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第九章 大いなる秘密
第247話 放たれる光
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デーモンハートの抵抗により呼び出された二体のゴーレム型の土の精霊は撃退された。これで一時的かもは知れないが、儀式を邪魔する者は消えた。それでも念のため、ライたちは周りを警戒している。
デーモンハートから流れる魔力はほぼ瘴気が消え失せ、透明に光り輝き始めていた。もう一息である。
「精霊王オリジンの名の下において、今ここに一つの奇跡を起こせ!」
長かった詠唱がついに終わる。
すると、デーモンハートが一気に光を増し、ペシエラの体を包み込んでいく。周りに居るロゼリア、チェリシア、アイリスの三人から光り輝く魔力を取り込み、デーモンハートを通してペシエラの体の周りへと流れていく。まるでおとぎ話のような神々しい光景に、二人の王子やキャノルたちは息を飲んだ。
光はペシエラを包み込み、ふわりとペシエラの体が宙に浮く。そして、少しずつ光が凝縮していき、次々とペシエラの体へと吸い込まれていく。
そして、すべての光がペシエラへと取り込まれると、急激にペシエラの体が光輝いた。
「ま、眩しい……」
誰もが目を開けていられない。その眩しい状態は、数十秒にも及んだ。
やがて光が収まると、そこには普段と変わらない様子のペシエラが立っていた。初めは目を閉じていたが、地に足がついて次第に落ち着いてくると、ペシエラはゆっくりと目を開けていく。
「ペシエラ!」
ロゼリアとチェリシアが声を上げる。
「お姉様、ロゼリア。ご心配、お掛けしましたわ」
ペシエラがぺこりと頭を下げると、二人が同時にペシエラに抱きついた。
「ちょ、ちょっと、二人とも苦しいですわよ」
いきなり抱きつかれた事で、ペシエラが混乱している。二人に挟まれて身動きが取れなくて、正面を見上げた状態で固まっていた。
「それにしても、今までが魂だけの状態だったなんて信じられないわ」
「ええ、触った感じがまったく変わらないんだもの。ねえ、ペシエラ、魔法を使っても大丈夫?」
抱きつきを解除したものの、ロゼリアとチェリシアはペシエラの顔や手をペタペタと触っている。二人の慌て具合がひどい。
「二人とも、とにかく離れて下さいませ。身動きが取れませんわ」
あまりに取り乱す二人に、ペシエラが怒る。すると二人はしゅんとへこんで、渋々ペシエラから離れた。
「まったく二人とも心配なのは分かりますが、少しは弁えて下さいな」
ペシエラの説教が始まった。これを見るといつも通りだなと、シルヴァノたちは微笑ましくそのやり取りを見ていた。
「じゃれるのは構わないが、今は儀式が成功したかだけは確認させてくれないかい?」
呆れたようにガレンが声を掛けてくる。
確かにそうだった。ペシエラを救うために、実体を持つように今回の儀式を行ったのだ。これを確認するには、ペシエラに魔法を使ってもらうのが一番手っ取り早い。
しかし、人工的な魔物氾濫事件以降、ペシエラは魔法を使うたびに激痛に襲われていたので、魔法を使うのはどうしても渋ってしまう。それは不安そうな表情からも十分読み取れるほどだった。
と、その時だった。
突如として、浄化されてただの石と化したはずのデーモンハートが怪しく光る。デーモンハートを抱えるニーズヘッグすら気が付いていない。デーモンハートの最後のあがきが炸裂するかに思われた。
「まったく、諦めの悪い石だね。ライトサークルッ!」
ところが、どこからともなく響いたこの声に、デーモンハート最後のあがきもあっという間に制圧されてしまう。光の輪っかに包まれ、役目を終えたデーモンハートは粉々に砕け散ってしまった。
「やぁ、久しぶりだね、レイニ。危ないところを助かったよ」
「オリジン様、最後に油断とかあなたらしくもない。ボクが来なければどうなっていたかなぁ」
空から舞い降りてきたのは、例の凹地で暮らしている光と水の精霊レイニだった。周りが混乱しているこの状況においても、ガレンは落ち着いて話し掛けている。
「まったく、人間のふりが長すぎて、ボケたみたいな事言わないで下さいよ?」
「いやぁ、面目ない。それはあり得そうなんだよ」
皮肉るように言ったレイニだったが、ガレンが本気で返してきたものだから、レイニはついつい唖然として黙り込んでしまった。だが、すぐに首を左右に大きく振る。
「その辺に転がってる土の精霊を起こしてくるので、オリジン様はペシエラの事を頼みますよ」
「ああ、任された」
ガレンが答えると、レイニはすぐに飛び去って行ったのだった。
デーモンハートから流れる魔力はほぼ瘴気が消え失せ、透明に光り輝き始めていた。もう一息である。
「精霊王オリジンの名の下において、今ここに一つの奇跡を起こせ!」
長かった詠唱がついに終わる。
すると、デーモンハートが一気に光を増し、ペシエラの体を包み込んでいく。周りに居るロゼリア、チェリシア、アイリスの三人から光り輝く魔力を取り込み、デーモンハートを通してペシエラの体の周りへと流れていく。まるでおとぎ話のような神々しい光景に、二人の王子やキャノルたちは息を飲んだ。
光はペシエラを包み込み、ふわりとペシエラの体が宙に浮く。そして、少しずつ光が凝縮していき、次々とペシエラの体へと吸い込まれていく。
そして、すべての光がペシエラへと取り込まれると、急激にペシエラの体が光輝いた。
「ま、眩しい……」
誰もが目を開けていられない。その眩しい状態は、数十秒にも及んだ。
やがて光が収まると、そこには普段と変わらない様子のペシエラが立っていた。初めは目を閉じていたが、地に足がついて次第に落ち着いてくると、ペシエラはゆっくりと目を開けていく。
「ペシエラ!」
ロゼリアとチェリシアが声を上げる。
「お姉様、ロゼリア。ご心配、お掛けしましたわ」
ペシエラがぺこりと頭を下げると、二人が同時にペシエラに抱きついた。
「ちょ、ちょっと、二人とも苦しいですわよ」
いきなり抱きつかれた事で、ペシエラが混乱している。二人に挟まれて身動きが取れなくて、正面を見上げた状態で固まっていた。
「それにしても、今までが魂だけの状態だったなんて信じられないわ」
「ええ、触った感じがまったく変わらないんだもの。ねえ、ペシエラ、魔法を使っても大丈夫?」
抱きつきを解除したものの、ロゼリアとチェリシアはペシエラの顔や手をペタペタと触っている。二人の慌て具合がひどい。
「二人とも、とにかく離れて下さいませ。身動きが取れませんわ」
あまりに取り乱す二人に、ペシエラが怒る。すると二人はしゅんとへこんで、渋々ペシエラから離れた。
「まったく二人とも心配なのは分かりますが、少しは弁えて下さいな」
ペシエラの説教が始まった。これを見るといつも通りだなと、シルヴァノたちは微笑ましくそのやり取りを見ていた。
「じゃれるのは構わないが、今は儀式が成功したかだけは確認させてくれないかい?」
呆れたようにガレンが声を掛けてくる。
確かにそうだった。ペシエラを救うために、実体を持つように今回の儀式を行ったのだ。これを確認するには、ペシエラに魔法を使ってもらうのが一番手っ取り早い。
しかし、人工的な魔物氾濫事件以降、ペシエラは魔法を使うたびに激痛に襲われていたので、魔法を使うのはどうしても渋ってしまう。それは不安そうな表情からも十分読み取れるほどだった。
と、その時だった。
突如として、浄化されてただの石と化したはずのデーモンハートが怪しく光る。デーモンハートを抱えるニーズヘッグすら気が付いていない。デーモンハートの最後のあがきが炸裂するかに思われた。
「まったく、諦めの悪い石だね。ライトサークルッ!」
ところが、どこからともなく響いたこの声に、デーモンハート最後のあがきもあっという間に制圧されてしまう。光の輪っかに包まれ、役目を終えたデーモンハートは粉々に砕け散ってしまった。
「やぁ、久しぶりだね、レイニ。危ないところを助かったよ」
「オリジン様、最後に油断とかあなたらしくもない。ボクが来なければどうなっていたかなぁ」
空から舞い降りてきたのは、例の凹地で暮らしている光と水の精霊レイニだった。周りが混乱しているこの状況においても、ガレンは落ち着いて話し掛けている。
「まったく、人間のふりが長すぎて、ボケたみたいな事言わないで下さいよ?」
「いやぁ、面目ない。それはあり得そうなんだよ」
皮肉るように言ったレイニだったが、ガレンが本気で返してきたものだから、レイニはついつい唖然として黙り込んでしまった。だが、すぐに首を左右に大きく振る。
「その辺に転がってる土の精霊を起こしてくるので、オリジン様はペシエラの事を頼みますよ」
「ああ、任された」
ガレンが答えると、レイニはすぐに飛び去って行ったのだった。
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