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レオニダス獣王国編

新たな従魔と魔法陣の謎…

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『ああ!自由だ!我は自由だ!!』
「うん!良かったね!!」

立ち上がったフェンリルは凄く大きくて…白銀の毛がフサフサでとっても綺麗だ。
叡智ある魔物達は、どの種も大きくてそして美しい…。
そのフェンリルのお腹から派手な音がした。
グウウゥゥゥウ!

「お腹空いてるの?」
『ああ…我は魔獣…他の種の長命種達と違って魔素だけ入れていればいい種では無い…食べる事が必要なんだ…歳を取ったフェンリルは魔素のみでも生きて行くが若い時は食べる事が必要なんだ…我はここに封じられて10年以上になる…死は近かった。』
「10年!!長い間ここに…よし!じゃあ僕がご馳走するよ!生肉もあるけど…アレいっぱい作ってあるからお腹に溜まる様に丼物にしよう!」
『ど、どん?』
「すぐ用意するから!待ってて!」

そう言って千尋はイベントリから調理台とコンロにフライパン、そして特注で作って貰った大きな鉄製のボールにはオーク肉が醤油ダレに漬け込んであった。
手をクリーンで洗ってから、キャベツを丸々1個千切りにして、大きなボールにご飯を敷き詰めて上にキャベツを乗せて、タレに漬け込んだ肉を焼いていく。
美味しそうな醤油タレと肉の焼ける匂いにフェンリルは口から涎が止まらなくなった。

「よし!オークの生姜焼き丼と手抜きしちゃったけど簡単お湯を注ぐだけ味噌まるのワカメと油揚げの味噌汁出来たよ!!召し上がれ~!」
『おお!!食べていいのか?』
「もちろん!さあ~どうぞ!」
『頂く…』

そう言って一口、生姜焼き丼を食べたらその後は止まらぬ勢いで食べ始めた!

『美味い!ガツガツガツガツ!キューン…もう無い…』
「大丈夫!おかわりあるから!…でも、フェンリルは小さくなれないの?」
『おお!その手があったか!なれる!』

そう言って大型犬くらいの大きさになってくれた。

「これなら直ぐには無くならないね!ほら、おかわりだよ!」
『ワフ!美味い!美味いぞ~!!ミソ…アチっ!でも、美味い!!』

そう言って何度も何度もおかわりして、たくさんあった生姜焼きも食べ尽くした。

「流石10年分だね~凄いいっぱい食べたね!」
『プシュ~お腹いっぱいになった~美味かった~!!ありがとう~人間…』
「ふふふ…どう致しまして!僕の名前は千尋だよ!」
『チ…ヒロ…ありがとう…解放してくれて…食べ物も…もう、諦めていた…このまま死ぬのだと…そう思っていたのだ…』
「うん!良かった!!」
『我はフェンリル!チヒロよ…命を救って貰った礼をしたい!我を従魔にしてくれ!』
「う~ん…お断りで!!」
『ええ!!断る!!』
「だって、もう従魔いるもん!…名前考えるの面倒だし…」
『そ、そんな~我はフェンリルだぞ!強いし早く走れるし!魔法だって土と風の2つも使えるし!!』
「う~ん…僕の従魔達は皆強いし早いし飛べるし…魔法も使えるよ!」
『な!何を従えているのだ?魔物でそれだけ使えるとなると…まさか…』
「タイガスと光竜だよ!」
『タイガスに光竜!!ううう…そんな高位魔物ばっか…何者なんだチヒロ…』
「ええ~一般庶民です!」
『そんな庶民はいない!』
「ええと~一応~神の愛し子でもあります…。」
『神の!!…はぁ~~そういう事か…ならば理解出来る…。』
「でも…さっきからみんなを呼んでいるんだけど…通じないんだ…念話しても誰も応えて来なくて…どうしたんだろう…僕どうしたらいいのかな…。」
『それはここが結界石の鉱脈の中だからだ…我が一族は代々この鉱脈を守って来たから、ここは人族も知らないのだ!』
「結界石!」
『どうだチヒロよ、我を従魔にしたらここにある結界石を持って行ってもいいぞ!今でも貴重な鉱石だから役に立つぞ!』
「ええ~でもな~う~ん…」
『だいたい我を餌付けしたんだ!あんな美味しいモノ食べさせておいて後は知らんふりして帰るなんて酷い行為だぞ!』
「う~ん…」
『それに我の毛はフワフワだぞ!我が腹で寝ると気持ちいいぞ~!寒い場所で役に立つぞ~!』
「!!…ふわふわ…モフモフ……」
『どうだ!チヒロ!!』
「…分かった!従魔にします!!モフモフには勝てないよ!」
『やった!!』

そこで千尋はイベントリから漢字辞書を取り出して…うーんうーん唸りながら考えて考えて…。

「決めた!君の名前は心白こはくに決めた!!」
『頂いた!我が名は心白こはく!その名に従いチヒロを守護しよう!』
「うん!これから、よろしくね!心白!」

こうして、従魔が1匹増えました!

とりあえず結界石を20個くらい拾って、心白に乗って洞窟から出たんだ。
さっきの光魔法で不自然な霧も消えたみたいで、外に出た途端に白雪と真白、白音が転移して来たんだ。

「「「千尋!!」」」
「あ!みんな~来てくれたんだ~」
「はぁ~念話も通じなくなるし、匂いも消えて本当に心配したのじゃぞ!」
「「千尋~~~無事で良かったよ~~(泣)」」
「心配かけて、ごめんね!…でも僕もどうしてこうなったか分からなくて…」
「して、そこのフェンリルはどうしたのじゃ?」
「ええと、この先の洞窟で繋がれていたから助けたんだ…そして、従魔にしちゃった!」
『我はフェンリルの心白だ!餌付けされてしもうたのだ!よろしく頼む!』
「「「はぁ~~~…納得(じゃ)…」」」
「心白は魔族に隷属の首輪と黒い呪いが付与された杭で10年もここに拘束されていたんだ…」
「隷属…あの青の魔石のか?」
「ううん…違う、アレン達がしていた隷属の首輪に似てた…。」
『我はずっと、魔力をその杭に吸い取られていた…10年くらい前変わった魔法陣が現れてな…そこからは気が付いたら結界石の鉱脈の中で、首輪をされ黒い杭を打たれていた…確かでは無いが…その時我を覗き込む人の目が金色であったのだ…意識が朦朧としていたから断片的ではあるが、その者ともう1人が話していた…これで計画の邪魔者が消えて、吸い上げる魔力の素体が2体になったと…』
「ふむ…素体か…何の為に魔力が必要だったのか…それに魔法陣…魔法陣は魔族よりエルフが得意とするものじゃ…何とも謎だらけじゃ…先程の霧も…そうだが、魔物の上位種であるフェンリルをこうも簡単に捕らえてしまう魔法陣など考え付かぬ…実物を見てみぬ事にはな…。」
「ごめん…白雪…僕が光魔法で消しちゃったんだ…魔法陣…。」
「どうりで…これでまた暫く千尋は小さいままであるな…。」
「うううう…でも、この前ほど力は使っていない感じがするんだ…。」
「それは結界石のお陰であろ…結界石は魔力を増幅させる事も出来ると父上から聞いた事がある!もう鉱脈が枯れ果てて見つからなくなったと思っていたのだが…」
『我が一族はここにある結界石の鉱脈を代々守って来たのだ…さっき千尋にいくつか拾って持たせた…出来ればこの場所は人間には言わないで欲しい…』
「あい分かった!妾達タイガスは、ここの事は何も言わないと約束しよう!」
「僕も内緒にするよ!…って言うか多分案内されなきゃここまで来れないし…」
『感謝する!』
「クスクス…千尋の方向音痴が役に立つ事があるなんて…」
「うるさいよ!真白!!」
「さあ、キャンプ地に戻ろうか…他の皆が心配しているであろ…」
「うん!早く帰ってバーベキューの準備もしなきゃ!」
「「「急いで転移する(のじゃ)!!」」」
『おう…ばーべきゅ?』

フェンリルの心白に座った千尋ごと白雪達は転移をしてキャンプ地に戻るのだった…。




続く!


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お気に入り&お読み頂きありがとうございます!
今回フェンリルの名前は以前、タイガスの名前を募集した時頂いた中の1つを使わせて頂きました!
やっと使う事が出来た~!ありがとうございます!

さてさて、GWも後2日…早いね~!
明日は他作品を更新するので、この続きは日曜日かな?…予定は未定ですけど!!
これからも応援よろしくお願い致します!
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