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現世での後始末
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「ただいま~遅くなりました!心配かけたね。」
「きっと戻って来てくれると信じていました…あちらは片が付いたのですか?」
「うん!色々やって対処したから暫くは大丈夫だと思う。」
「じゃあ彼は…」
「うん、直ぐっていうのは無理だけど、魂を治す薬を作って貰っているから予想よりは早く戻れると思うけど…水樹くんは?」
「隣の部屋で休んでいますよ…きっと悠夜の側に来て安心したのでしょう。」
「そっか…色々彼にも説明しなきゃいけないけど…先ずは…達兄からだね~説明…」
「そうだね~!やっと俺の存在思い出してくれたんだ~良かった良かった!!
とか言うと思った!?悠ちゃん!」
正しく仁王立ちしてる達磨に土下座する!
「申し訳ありませんでしたー!!!」
「説明~説明してくれるかな?俺も大変だったんだよ神城一族押さえるの!」
「えへへ~…ごめんなさい。」
「24時間悠ちゃんの声を聞かないと禁断症状起こす人間がどんだけいると思ってんの?
自慢じゃないけど俺の携帯回線パンクで止まってるんだぜ!個人の携帯と会社の携帯、そして、ホテルの主回線もね~悠ちゃん愛を舐めるなよ!」
「うーん、ご、ごめんなさい?」
「説明…その前に衛星回線利用したスカイプで、騒動を鎮静化させよう。悠ちゃん、体調はどう?」
「向こうで発散させて来たから、まだ大丈夫だよ。」
「了解、じゃあ準備して来るから5分待って。」
「はい!」
それからは号泣してる父を宥め、兄達を宥め、そして画面越しだけど母に那智を紹介して腐な事を小さく言ってたのを高性能マイクが拾っていたけど、ガン無視しながら一生懸命謝りたおした。
結果明日の朝に東京に戻る事になってしまったのは、しょうがないと諦めた。
田中さんが淹れてくれた紅茶を飲みながら一息付いたのは悠夜が目覚めて2時間後だった。
「はぁ~やっと終わった…」
「お疲れ様でした。」
「うん…那智もごめんね!結局お店休ませてしまったね…。」
「ふふふ…大丈夫ですよ、日本有数の観光地ですからお客様は黙っていても来てくれますから。」
「達兄も、本当にごめんね…凄く心配させてしまったよね。」
「…それで、悠ちゃんはアッチに行って何して来たの?」
そこで、悠夜は天界でのアレコレを説明した。
一族の事、そして今回の騒動の黒幕の事と二度と悲しい思いをさせる事が無いように色々画策した事を話していい所だけを説明した。
「はぁ~俺にはもう着いていけないレベルなんですけど~まあ、解決したって事でいい事にするわ…」
「はい、それでお願いします!」
「でも、悠ちゃん…二度と死んだフリは禁止だからね。俺は、本当に俺はまた失うのかって…俺は…」
今にも泣きそうでいて、とても痛かった傷を思い出した様な顔で沈む達磨を見て自分の暴走を芯から反省した。
そして、達磨の側に移動して項垂れている達磨の頭を抱き締めた。
自分の鼓動を達磨に聞かせる様に。
「達兄、ほら僕はちゃんとココに居るよ。こんな無茶はもうしないって約束する。」
「………」
目を閉じて悠夜の穏やかな体温と確かに聞こえる鼓動にようやく達磨も安心したのか暫く悠夜を抱き締めて、ソッと離した。
「じゃあ、明日には東京に戻るし、寝むか…。」
「うん、僕もちょっと疲れたし寝むよ。」
「御厨さん、貴方も疲れたでしょう、今夜はココで休んでいって下さい。悠ちゃんの隣の ベッド空いてますから。」
「…そうですね、今夜は甘えます。明日の朝見送りたいですから。」
「やった~那智~じゃあ、こっちだよ~」
嬉しそうに那智の手を引いて行く悠夜に苦笑しながらついて行く。
久し振りの大きな魔術を使った後の高揚感があって眠れそうになかったが、簡単にシャワーで汗を流してホテルのパジャマに着替えて寝室に戻れば悠夜はスヤスヤと可愛い顔で眠っていた。
その寝顔を見ながら、那智は先ほどの達磨と悠夜の会話を思い出していた。
2人の間には、護衛と護衛される者以上の絆があった。
2人の間に入れない自分…。
それが結構那智の心にひっかかる。
「…嫉妬なのか…?俺の知らない悠夜のこれまでの時間が…それを知っている夕霧さんが羨ましいのか…」
当然の事なのに、何故かとてもそれが悔しい…。
考え出したら、さっきまであった眠気も覚めた。
自分の心を静めようと、喉の渇きを自覚して冷たい飲み物を求めてリビングに出ると、まだ仕事をしていた達磨と会ってしまった。
「御厨さん、悠ちゃんの側じゃ眠れませんか?」
ちょっと揶揄いを含んだ達磨の言葉に、先ほどの小さな苛立ちがさざ波の様に胸に起きた那智は、この際だから聞いてみようと思い立った。
「夕霧さん、ちょっとお話ししてもいいですか?」
「お!なんです?改まって…悠ちゃんの個人情報は本人に聞いて下さいよ!俺には職務上、話す事は出来ませんからね~」
「夕霧さんと悠夜は、どうやって知り合ったんですか?」
「…はぁ~本当に誤魔化せませんね、貴方も…。」
「正直、過ぎた時間は戻せませんから…でも、悔しいんです。貴方と悠夜のやり取りを見ていると、悔しいんです。俺には入れない事柄があるって事は頭で理解してても、心が悔しがっていて…だから、2人の事を知りたい!ダメでしょうか?」
達磨はちょっと驚いていた。
那智は自分より長い年月を記憶してる。
出会った当初から年齢以上に達観している大人だと思っていたから…。
そんな那智の正直過ぎる告白に驚きながらも人間らしさが見えて、ちょっと安心もした。
「…出来れば、この前やってくれた結界ってのをこの部屋にしてくれるか?
他の誰にも聞かせられない案件なんだ…。」
那智は密かに息を詰めた。
そこまで秘密にしなきゃいけない過去だと予想もしていなかったからだ。
那智は達磨の要望の通り、前と同じ様に防音、防撮の結界を展開させた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お気に入りアンドお読み頂き、ありがとうございます(^人^)
お気に入りが増えて来てるのを見て嬉しい悲鳴を上げております!
次回からは達磨と悠夜の出会いとなった事件編となります。
達磨のハードな過去(R18)を描いていきますので、どうぞ宜しくお願い致します!
次回も土日のどちらかで…!
「きっと戻って来てくれると信じていました…あちらは片が付いたのですか?」
「うん!色々やって対処したから暫くは大丈夫だと思う。」
「じゃあ彼は…」
「うん、直ぐっていうのは無理だけど、魂を治す薬を作って貰っているから予想よりは早く戻れると思うけど…水樹くんは?」
「隣の部屋で休んでいますよ…きっと悠夜の側に来て安心したのでしょう。」
「そっか…色々彼にも説明しなきゃいけないけど…先ずは…達兄からだね~説明…」
「そうだね~!やっと俺の存在思い出してくれたんだ~良かった良かった!!
とか言うと思った!?悠ちゃん!」
正しく仁王立ちしてる達磨に土下座する!
「申し訳ありませんでしたー!!!」
「説明~説明してくれるかな?俺も大変だったんだよ神城一族押さえるの!」
「えへへ~…ごめんなさい。」
「24時間悠ちゃんの声を聞かないと禁断症状起こす人間がどんだけいると思ってんの?
自慢じゃないけど俺の携帯回線パンクで止まってるんだぜ!個人の携帯と会社の携帯、そして、ホテルの主回線もね~悠ちゃん愛を舐めるなよ!」
「うーん、ご、ごめんなさい?」
「説明…その前に衛星回線利用したスカイプで、騒動を鎮静化させよう。悠ちゃん、体調はどう?」
「向こうで発散させて来たから、まだ大丈夫だよ。」
「了解、じゃあ準備して来るから5分待って。」
「はい!」
それからは号泣してる父を宥め、兄達を宥め、そして画面越しだけど母に那智を紹介して腐な事を小さく言ってたのを高性能マイクが拾っていたけど、ガン無視しながら一生懸命謝りたおした。
結果明日の朝に東京に戻る事になってしまったのは、しょうがないと諦めた。
田中さんが淹れてくれた紅茶を飲みながら一息付いたのは悠夜が目覚めて2時間後だった。
「はぁ~やっと終わった…」
「お疲れ様でした。」
「うん…那智もごめんね!結局お店休ませてしまったね…。」
「ふふふ…大丈夫ですよ、日本有数の観光地ですからお客様は黙っていても来てくれますから。」
「達兄も、本当にごめんね…凄く心配させてしまったよね。」
「…それで、悠ちゃんはアッチに行って何して来たの?」
そこで、悠夜は天界でのアレコレを説明した。
一族の事、そして今回の騒動の黒幕の事と二度と悲しい思いをさせる事が無いように色々画策した事を話していい所だけを説明した。
「はぁ~俺にはもう着いていけないレベルなんですけど~まあ、解決したって事でいい事にするわ…」
「はい、それでお願いします!」
「でも、悠ちゃん…二度と死んだフリは禁止だからね。俺は、本当に俺はまた失うのかって…俺は…」
今にも泣きそうでいて、とても痛かった傷を思い出した様な顔で沈む達磨を見て自分の暴走を芯から反省した。
そして、達磨の側に移動して項垂れている達磨の頭を抱き締めた。
自分の鼓動を達磨に聞かせる様に。
「達兄、ほら僕はちゃんとココに居るよ。こんな無茶はもうしないって約束する。」
「………」
目を閉じて悠夜の穏やかな体温と確かに聞こえる鼓動にようやく達磨も安心したのか暫く悠夜を抱き締めて、ソッと離した。
「じゃあ、明日には東京に戻るし、寝むか…。」
「うん、僕もちょっと疲れたし寝むよ。」
「御厨さん、貴方も疲れたでしょう、今夜はココで休んでいって下さい。悠ちゃんの隣の ベッド空いてますから。」
「…そうですね、今夜は甘えます。明日の朝見送りたいですから。」
「やった~那智~じゃあ、こっちだよ~」
嬉しそうに那智の手を引いて行く悠夜に苦笑しながらついて行く。
久し振りの大きな魔術を使った後の高揚感があって眠れそうになかったが、簡単にシャワーで汗を流してホテルのパジャマに着替えて寝室に戻れば悠夜はスヤスヤと可愛い顔で眠っていた。
その寝顔を見ながら、那智は先ほどの達磨と悠夜の会話を思い出していた。
2人の間には、護衛と護衛される者以上の絆があった。
2人の間に入れない自分…。
それが結構那智の心にひっかかる。
「…嫉妬なのか…?俺の知らない悠夜のこれまでの時間が…それを知っている夕霧さんが羨ましいのか…」
当然の事なのに、何故かとてもそれが悔しい…。
考え出したら、さっきまであった眠気も覚めた。
自分の心を静めようと、喉の渇きを自覚して冷たい飲み物を求めてリビングに出ると、まだ仕事をしていた達磨と会ってしまった。
「御厨さん、悠ちゃんの側じゃ眠れませんか?」
ちょっと揶揄いを含んだ達磨の言葉に、先ほどの小さな苛立ちがさざ波の様に胸に起きた那智は、この際だから聞いてみようと思い立った。
「夕霧さん、ちょっとお話ししてもいいですか?」
「お!なんです?改まって…悠ちゃんの個人情報は本人に聞いて下さいよ!俺には職務上、話す事は出来ませんからね~」
「夕霧さんと悠夜は、どうやって知り合ったんですか?」
「…はぁ~本当に誤魔化せませんね、貴方も…。」
「正直、過ぎた時間は戻せませんから…でも、悔しいんです。貴方と悠夜のやり取りを見ていると、悔しいんです。俺には入れない事柄があるって事は頭で理解してても、心が悔しがっていて…だから、2人の事を知りたい!ダメでしょうか?」
達磨はちょっと驚いていた。
那智は自分より長い年月を記憶してる。
出会った当初から年齢以上に達観している大人だと思っていたから…。
そんな那智の正直過ぎる告白に驚きながらも人間らしさが見えて、ちょっと安心もした。
「…出来れば、この前やってくれた結界ってのをこの部屋にしてくれるか?
他の誰にも聞かせられない案件なんだ…。」
那智は密かに息を詰めた。
そこまで秘密にしなきゃいけない過去だと予想もしていなかったからだ。
那智は達磨の要望の通り、前と同じ様に防音、防撮の結界を展開させた。
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お気に入りアンドお読み頂き、ありがとうございます(^人^)
お気に入りが増えて来てるのを見て嬉しい悲鳴を上げております!
次回からは達磨と悠夜の出会いとなった事件編となります。
達磨のハードな過去(R18)を描いていきますので、どうぞ宜しくお願い致します!
次回も土日のどちらかで…!
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