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田中さんの後継者 8
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ふと涙の気配を感じた。
熱を持った体に感じた小さな小さな涙の気配を悠夜は敏感に感じて目が覚めた。
「…田中…さ…ん?」
「おお~悠夜様目が覚めましたか?ご気分は如何ですか?」
「誰か…泣いてた?田中さん泣いてた?」
「悠夜様…。」
田中さんの顔は少し悲しそうにしているだけで、顔に涙の跡があった訳でも無かったのに悠夜は田中さんの心が悲しみで溢れているのを感じていた。
田中さんの手にはタブレットがあり、長いレポートを読んでいた。
「今朝、夕霧さんから頂いたメールを読んでおりました。」
「達兄からの…ガーディアンを使ったんだね?」
「はい、私が希望致しました。」
「そうなんだ…。」
「そして、結果は思いがけない事でありました。私はもしかしたらと思ってしまったのです!残念ながら違っておりました。」
「田中さん…。」
「案外…私が思っていた以上に彼は幸せで、そして不幸だった様でございます。」
そう言って田中さんはタブレットを悠夜に渡しメールの内容を見せた。
「これは…!」
「はい…悠夜様お願いが御座います。」
「うん…分かったよ…田中さんの希望叶えるよ。」
「悠夜様!ありがとう御座います!!」
「田中さんはウチの家族だもの!家族の願いは叶えるのがウチの大事なルールだからね!それに僕の大事な田中さんを悲しませるなんて!絶対許さないんだから!!」
「悠夜様…。」
「達兄~いるでしょ?」
「勿論!」
病室のドアが静かに開くと達磨が音も立てずに入って来た。
「今計画進行中なのかな?」
「進行中だけど…悠ちゃん?危ない事しちゃダメだよ!!頼むよ?」
「大丈夫!今回は那智にも協力して貰うから!そしたら僕の力は使わないし!」
「う~ん…それならいいのか?」
「でも!那智の店が休みの時にしてね!店を僕の都合でお休みにしたくないから!」
「えええぇぇぇ~!御厨さんの店休日って確か木曜日だったっけ?」
「そう!毎週木曜日!」
「ううううぅぅぅ~善処します…。」
「ありがとう~達兄!!」
「はいはい…。本当に無理しちゃダメだからね!悠ちゃん聞いてる??」
「さぁ~サッサと熱下げなきゃね~!」
「聞いちゃいねぇ~!」
いつもの主従漫才を聞きながら田中さんは暖かいモノが心を満たしてくれるのを感じていた。
自然と出た笑顔が今の幸せを表していると思った。
先程まで心を満たしていた絶望の陰がすーっと消えて行くのを感じた。
「本当に私は幸せ者で御座います。」
そう言った田中さんの言葉を聞いて悠夜と達磨も一緒に笑顔になった。
「大丈夫だよ田中さん!僕がきっと全てをいい方向へ向かわせるから!!
僕は神城悠夜!自重しない一族の一員だからね!」
「……自重はしようよ…お願いだから…。」
達磨の言葉を綺麗にスルーした悠夜は凄くいい笑顔を見せた。
その笑顔を見て達磨は頭を抱えるのだ。
そして、振り回される仲間になった御厨と、やっぱり振り回されるのが確定している関係各所にメールを送るべく胸ポケットからスマホを取り出した。
文面は短かった。
【山が動く!しかも自重無しで!!】
そして全ては動き出す。
*********************
お気に入り&お読み頂き、ありがとうございます(*´∇`*)
ちょっと仕事落ち着いたので、連投しました~いや~やれば出来る子なんですよ!
エピローグ的なのがやっと終わったので次回から物語は動き出します!
謎が明らかになるはず!次回更新は来週かな?
よろしくお願い致します!
熱を持った体に感じた小さな小さな涙の気配を悠夜は敏感に感じて目が覚めた。
「…田中…さ…ん?」
「おお~悠夜様目が覚めましたか?ご気分は如何ですか?」
「誰か…泣いてた?田中さん泣いてた?」
「悠夜様…。」
田中さんの顔は少し悲しそうにしているだけで、顔に涙の跡があった訳でも無かったのに悠夜は田中さんの心が悲しみで溢れているのを感じていた。
田中さんの手にはタブレットがあり、長いレポートを読んでいた。
「今朝、夕霧さんから頂いたメールを読んでおりました。」
「達兄からの…ガーディアンを使ったんだね?」
「はい、私が希望致しました。」
「そうなんだ…。」
「そして、結果は思いがけない事でありました。私はもしかしたらと思ってしまったのです!残念ながら違っておりました。」
「田中さん…。」
「案外…私が思っていた以上に彼は幸せで、そして不幸だった様でございます。」
そう言って田中さんはタブレットを悠夜に渡しメールの内容を見せた。
「これは…!」
「はい…悠夜様お願いが御座います。」
「うん…分かったよ…田中さんの希望叶えるよ。」
「悠夜様!ありがとう御座います!!」
「田中さんはウチの家族だもの!家族の願いは叶えるのがウチの大事なルールだからね!それに僕の大事な田中さんを悲しませるなんて!絶対許さないんだから!!」
「悠夜様…。」
「達兄~いるでしょ?」
「勿論!」
病室のドアが静かに開くと達磨が音も立てずに入って来た。
「今計画進行中なのかな?」
「進行中だけど…悠ちゃん?危ない事しちゃダメだよ!!頼むよ?」
「大丈夫!今回は那智にも協力して貰うから!そしたら僕の力は使わないし!」
「う~ん…それならいいのか?」
「でも!那智の店が休みの時にしてね!店を僕の都合でお休みにしたくないから!」
「えええぇぇぇ~!御厨さんの店休日って確か木曜日だったっけ?」
「そう!毎週木曜日!」
「ううううぅぅぅ~善処します…。」
「ありがとう~達兄!!」
「はいはい…。本当に無理しちゃダメだからね!悠ちゃん聞いてる??」
「さぁ~サッサと熱下げなきゃね~!」
「聞いちゃいねぇ~!」
いつもの主従漫才を聞きながら田中さんは暖かいモノが心を満たしてくれるのを感じていた。
自然と出た笑顔が今の幸せを表していると思った。
先程まで心を満たしていた絶望の陰がすーっと消えて行くのを感じた。
「本当に私は幸せ者で御座います。」
そう言った田中さんの言葉を聞いて悠夜と達磨も一緒に笑顔になった。
「大丈夫だよ田中さん!僕がきっと全てをいい方向へ向かわせるから!!
僕は神城悠夜!自重しない一族の一員だからね!」
「……自重はしようよ…お願いだから…。」
達磨の言葉を綺麗にスルーした悠夜は凄くいい笑顔を見せた。
その笑顔を見て達磨は頭を抱えるのだ。
そして、振り回される仲間になった御厨と、やっぱり振り回されるのが確定している関係各所にメールを送るべく胸ポケットからスマホを取り出した。
文面は短かった。
【山が動く!しかも自重無しで!!】
そして全ては動き出す。
*********************
お気に入り&お読み頂き、ありがとうございます(*´∇`*)
ちょっと仕事落ち着いたので、連投しました~いや~やれば出来る子なんですよ!
エピローグ的なのがやっと終わったので次回から物語は動き出します!
謎が明らかになるはず!次回更新は来週かな?
よろしくお願い致します!
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