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ダンダリオ魔道王国編

進撃の従魔達 8 呪いの結晶と王子の日記 4

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お待たせしました!本編です!

色々大変な事になっておりますが、命大事にで引きこもりましょう!
そんな引きこもり生活のお役に立てたら嬉しいです。
閑話も考えたんですが~やっぱここは本編更新だなって事で~!

「はい!千尋です!本編止まっちゃって僕出てこないけど、ごめんなさい!何だか地球世界は今とっても大変なんだってね…本当に心配だよ…!」
いや~本当に地球規模でこんな事になるなんて予想外だよ。
「本当に心配!みんな!どうしても行かなきゃいけない場合を除いてお家に居てね!今は我慢、我慢だよ!」
そうだね~何より最前線で戦っている医療従事者の皆さんも本当に!ありがとうございます!!
「お医者さん!看護師さん!ありがとうございます!医療以外でも、この件に関わっていらっしゃる方々も本当にありがとうございます!でも自分の事も大事にね!」

では、久し振りの本編!どうぞ!!
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あの時…僕は兄から出された命題を毎日必死に考えていた。
それは魔石に幾つもの魔方陣を刻む事。
後に後悔する事に繋がる事とは知らずに毎日毎日実験をしては失敗していた。
そんな毎日を過ごしていた僕の部屋にノックもしないで入って来たのは、10年前に僕の世話係りになった奴隷の家族の一人娘のカレンだ。

「殿下!もう何日引き込もっていんですか!!部屋にカビが生えますよ!」
「カレン…ノックもしないで入って来ないでよ…。」
「例えノックしても返事しない殿下が悪いでしょ?意味が無いです!それより食事出来ましたよ!お早く食堂に来て下さいよ!」
「ああ…はいはい。」

ここに来たばかりのカレンは7才で今では17才になり少女から大人の女性へとなり可愛い感じだったのが綺麗な顔になった。
それに10年一緒に過ごせば主従というより家族の様な間柄になってしまうのも仕方のない事なのかもしれない。
特に僕の宮は宮殿の中でも特殊な場所であった事もあって、カレン達家族は僕にとっても奴隷とか使用人とかで括れない程の距離感になっていた。

「今日は兄殿下もご一緒ですよ!」
「ええ!それを早く言ってよ!」
「えへへ!驚きました?成功成功!」

足早に食堂に入って来た僕に兄は微笑をして声を掛けた。

「相変わらず研究ばかりしているようだな?」
「兄上!」

最近の兄は母であり王妃である、僕にとっては義母となった義母上の宮にずっといる。
母上の寿命が近く消えるというからだ。
エルフは長命…だけど寿命はある。
長く1000年生きたエルフもいたそうだが今はだいたい800年前後…。
ただ長生き出来るのは魔力に強い王族や貴族で一般的なエルフは500年前後が寿命となっている。
王妃である義母上は792歳…寿命なのだ。
エルフが寿命を迎える時、美しい金色の髪が段々薄くなり最後には真っ白になってしまうのだと以前、見舞いに行った僕にそう話してくれた義母上は確かに髪の色が所々白くなっていた。
だが美しい顔立ちはそのままだったから義母上がもうすぐ寿命で居なくなるなんて信じられなかった。

「兄上…義母上のご様子は…?」
「ああ…その事でお前に話があってね…」
「お話しですか?」
「母上は…多分明日、長くても明後日にはこの世を旅立ち逝かれるだろう…。」
「!!」
「母上の遺言があってね…。」
「遺言…。」
「母上は王家の廟所には入りたくないと…ずっと言われていてな…母上の実家である大森林近くの森に廟所を建て、そこで眠りたいのだと言われるのだ。」
「ですが…それは国王である父上が許さないのではありませんか?」
「ああ…最初は反対されていたし王妃である母上の我儘だと、怒りも凄かったのだが第一王子や第二王妃からも諭されてな…やっと昨日許しが出たのだよ。」
「第一王子と第二王妃の…」
「ああ…下心やら野心やらいっぱいであろうが…それでも母上の願いが叶うのなら、どうでもいい事だ。」
「兄上!兄上は王位には!?」
「ふん…興味はない…まあ、あの兄上が王になるのはちょっと面白くはないがな。」
「兄上…。」
「あやつは最も王である父上にそっくりだ…短絡的で見栄ばかり重要視する…あんな男が2代に渡って王位に就くのは、この国の滅亡を早める事になると思うが…私にはお前が側にいてくれれば、それでいい…。」
「兄上!」
「さて、食事が終わったら一緒に母上の側へ参ろう…お前も母上に別れを言ってやってくれ…。」
「はい…。」

そして、最後に会った義母上は美しい顔立ちのまま、真っ白になった長い髪を綺麗に整え横になっていた。
兄上が義母上の願い通りになった事を伝えると微笑み…。

「ああ…やっと解放されるのだな…。」

そう呟いて…その後意識が戻る事なく、この世を旅立ち最後まで美しいまま…義母上は逝った。

兄上は母上のもう1つの願いであった義母上の遺骸を自分の魔力で作った水晶の棺に自らの両手で義母上を抱き上げ入れた。
義母上は亡くなった後も王である父上に自分の事を触らせたくなかった様で、その事で父上が激怒して怒鳴っていたが兄上は聞こえない素振りで綺麗な魔水晶の棺を作って義母上の遺骸を安置した。
僕はその棺に義母上が好きだった花を入れ最近やっと出来た青い魔石を義母の白く細い指に指輪にして贈ったんだ。
兄上はきっと義母上も喜ぶと言ってくれ僕の贈った指輪と花を入れたまま棺に封を施した。

そして、王家主宰の大きな葬送の儀式が1ヶ月に渡り行われ兄上は義母上との約束を果す為に王都を旅立つ前夜、兄上は僕も一緒に行こうと言ってくれたのだが僕は今やっている魔石の研究が完成間近なのもあって同行を断ってしまった。

この事が自分の運命を変えてしまうなんて思いもしていなかった。
僕を王族として認めてくれていたのは義母上と兄上だけだった。
その加護が無い事が僕にとってこんなにも最悪の出来事を呼び寄せてしまう事を!
僕は知らなかったんだ。

兄上が王宮を旅立つ朝、僕はカレン達家族と一緒に門まで見送りに行った。

「では、行ってくる。」
「はい!兄上!気を付けて行ってらっしゃ

義母上の棺と兄上を乗せた馬車が静かに動き出した。
僕は馬車が見えなくなるまで門の中から手を振って見送った。
これが兄上との今生の別れになるなんて思いもしなかった。

あの日、あの時にあの道を選んだのは自分…。
愚かで何も知ろうとしなかった自分を悔やんでも時は戻らない…。

そして、僕以上に愚かで短慮な人達が、この国にいた事を僕は長い年月の果てで忘れていたんだ。
それが王であり自分の父で、兄弟である事も!
兄上が王都を旅立ち義母上の廟所を建てて帰って来た時、僕もまた王都から消えてしまっていた…!

青の魔石と共に…僕は大森林の奥へ追放された。
そのきっかけは第一王子…上の兄上からの突然の呼び出しから始まったんだ。



続く。

GW最終日に間に合った!
まだまだ厳しい状況が続きますが命大事に!ですよ!
皆様、ご自愛下さいね!

猫屋ネコ吉  拝
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