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第九章 大いなる秘密
第251話 モスグリネで女子会
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モスグリネ王都ヴィフレアに戻ったロゼリアたちは、客室でくつろいでいた。それにしても、女性六人で入っても狭くない客室とは珍しいものである。ちなみに行きも六人同室だった。まぁ、使用人三人は隣室ではあったが。
「大体二人ずつになるはずなのに、四人一室な上に使用人部屋が隣接してるって、王宮とはいえ客室としては珍しいわね」
「そうですわね。街の宿なら分からなくもないですが」
「いや、この広さは普通あり得ないわ」
ロゼリアたち三人は騒いでいる。それをアイリスたち使用人組は微笑ましく見ている。なにせここ最近静かだったペシエラが、元気にロゼリアたちと話をしているのだから、こんなに嬉しい事はない。ちなみにニーズヘッグは別室でシルヴァノと二人っきりである。
さて、なぜ行きも泊まったのに今騒ぎになっているかというと、行きの時はペシエラの事を気にし過ぎていたためである。その懸念点が払拭された今だからこそ、ロゼリアたちは騒いでいるのである。よくよく思えばお城に泊まるのはこの旅が初めてなのだ。
それにしても、ロゼリアたちの従者になっているアイリスたちは、そもそもペシエラたちの命を狙った側である。それがこうやって仲良くわいわいしているというのも不思議な光景だった。まぁ、アイリス、キャノル、ライの三人が手を組んであの手この手で命を狙ったとしても、ペシエラ一人に返り討ちに遭いそうだし、その上チェリシアたちのガードも堅い。無理なものは無理と諦めていても仕方のない話であった。
そんなわけで、凄腕の暗殺者たちは、頼もしい護衛となっているのである。世の中分からないものである。
「まったく、とんでもないお嬢様たちだが、放っておけないのも事実なんだよな。暗殺者の頃よりも今は充実しているよ」
「まったくだわ。魔物に堕ちたはずの私を、まさか妖精に引き戻すなんて聞いた事ないわ」
キャノルとライはしみじみ思っている。表の世界で堂々と歩ける事もそうだが、精霊の森のような特別な場所にまで足を踏み入れられたのだ。とても感慨深い出来事だっただろう。
二人ですらこうなのだから、一番境遇の変わったアイリスは殊更である。アトランティス帝国の子孫で憎悪に駆られたパープリア男爵の娘でありながら、一方で神獣使いという立場でもあるアイリス。多くの幻獣、神獣と契約しながらも、精霊や魔物まで従え、それでいて将来は女王付きの侍女を目指している。
最初こそ、ロゼリアが時間の巻き戻りに気が付いた事が発端だったが、ここまで多くの流れを変えるまでに至るとは、一体誰が考えたであろうか。本当に人生なんて分からないものである。
「とりあえず、明日はモスグリネの国王陛下たちに報告謁見をして、それからヴィフレアの中を散策しましょう」
「賛成。モスグリネならアイヴォリーで手に入らない物があるかも知れないわ」
「そうですわね。気分転換がしたいですわ」
テーブルを囲んでわいわいと盛り上がるロゼリアたち。それをアイリスたちは微笑ましく眺めている。
「味噌と醤油、大豆製品がどうしても欲しいわ。なかなか見つからなくてもやもやしてるもの」
「私は水着に使っているような布地ですわね。あの光沢と手触りはドレスに使っても映えそうですわ」
「私は単純に商会の販路の拡大が狙いたいわね。将来的な事を考えると、提携をしておくのも悪くないわ」
三者三様の考え方である。
「となると……」
ここでロゼリアたちがくるりと振り返る。
……視線の先に居たのは、言わずもがなアイリスたち従者組だ。
「アイリスたちの希望も聞いておきませんとね」
「そうね。付き合わせるだけが主人ではないですものね」
「というわけだから、三人もこっちに来てよ」
チェリシアが手招きをしている。
こうなると断れないと諦めた三人は、ロゼリアたちと一緒にテーブルを囲んで話をする事になった。
そんなこんなで、明日はモスグリネ国王との謁見だというのに、結構遅くまで話し込んでしまう六人であった。
「大体二人ずつになるはずなのに、四人一室な上に使用人部屋が隣接してるって、王宮とはいえ客室としては珍しいわね」
「そうですわね。街の宿なら分からなくもないですが」
「いや、この広さは普通あり得ないわ」
ロゼリアたち三人は騒いでいる。それをアイリスたち使用人組は微笑ましく見ている。なにせここ最近静かだったペシエラが、元気にロゼリアたちと話をしているのだから、こんなに嬉しい事はない。ちなみにニーズヘッグは別室でシルヴァノと二人っきりである。
さて、なぜ行きも泊まったのに今騒ぎになっているかというと、行きの時はペシエラの事を気にし過ぎていたためである。その懸念点が払拭された今だからこそ、ロゼリアたちは騒いでいるのである。よくよく思えばお城に泊まるのはこの旅が初めてなのだ。
それにしても、ロゼリアたちの従者になっているアイリスたちは、そもそもペシエラたちの命を狙った側である。それがこうやって仲良くわいわいしているというのも不思議な光景だった。まぁ、アイリス、キャノル、ライの三人が手を組んであの手この手で命を狙ったとしても、ペシエラ一人に返り討ちに遭いそうだし、その上チェリシアたちのガードも堅い。無理なものは無理と諦めていても仕方のない話であった。
そんなわけで、凄腕の暗殺者たちは、頼もしい護衛となっているのである。世の中分からないものである。
「まったく、とんでもないお嬢様たちだが、放っておけないのも事実なんだよな。暗殺者の頃よりも今は充実しているよ」
「まったくだわ。魔物に堕ちたはずの私を、まさか妖精に引き戻すなんて聞いた事ないわ」
キャノルとライはしみじみ思っている。表の世界で堂々と歩ける事もそうだが、精霊の森のような特別な場所にまで足を踏み入れられたのだ。とても感慨深い出来事だっただろう。
二人ですらこうなのだから、一番境遇の変わったアイリスは殊更である。アトランティス帝国の子孫で憎悪に駆られたパープリア男爵の娘でありながら、一方で神獣使いという立場でもあるアイリス。多くの幻獣、神獣と契約しながらも、精霊や魔物まで従え、それでいて将来は女王付きの侍女を目指している。
最初こそ、ロゼリアが時間の巻き戻りに気が付いた事が発端だったが、ここまで多くの流れを変えるまでに至るとは、一体誰が考えたであろうか。本当に人生なんて分からないものである。
「とりあえず、明日はモスグリネの国王陛下たちに報告謁見をして、それからヴィフレアの中を散策しましょう」
「賛成。モスグリネならアイヴォリーで手に入らない物があるかも知れないわ」
「そうですわね。気分転換がしたいですわ」
テーブルを囲んでわいわいと盛り上がるロゼリアたち。それをアイリスたちは微笑ましく眺めている。
「味噌と醤油、大豆製品がどうしても欲しいわ。なかなか見つからなくてもやもやしてるもの」
「私は水着に使っているような布地ですわね。あの光沢と手触りはドレスに使っても映えそうですわ」
「私は単純に商会の販路の拡大が狙いたいわね。将来的な事を考えると、提携をしておくのも悪くないわ」
三者三様の考え方である。
「となると……」
ここでロゼリアたちがくるりと振り返る。
……視線の先に居たのは、言わずもがなアイリスたち従者組だ。
「アイリスたちの希望も聞いておきませんとね」
「そうね。付き合わせるだけが主人ではないですものね」
「というわけだから、三人もこっちに来てよ」
チェリシアが手招きをしている。
こうなると断れないと諦めた三人は、ロゼリアたちと一緒にテーブルを囲んで話をする事になった。
そんなこんなで、明日はモスグリネ国王との謁見だというのに、結構遅くまで話し込んでしまう六人であった。
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