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番外編集
番外編 ストロアの商人修行
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私はストロア。コーラル伯爵家のご令嬢であるペシエラ様お付きの侍女でした。
でしたという過去形なのは、私が許されない罪を犯した事で、侍女を解雇されたためです。
その罪というのは、ペシエラ様に毒を盛った事によるもの。本来であるなら即刻処刑されるような罪ではございますが、ペシエラ様の恩情により解雇されるだけで済んだのでございます。
その私は今、隣国のモスグリネへ向かう馬車の中に居ります。そこに居られる人物……なのでしょうか? 大きな喋る猫に連れられて、隣国のモスグリネで働く事になったのでございます。
この猫はケットシー様と仰られており、モスグリネ王国の商業組合の組合長様を務められております。ペシエラ様やアイリス様の仰るには、幻獣様なのだそうです。私にはただの胡散臭い猫にしか見えません。常に笑っている顔をされてらっしゃいますし、お嬢様方にも邪険にされておりました。とても信用できるような方には思えません。私は馬車の隅で震えておりました。
「いやぁ、そんなに震えられるのは心外だなぁ。こう見えてもボクは紳士的なんだ。もっと落ち着いてもらいたいねぇ」
震える私に、ケットシー様はそう声を掛けて下さいますが、どうにもその笑顔に恐怖を感じてしまいます。
「うーん、これは困ったね。ヴィフレアまで十日は掛かるというのに、ずっとこれでは参ってしまうよ」
ケットシー様はそう仰られて、顔を洗ってらっしゃいました。やっぱり化け猫なのです。
……ああ、私はどうなってしまうのでしょうか。
私は緊張を強いられたまま、国境を越えてモスグリネ王国の王都ヴィフレアまで連れてこられました。
アイヴォリー王国の王都ハウライトとは違い、街の中まで緑に囲まれた独特な雰囲気のある街並みです。自然の豊かさというのなら、私の出身地であるカイスの村の方が近いでしょうか。
馬車に乗せられて連れてこられたのは、ヴィフレアに構える商業組合の建物でした。それは立派な建物でございます。
「さぁ着いたよ。ここが今日から君の職場だ。ちなみに家の事は心配しなくていい。ここの裏には居住スペースがあるからね、住み込みの職員と一緒に生活してもらうよ」
ケットシー様はそう仰って、私を連れて馬車を降り、商業組合の建物の中へと入っていかれます。私は置いて行かれないように必死について行きます。
そうやって中に入った商業組合の建物は、実に外観にも劣らず立派な建物でございました。私は驚きながら周りを見渡します。その私を見ながら、ケットシー様はくすくすと笑っておいででした。
「ここが君の部屋だね。一応マゼンダ商会の実質的な支配人になってもらうつもりだから、必死に頑張ってくれたまえ。ボクもまったく手加減はしないよ。処刑されてた方がよかったと思えるくらいにね」
住み込み職員の住む部屋は、コーラル伯爵邸の使用人部屋よりも広くて立派でした。正直、こんな部屋を一人で使っていいのか疑いたくなるくらいです。
しかし、私は部屋に驚きながらも、案内していたケットシー様の言葉が気になって仕方ありません。処刑の方がマシとは、いったい私はどんな生活をさせられるのだろうか、とても怖くなりました。
荷物を置いて、ケットシー様が用意して下さった服に着替えます。どうやらモスグリネの商業組合の制服のようです。私の体格とそれほど違いがありませんでした。着替えを終えると、お待ちになられていたケットシー様と合流します。
「時間的にそんなにないからね。今からならロゼリアくんが結婚するまで四年といったところだろう。本来なら商人の修業は幼少のうちからして最低でも十年はかかるんだ。それを四年間に圧縮するんだから、分かるよね?」
ケットシー様の不気味な笑みが私に向けられます。その笑みに、思わず私は背中を凍り付かせて青ざめてしまいました。
「ロゼリアくんの結婚式は、卒業してから一年間こっちの妃教育を受けてからになるだろう。その時にはペシエラくんもこっちの結婚式に参列するはずだ。立派な姿を見せてあげるんだよ」
青ざめる私に、ケットシー様はそう言葉を続けて、さっきまでとは打って変わって優しい笑顔を向けて下さいました。
……ここまで言われてしまっては、私も覚悟を決めるしかありません。
「承知致しましたわ。ペシエラ様たちへの不義、立派な商人となって雪いでみせます!」
「うんうん、その意気だよ。言っておくけれど、ボクの指導は厳しいからね。途中で音を上げたとしても、別に責めやしないよ」
「いえ、私のした事の大きさを考えれば、多少の苦難には動じるわけには参りません。最後までやり遂げてみせます」
私の固い決意を見ると、ケットシー様は小さく笑われたように思われました。
それからというもの、私の生活は確かに大変なものでございました。ケットシー様や先輩組合員の方々から厳しい指導がなされます。
商会の名前と主要な人物の名前と顔、数字の見方、帳簿の付け方、発注の仕方、在庫管理などなど、それはとても多岐に渡りました。それだけではなく、商業組合の建物やヴィフレアのマゼンダ商会の建物の掃除など、雑用面でも修業は行われました。それでも私は、ずっとお世話なりましたコーラル家の事を思いながら必死に耐えました。
手や顔の肌が荒れたり、髪だって艶が無くなりそうになりました。しかし、そこはケットシー様がこっそり渡して下さった、チェリシア様特製の塗り薬を頂きまして乗り越えました。本当にチェリシア様って一体何者なのでしょうか。
努力の甲斐がありまして、本来十年はかかると言われた商人修行を、私は三年で終える事ができました。ケットシー様は大変褒めて下さいましたし、組合員の方々は驚きを持って祝福して下さりました。
ペシエラ様のご友人でおられるマゼンダ侯爵家のロゼリア様がモスグリネへ来られた時には、その歓迎式典の列の中に加わらせて頂けました。真新しいマゼンダ商会の制服に身を包んで臨みましたが、緊張のあまり、その時の様子はあまり覚えておりません。モスグリネ王城内で国内での正式な婚約発表が行われたという事は聞いておりますが、本当にまったく覚えていませんでした。
さらに一年が経ちました。いよいよロゼリア様がペイル王太子殿下と結婚をして、王太子妃となられる日がやって来ました。そこにはアイヴォリー王国からペシエラ様たち親しかった方々が参列のために訪れる事となっています。
ですが、私はマゼンダ商会の執務室でひたすら帳簿とにらめっこでございました。なにぶん、王太子殿下のご結婚とあり、特需が発生しているために対応に忙しかったからなのです。
あれからさらに努力をして、ケットシー様が約束して下さっていたマゼンダ商会の秘書の座に収まりまして、忙しいながらにも充実した日々を送っております。
結婚式の翌日、ヴィフレアのマゼンダ商会にペシエラ様たちがお越し下さいました。あれから四年が経っており、ペシエラ様たちはすっかり美しくなっておられました。一方の私は三つ編みに眼鏡姿という冴えない姿ではありましたが、一生懸命に働く私の事をとても褒めて下さいました。本当に嬉しい限りでございます。
悪い方々に騙されていたとはいえ、取り返しのつかない事をしてしまった私。ですが、異国の地ながらも、こうやって祖国や恩人たちのために働ける事を喜ばしく思います。
でしたという過去形なのは、私が許されない罪を犯した事で、侍女を解雇されたためです。
その罪というのは、ペシエラ様に毒を盛った事によるもの。本来であるなら即刻処刑されるような罪ではございますが、ペシエラ様の恩情により解雇されるだけで済んだのでございます。
その私は今、隣国のモスグリネへ向かう馬車の中に居ります。そこに居られる人物……なのでしょうか? 大きな喋る猫に連れられて、隣国のモスグリネで働く事になったのでございます。
この猫はケットシー様と仰られており、モスグリネ王国の商業組合の組合長様を務められております。ペシエラ様やアイリス様の仰るには、幻獣様なのだそうです。私にはただの胡散臭い猫にしか見えません。常に笑っている顔をされてらっしゃいますし、お嬢様方にも邪険にされておりました。とても信用できるような方には思えません。私は馬車の隅で震えておりました。
「いやぁ、そんなに震えられるのは心外だなぁ。こう見えてもボクは紳士的なんだ。もっと落ち着いてもらいたいねぇ」
震える私に、ケットシー様はそう声を掛けて下さいますが、どうにもその笑顔に恐怖を感じてしまいます。
「うーん、これは困ったね。ヴィフレアまで十日は掛かるというのに、ずっとこれでは参ってしまうよ」
ケットシー様はそう仰られて、顔を洗ってらっしゃいました。やっぱり化け猫なのです。
……ああ、私はどうなってしまうのでしょうか。
私は緊張を強いられたまま、国境を越えてモスグリネ王国の王都ヴィフレアまで連れてこられました。
アイヴォリー王国の王都ハウライトとは違い、街の中まで緑に囲まれた独特な雰囲気のある街並みです。自然の豊かさというのなら、私の出身地であるカイスの村の方が近いでしょうか。
馬車に乗せられて連れてこられたのは、ヴィフレアに構える商業組合の建物でした。それは立派な建物でございます。
「さぁ着いたよ。ここが今日から君の職場だ。ちなみに家の事は心配しなくていい。ここの裏には居住スペースがあるからね、住み込みの職員と一緒に生活してもらうよ」
ケットシー様はそう仰って、私を連れて馬車を降り、商業組合の建物の中へと入っていかれます。私は置いて行かれないように必死について行きます。
そうやって中に入った商業組合の建物は、実に外観にも劣らず立派な建物でございました。私は驚きながら周りを見渡します。その私を見ながら、ケットシー様はくすくすと笑っておいででした。
「ここが君の部屋だね。一応マゼンダ商会の実質的な支配人になってもらうつもりだから、必死に頑張ってくれたまえ。ボクもまったく手加減はしないよ。処刑されてた方がよかったと思えるくらいにね」
住み込み職員の住む部屋は、コーラル伯爵邸の使用人部屋よりも広くて立派でした。正直、こんな部屋を一人で使っていいのか疑いたくなるくらいです。
しかし、私は部屋に驚きながらも、案内していたケットシー様の言葉が気になって仕方ありません。処刑の方がマシとは、いったい私はどんな生活をさせられるのだろうか、とても怖くなりました。
荷物を置いて、ケットシー様が用意して下さった服に着替えます。どうやらモスグリネの商業組合の制服のようです。私の体格とそれほど違いがありませんでした。着替えを終えると、お待ちになられていたケットシー様と合流します。
「時間的にそんなにないからね。今からならロゼリアくんが結婚するまで四年といったところだろう。本来なら商人の修業は幼少のうちからして最低でも十年はかかるんだ。それを四年間に圧縮するんだから、分かるよね?」
ケットシー様の不気味な笑みが私に向けられます。その笑みに、思わず私は背中を凍り付かせて青ざめてしまいました。
「ロゼリアくんの結婚式は、卒業してから一年間こっちの妃教育を受けてからになるだろう。その時にはペシエラくんもこっちの結婚式に参列するはずだ。立派な姿を見せてあげるんだよ」
青ざめる私に、ケットシー様はそう言葉を続けて、さっきまでとは打って変わって優しい笑顔を向けて下さいました。
……ここまで言われてしまっては、私も覚悟を決めるしかありません。
「承知致しましたわ。ペシエラ様たちへの不義、立派な商人となって雪いでみせます!」
「うんうん、その意気だよ。言っておくけれど、ボクの指導は厳しいからね。途中で音を上げたとしても、別に責めやしないよ」
「いえ、私のした事の大きさを考えれば、多少の苦難には動じるわけには参りません。最後までやり遂げてみせます」
私の固い決意を見ると、ケットシー様は小さく笑われたように思われました。
それからというもの、私の生活は確かに大変なものでございました。ケットシー様や先輩組合員の方々から厳しい指導がなされます。
商会の名前と主要な人物の名前と顔、数字の見方、帳簿の付け方、発注の仕方、在庫管理などなど、それはとても多岐に渡りました。それだけではなく、商業組合の建物やヴィフレアのマゼンダ商会の建物の掃除など、雑用面でも修業は行われました。それでも私は、ずっとお世話なりましたコーラル家の事を思いながら必死に耐えました。
手や顔の肌が荒れたり、髪だって艶が無くなりそうになりました。しかし、そこはケットシー様がこっそり渡して下さった、チェリシア様特製の塗り薬を頂きまして乗り越えました。本当にチェリシア様って一体何者なのでしょうか。
努力の甲斐がありまして、本来十年はかかると言われた商人修行を、私は三年で終える事ができました。ケットシー様は大変褒めて下さいましたし、組合員の方々は驚きを持って祝福して下さりました。
ペシエラ様のご友人でおられるマゼンダ侯爵家のロゼリア様がモスグリネへ来られた時には、その歓迎式典の列の中に加わらせて頂けました。真新しいマゼンダ商会の制服に身を包んで臨みましたが、緊張のあまり、その時の様子はあまり覚えておりません。モスグリネ王城内で国内での正式な婚約発表が行われたという事は聞いておりますが、本当にまったく覚えていませんでした。
さらに一年が経ちました。いよいよロゼリア様がペイル王太子殿下と結婚をして、王太子妃となられる日がやって来ました。そこにはアイヴォリー王国からペシエラ様たち親しかった方々が参列のために訪れる事となっています。
ですが、私はマゼンダ商会の執務室でひたすら帳簿とにらめっこでございました。なにぶん、王太子殿下のご結婚とあり、特需が発生しているために対応に忙しかったからなのです。
あれからさらに努力をして、ケットシー様が約束して下さっていたマゼンダ商会の秘書の座に収まりまして、忙しいながらにも充実した日々を送っております。
結婚式の翌日、ヴィフレアのマゼンダ商会にペシエラ様たちがお越し下さいました。あれから四年が経っており、ペシエラ様たちはすっかり美しくなっておられました。一方の私は三つ編みに眼鏡姿という冴えない姿ではありましたが、一生懸命に働く私の事をとても褒めて下さいました。本当に嬉しい限りでございます。
悪い方々に騙されていたとはいえ、取り返しのつかない事をしてしまった私。ですが、異国の地ながらも、こうやって祖国や恩人たちのために働ける事を喜ばしく思います。
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