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第六章 一年次・夏
第116話 報告謁見
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翌日、ロゼリアたちはサファイア湖の調査報告のために王宮へと出向いた。一応謁見許可をシアンを通じて求めていたが、その許可はあっさりと下りた。
そんなわけで、ロゼリア、チェリシア、ペシエラ、シアン、アイリスの五人は王宮の国王の執務室にやって来ていた。
なぜ執務室かというと、現段階ではなるべく秘密にしておきたいからである。この場に居るのはクリアテス国王陛下、ブランシェード女王陛下、宰相ブラウニルの三人だけである。どこにパープリア男爵の息のかかった人間が居るか分からない。ましてや催眠系の術も使うのなら、知るのは最低限が望ましいのだ。
「国王陛下、女王陛下、宰相閣下、急な申し出に応じて頂き、大変申し訳ございません」
ロゼリアが最初に謝罪を述べる。
「いや構わぬ。それよりも、サファイア湖での調査の報告を聞かせてはくれぬか?」
国王は寛容というよりも、報告を早く聞きたくて仕方がないようだった。
そこで、チェリシアは収納魔法から、召喚の宝珠二つを取り出した。
「こちらが湖から回収した、魔物の召喚に使われた宝珠です。宝珠そのものでは召喚はできませんが、魔力を通す事で召喚陣を設置できる物のようです。……ただ、魔物の種類は指定できないようですが」
チェリシアが宝珠を机に置きながら説明する。この宝珠、魔物の召喚を行うにしては、かなり澄んだ青色をしているのが特徴のようだ。
チェリシアの説明した内容は、鑑定魔法を通した結果である。いろいろと魔法の特訓をしたせいか、かなり詳細に出るようにはなった。だが、材質や製法まではオーパーツっぽいのか、判明しなかった。
「ふむ、そうか。わざわざすまなかった」
国王が謝った。
「それにしても、チェリシアよ」
「何でしょうか、女王陛下」
女王が声を掛けてきたので、チェリシアは返事をする。
「サファイア湖まで馬車で片道六日の道のりぞ。よくこの短期間で往復できたものよな」
「むう、確かにそうだな」
それは疑問に思われても仕方がない。本来ならこの日に到達しているはずのサファイア湖である。疑わしいのは仕方のない事だった。なので、チェリシアはその移動手段を披露する事にした。
「私たちには高速の移動手段がありますから」
チェリシアがそう言って、部屋の中でエアリアルボードを展開した。
「な、何ぞ、それはっ!」
国王たちが声を上げて驚く。まあ、無理もない話である。
「エアリアルボードと言いまして、これを使う事で、サファイア湖まで片道二日でたどり着けます」
チェリシアはちょこんとエアリアルボードに乗り込んだ。空気の塊のはずだが、ちゃんと人が乗って安定しており、ロゼリアとペシエラが乗り込んでも問題無かった。
国王や女王も乗ってみたが、これがなんとも素晴らしい安定感であり、二人とも気に入ったようである。
「何とも不思議な乗り心地よの。しかし、これだけの安定感となると、かなり膨大な魔力が要ると思うが?」
女王に言われて、チェリシアはきょとんとする。そういえば、魔力の消費量など考えた事もなかった。しかし、このエアリアルボード、ロゼリアもペシエラも半日出しっぱなししても大丈夫なものだ。そこまで魔力の消費があるなんて思っても見なかった。まあ、同時に防御壁を展開しているので、確かに多いと言われれば多いかも知れない。
チェリシアがロゼリアとペシエラを見ると、やれやれといった表情で、首を左右に振っている。どうやら、洒落にならないくらいの魔力消費だったらしい。
この三人の様子に、シアンは無反応で、アイリスは口に手を当ててあわあわと怯えていた。シアンは長年仕えて間近に見てきたのだから、今さら驚くような事ではないから仕方がない。
「しかし、これがあると、視察も楽で済む。チェリシアよ、何人ほど乗り込む事ができる?」
女王が尋ねてきたので、
「私たち四人で平気でしたけれど、試した事がないので分かりません」
正直に答えた。
ついでに、荷物や重量の事についても聞かれたが、荷物は収納魔法で問題は無いし、重量に関しては試してみないと分からない。
あーだこーだと質問に対して答えていると、
「よし、騎士団の所へ行くから、そこで試してみるとよい」
女王がこんな事を言い始めた。
正直、チェリシアは面倒だと思ったものの、限界を知るいい機会なのでこれを了承した。
結局何の話をしに来たのかとは思うが、これはこれで重要だ。
「女王陛下、先にサファイア湖での報告を済ませてからでよろしいでしょうか」
ロゼリアが割り込んで、とりあえず話を戻す。そうすると、
「ああ、そうであったな。では、先に報告を聞こう」
思い出したかのように、女王は報告を聞くためにどっしりと構えた。
……横で国王と宰相が呆れていたが、見たら笑いそうになるので、そっとしておくのだった。
そんなわけで、ロゼリア、チェリシア、ペシエラ、シアン、アイリスの五人は王宮の国王の執務室にやって来ていた。
なぜ執務室かというと、現段階ではなるべく秘密にしておきたいからである。この場に居るのはクリアテス国王陛下、ブランシェード女王陛下、宰相ブラウニルの三人だけである。どこにパープリア男爵の息のかかった人間が居るか分からない。ましてや催眠系の術も使うのなら、知るのは最低限が望ましいのだ。
「国王陛下、女王陛下、宰相閣下、急な申し出に応じて頂き、大変申し訳ございません」
ロゼリアが最初に謝罪を述べる。
「いや構わぬ。それよりも、サファイア湖での調査の報告を聞かせてはくれぬか?」
国王は寛容というよりも、報告を早く聞きたくて仕方がないようだった。
そこで、チェリシアは収納魔法から、召喚の宝珠二つを取り出した。
「こちらが湖から回収した、魔物の召喚に使われた宝珠です。宝珠そのものでは召喚はできませんが、魔力を通す事で召喚陣を設置できる物のようです。……ただ、魔物の種類は指定できないようですが」
チェリシアが宝珠を机に置きながら説明する。この宝珠、魔物の召喚を行うにしては、かなり澄んだ青色をしているのが特徴のようだ。
チェリシアの説明した内容は、鑑定魔法を通した結果である。いろいろと魔法の特訓をしたせいか、かなり詳細に出るようにはなった。だが、材質や製法まではオーパーツっぽいのか、判明しなかった。
「ふむ、そうか。わざわざすまなかった」
国王が謝った。
「それにしても、チェリシアよ」
「何でしょうか、女王陛下」
女王が声を掛けてきたので、チェリシアは返事をする。
「サファイア湖まで馬車で片道六日の道のりぞ。よくこの短期間で往復できたものよな」
「むう、確かにそうだな」
それは疑問に思われても仕方がない。本来ならこの日に到達しているはずのサファイア湖である。疑わしいのは仕方のない事だった。なので、チェリシアはその移動手段を披露する事にした。
「私たちには高速の移動手段がありますから」
チェリシアがそう言って、部屋の中でエアリアルボードを展開した。
「な、何ぞ、それはっ!」
国王たちが声を上げて驚く。まあ、無理もない話である。
「エアリアルボードと言いまして、これを使う事で、サファイア湖まで片道二日でたどり着けます」
チェリシアはちょこんとエアリアルボードに乗り込んだ。空気の塊のはずだが、ちゃんと人が乗って安定しており、ロゼリアとペシエラが乗り込んでも問題無かった。
国王や女王も乗ってみたが、これがなんとも素晴らしい安定感であり、二人とも気に入ったようである。
「何とも不思議な乗り心地よの。しかし、これだけの安定感となると、かなり膨大な魔力が要ると思うが?」
女王に言われて、チェリシアはきょとんとする。そういえば、魔力の消費量など考えた事もなかった。しかし、このエアリアルボード、ロゼリアもペシエラも半日出しっぱなししても大丈夫なものだ。そこまで魔力の消費があるなんて思っても見なかった。まあ、同時に防御壁を展開しているので、確かに多いと言われれば多いかも知れない。
チェリシアがロゼリアとペシエラを見ると、やれやれといった表情で、首を左右に振っている。どうやら、洒落にならないくらいの魔力消費だったらしい。
この三人の様子に、シアンは無反応で、アイリスは口に手を当ててあわあわと怯えていた。シアンは長年仕えて間近に見てきたのだから、今さら驚くような事ではないから仕方がない。
「しかし、これがあると、視察も楽で済む。チェリシアよ、何人ほど乗り込む事ができる?」
女王が尋ねてきたので、
「私たち四人で平気でしたけれど、試した事がないので分かりません」
正直に答えた。
ついでに、荷物や重量の事についても聞かれたが、荷物は収納魔法で問題は無いし、重量に関しては試してみないと分からない。
あーだこーだと質問に対して答えていると、
「よし、騎士団の所へ行くから、そこで試してみるとよい」
女王がこんな事を言い始めた。
正直、チェリシアは面倒だと思ったものの、限界を知るいい機会なのでこれを了承した。
結局何の話をしに来たのかとは思うが、これはこれで重要だ。
「女王陛下、先にサファイア湖での報告を済ませてからでよろしいでしょうか」
ロゼリアが割り込んで、とりあえず話を戻す。そうすると、
「ああ、そうであったな。では、先に報告を聞こう」
思い出したかのように、女王は報告を聞くためにどっしりと構えた。
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