あいつだけは敵に回さないほうがいい

トラブルメーカー

「そんな色気のない格好してるから、男に襲われないんだよ」
「そんな中身のない脳みそしてるから、モテないんですよ」

　私がそう言うと、チンピラたちは不愉快そうに眉をひそめた。

「なんだお前……さてはよそ者だな？　まさか俺たちカンディール・アルヴァハルを知らないのか？」
「カン……何？」
「カンディール・アルヴァハルだ」

　聞いてもよくわからなかった。

　しかし……どうにも私はトラブルメーカーらしい。どこの街に行っても、大抵は何かしらのトラブルに巻き込まれる。
　まぁ私がトラブルに首を突っ込んでいるからだろうけど。そして、私はそのトラブルを求めているので、自分のこの性格は大歓迎だ。

　今回のトラブルは、大きくなりそうな予感がする。よく当たる私の直感がそう告げている。
　私の人生を変えるような何かが待っているような気がする。

　その何かのキッカケになりそうである、このチンピラたちとの絡み。それは私がこの街にたどり着いて、とある酒場に入店したところから始まる。