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第九章 大いなる秘密
第248話 ひと山越えて
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レイニを見送ったところで、ガレンがペシエラに近付く。
「さて、感動に浸っているところを悪いけど、確認させてもらうよ」
ガレンがオリジンとしてペシエラに魔法を使う。万物を司る精霊は、その名に違わずかなり万能であり、死者の蘇生以外ならほぼすべての魔法を行使する事ができるのだ。
ガレンの使った魔法は、ペシエラの頭から足の先までを光の輪で調べ上げる。まるでCTスキャンのようである。
「うん、実体を得られたようだな。仮初めと実体なら、体を構成する組織が違うから、魔法で調べるとすぐ分かるものなのだよ。……ただし、それなりの知識が要るがね」
ガレンは安心したように話している。これを聞いて、ロゼリアとチェリシア、それとアイリスの三人が感動で打ち震えている。
「でもまぁ、すぐに魔法を使うのはやめた方がいいな。もう少し体を休めてからの方がいい。せっかくモスグリネに来たんだ、その間は少し国を見学していけばいいだろう」
ペシエラの診断を終えたガレンは、ペシエラたちにモスグリネの視察を勧めた。これにはシルヴァノも賛成し、ペイルも嬉しそうにしている。今回のペイルは、やはりペシエラに惚れているっぽい感じだ。
「そうね、そうさせてもらいますわ」
少し悩んだペシエラだったが、最終的にはガレンの提案を受け入れた。
「よし、そうと決まれば私は学園に戻る。土の精霊はレイニに任せておけばいいだろうし、いかんせん学園の仕事が溜まってるんでな」
「だったらさっさと戻って片づけて下さい。私たちの事を気にかけて下さったのは感謝しますが、それはそれ、これはこれです」
「ははは、相変わらずロゼリアくんは手厳しいな。それでは、何か決まれば連絡は寄こす。ただし、年末のパーティーまでには戻ってきなさい」
用事がすべて終わったガレンはさっさと学園に帰ろうとするが、最後に釘刺しとして、年末の王家主催のパーティーまでには帰るようにきつく言い聞かせていた。これに対してロゼリアたちは、「分かりました」と全員が頷いていた。そして、次の瞬間、ガレンの姿は煙のように掻き消えた。どうやら瞬間移動を使えるようである。
ガレンが居なくなった事で、ロゼリアたちは一気に気が抜けてその場に座り込む。ペシエラを救うためにデーモンハートに向けてかなりの魔力を使ったので、疲れてしまっているのは当然なのだ。
「仕方ありませんね。ここで食事にしましょう」
ロゼリアがこう口にすると、チェリシアが収納魔法から食事や敷物を取り出し、比較的疲労の少ないライとキャノルがてきぱきと食事の支度を進めていく。ペイルの従者と王宮魔術師も手伝う。王子以外の男性二人はまったく役に立ってなかったので、この役回りも仕方がない。それにしても、キャノルもすっかり侍女が板についてきた感じだ。
「おーい、さっき襲ってきた奴らを連れて来たぞ」
食事の準備が整う中、レイニが土の精霊であるゴーレムを引き連れて戻ってきた。二体とも正気に戻っており、大きさも人の腰丈ほどに小さくなっていた。
「それが本来の大きさ?」
「そうだね。デーモンハートの瘴気にあてられて、巨大化していたらしい」
「なんか、私と似た感じなのね」
「えっ、そうなの?」
「私の本来の大きさは、みんなの顔くらいの大きさよ。もちろんオリジン様のように人間並みの大きさの妖精や精霊も居るけど」
ライの真実に全員がショックを受けている。実はちびだったなんて、夢にも思ってなかったようである。
「ちょっと、正直ショックなんだけど?! 私だって、元妖精なんだからっ!」
ぷんすこと怒るライだったが、みんなから微笑ましいものを見る視線を送られていた。そんなわけで、ライは最終的に膨れっ面をして拗ねていた。大人ぶっているようでどこか子ども、そういうところは、実に妖精らしい。
いろいろとあったが、一応の目的を達した一行は、精霊の森でのピクニックを堪能したようだ。
「グ、ゴゴ」
「あら、何かしら」
デーモンハートから解放された土の精霊が、何かを訴えている。
「どうやら、ペイル様に用があるようですよ」
通訳としてライが内容を伝える。
「俺にか?」
「グゴ」
二体の土の精霊は、軽く頭を縦に振る。
「ググ……ゴ」
そして、力を集中させて何かを生み出す。
「これは、指輪か?」
ペイルが呟くと、土の精霊たちは頷いて肯定した。
「凄いですぞ、殿下。もう試練を突破されてしまうとは」
王宮魔術師が興奮して何か言っている。話によれば、モスグリネの王位継承者は、試練として精霊の森に向かい、認められた証として指輪や腕輪などの装飾品を持って帰るしきたりがあるそうだ。
どうやら、先程の戦いでこの土の精霊に認められたという事になるらしい。感謝の気持ちもあるのだろう。
しかし、それよりも指輪が二つある事が気にかかった。一つはペイル用だが、意図するところは伴侶に渡せという事だろう。だが、ペイルはこの場では恥ずかしいと思ったのか、
「ありがたく貰っておこう」
とだけ言って、指輪をハンカチで包んでポケットにしまい込んだ。それを見ていたペイルの従者は残念そうにしていたが、ペイルに睨まれて震えあがっていた。
こうして、精霊の森での用事を終え、王都ヴィフレアに戻る事になったのだった。
「さて、感動に浸っているところを悪いけど、確認させてもらうよ」
ガレンがオリジンとしてペシエラに魔法を使う。万物を司る精霊は、その名に違わずかなり万能であり、死者の蘇生以外ならほぼすべての魔法を行使する事ができるのだ。
ガレンの使った魔法は、ペシエラの頭から足の先までを光の輪で調べ上げる。まるでCTスキャンのようである。
「うん、実体を得られたようだな。仮初めと実体なら、体を構成する組織が違うから、魔法で調べるとすぐ分かるものなのだよ。……ただし、それなりの知識が要るがね」
ガレンは安心したように話している。これを聞いて、ロゼリアとチェリシア、それとアイリスの三人が感動で打ち震えている。
「でもまぁ、すぐに魔法を使うのはやめた方がいいな。もう少し体を休めてからの方がいい。せっかくモスグリネに来たんだ、その間は少し国を見学していけばいいだろう」
ペシエラの診断を終えたガレンは、ペシエラたちにモスグリネの視察を勧めた。これにはシルヴァノも賛成し、ペイルも嬉しそうにしている。今回のペイルは、やはりペシエラに惚れているっぽい感じだ。
「そうね、そうさせてもらいますわ」
少し悩んだペシエラだったが、最終的にはガレンの提案を受け入れた。
「よし、そうと決まれば私は学園に戻る。土の精霊はレイニに任せておけばいいだろうし、いかんせん学園の仕事が溜まってるんでな」
「だったらさっさと戻って片づけて下さい。私たちの事を気にかけて下さったのは感謝しますが、それはそれ、これはこれです」
「ははは、相変わらずロゼリアくんは手厳しいな。それでは、何か決まれば連絡は寄こす。ただし、年末のパーティーまでには戻ってきなさい」
用事がすべて終わったガレンはさっさと学園に帰ろうとするが、最後に釘刺しとして、年末の王家主催のパーティーまでには帰るようにきつく言い聞かせていた。これに対してロゼリアたちは、「分かりました」と全員が頷いていた。そして、次の瞬間、ガレンの姿は煙のように掻き消えた。どうやら瞬間移動を使えるようである。
ガレンが居なくなった事で、ロゼリアたちは一気に気が抜けてその場に座り込む。ペシエラを救うためにデーモンハートに向けてかなりの魔力を使ったので、疲れてしまっているのは当然なのだ。
「仕方ありませんね。ここで食事にしましょう」
ロゼリアがこう口にすると、チェリシアが収納魔法から食事や敷物を取り出し、比較的疲労の少ないライとキャノルがてきぱきと食事の支度を進めていく。ペイルの従者と王宮魔術師も手伝う。王子以外の男性二人はまったく役に立ってなかったので、この役回りも仕方がない。それにしても、キャノルもすっかり侍女が板についてきた感じだ。
「おーい、さっき襲ってきた奴らを連れて来たぞ」
食事の準備が整う中、レイニが土の精霊であるゴーレムを引き連れて戻ってきた。二体とも正気に戻っており、大きさも人の腰丈ほどに小さくなっていた。
「それが本来の大きさ?」
「そうだね。デーモンハートの瘴気にあてられて、巨大化していたらしい」
「なんか、私と似た感じなのね」
「えっ、そうなの?」
「私の本来の大きさは、みんなの顔くらいの大きさよ。もちろんオリジン様のように人間並みの大きさの妖精や精霊も居るけど」
ライの真実に全員がショックを受けている。実はちびだったなんて、夢にも思ってなかったようである。
「ちょっと、正直ショックなんだけど?! 私だって、元妖精なんだからっ!」
ぷんすこと怒るライだったが、みんなから微笑ましいものを見る視線を送られていた。そんなわけで、ライは最終的に膨れっ面をして拗ねていた。大人ぶっているようでどこか子ども、そういうところは、実に妖精らしい。
いろいろとあったが、一応の目的を達した一行は、精霊の森でのピクニックを堪能したようだ。
「グ、ゴゴ」
「あら、何かしら」
デーモンハートから解放された土の精霊が、何かを訴えている。
「どうやら、ペイル様に用があるようですよ」
通訳としてライが内容を伝える。
「俺にか?」
「グゴ」
二体の土の精霊は、軽く頭を縦に振る。
「ググ……ゴ」
そして、力を集中させて何かを生み出す。
「これは、指輪か?」
ペイルが呟くと、土の精霊たちは頷いて肯定した。
「凄いですぞ、殿下。もう試練を突破されてしまうとは」
王宮魔術師が興奮して何か言っている。話によれば、モスグリネの王位継承者は、試練として精霊の森に向かい、認められた証として指輪や腕輪などの装飾品を持って帰るしきたりがあるそうだ。
どうやら、先程の戦いでこの土の精霊に認められたという事になるらしい。感謝の気持ちもあるのだろう。
しかし、それよりも指輪が二つある事が気にかかった。一つはペイル用だが、意図するところは伴侶に渡せという事だろう。だが、ペイルはこの場では恥ずかしいと思ったのか、
「ありがたく貰っておこう」
とだけ言って、指輪をハンカチで包んでポケットにしまい込んだ。それを見ていたペイルの従者は残念そうにしていたが、ペイルに睨まれて震えあがっていた。
こうして、精霊の森での用事を終え、王都ヴィフレアに戻る事になったのだった。
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