄が健在だったり、見慣れた光景がそのままだったりで感動した覚えがある。
ただ、今回は学園の生徒として合宿という状況下で向かうことになるので、さすがにその時のような気持ちではいられないだろう。
「おやおや、こんなところにいたのかい」
お茶会をするシアンたちのところに、雰囲気をぶち壊すような声が響き渡る。
顔を向けると、そこにはシアンが見慣れた姿が立っていた。
「ケットシー……」
シアンの表情は歪み、ブランチェスカとプルネは見た事ない生き物に固まっていた。
「やあ、女子たちの集まりに割り込んでしまってすまないね。取引のために城に来ていたらふらふらと日向ぼっこをしたくなってしまってね。そしたら懐かしい声が聞こえたので見に来たというわけさ」
相変わらずにこにこと雰囲気の怪しい二足歩行の猫である。
「し、シアン様、お知り合いですか?」
ぎこちない動きでシアンを見るブランチェスカ。
「ええ、知っていますよ。彼はモスグリネ王国の商業組合の商会長で幻獣のケットシーですわ」
「げ、幻獣?! あの幻といわれている存在ですか?!」
驚いたブランチェスカとプルネは、思わず畏まってしまう。淑女の仕草を取って、ケットシーに頭を下げている。
「はっはっはっ、そこまでの挨拶はしなくていいよ。ボクは気まぐれだし、今紹介にあったように商業組合の組合長という一般人でもある。むしろプルネくんにはボクの方が頭を下げなきゃいけない」
「ど、どうしてですか?」
「幻獣なのに君のお母さんに従っていないからさ。でも、ボクにも事情はあるから仕方ないんだよ。はっはっはっはっ」
笑うケットシーではあるものの、肝心のプルネが理解できていなかった。
「まったく、アイリスくんはともかく、ニーズヘッグのやつまで黙っているのか。なら、ボクがここで話すわけにはいかないか。うん、すまない、さっきの事は忘れておくれ」
ケットシーは残念そうに首を左右に振っていた。
だが、すぐさま気を取り直して話を始める。
「そうだ、会ったついでに君たちに忠告はしておくよ」
「何をですか?」
糸目のままとはいえ、ケットシーの雰囲気ががらりと変わる。そのために、息を飲みながらもシアンは確認のために質問をしている。
「またどうも不穏な空気があるみたいでね。君にそれを伝えるためにここに来たんだよ。ボクの思い過ごしであればいいんだけどね」
じっとケットシーは、シアンの後ろに構えるスミレの方を見る。同じ幻獣であるためか、これだけでスミレにはケットシーの意図が伝わったようだ。
「それじゃボクはこれで失礼するよ。本当に邪魔して悪かったね。はっはっはっはっ」
手を振りながら、歩いて去っていくケットシー。まったくなんだったのかと、シアンたちは呆然とした様子でしばらく固まっていた。
「も、モスグリネには変わった方がいらっしゃるのですね」
「ええ、まあ」
ブランチェスカがそんな反応をしているのだが、アイヴォリー国内にもああいった不思議な存在はいくらでもいるのである。城の中にだって、あまり表立って動くことはないもののオークジェネラルのラルクがいる。ただ単に知られていないだけなのだ。
それはともかくとして、シアンがわざわざケットシーが顔を見せた事が気になっていた。不穏な空気とも言っていたので、なおさらである。
(まったく、邪魔だと分かっていながらやって来たあたり、今度の夏合宿は相当に警戒をしておいた方がよさそうですね)
プルネたちとは普通に接しながらも、心の中でいろいろと考え込むシアンである。もし何かあれば、今度こそアクアマリン子爵家の存続の危機にもなり得るからだ。
お茶会を済ませたシアンは、対策を考えることにしたのであった。
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