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10 探せばいい
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「あのさぁ……」女性を連れて路地裏から出ると、ランに呆れられた。「別にいいけどさぁ……目的は忘れないでね?」
「……承知した……」
結局、この女性――僕の右腕にくっついて離れないこの女性は、僕の愛人になった。何度も断ったのだが、彼女は頑として聞かなかった。
「私ドル・ミールって言います。ミールって呼んでください」
「……そ、そうか……」
説明はしたのだ。私には心に決めた人がいるから、あなたとは付き合えないと。だが、彼女――ミールはそれで良いというのだ。
正直、その気持ちは僕にはわからない。どうして僕のことをそれほど好きになってくれたのか、その理由もわからない。
なんにせよ、これ以上余計なことは言えない。声が良いからって調子に乗っていたら、他人を傷つけてしまうのだ。
とにかく、同行者が一人増えた。これで僕・ラン・ミールの3人パーティになってしまった。美少女二人に囲まれているのにハーレム感がまったくない。僕に負い目があるからだろうな。
というか……ミール? ドル・ミールでミール? あれ……名前の後ろのほうが名字なんじゃないの? 名字で呼んで、って言ってるの?
そういえば……ランは僕のことをシャフトと呼ぶ……名字が後ろ理論なら、シャフトは名字なんだが……
「ねぇミール。ミールは強いの?」
ランの他人への興味は、主に戦闘力であるようだった。それもそのはず、ランの目的はこの国を乗っ取ることなのだから。ある程度の武力を気にするのは当然だろう。
「戦うことはあんまり得意ではないですね……あ、でも計算とかは得意ですよ。経理とかならお任せください」
「経理かぁ……そうだね。今は3人しかいないけど、大人数になったら経理も必要だね。武力はシャフトがいるからいいけどさ」
何も良くない。何も良くない。何も良くない。
……ランはあれか? 『武力はもう十分』と思っているのか? これからの仲間集めは武力以外のところで集めるつもりなのか? だったら来たるべき決戦の時は、僕の土下座が火を吹くことになるぞ?
マズい。これはヤバい。なんとかして武力担当を探さなければ。しかも僕の側近的な武力担当である。『あなたの出る幕ではありません』とか言って僕の代わりに戦ってくれる人材がほしい。
「とりあえず」ランが言う。「武力担当が私とシャフト。経理がミール。統率は私苦手だしなぁ……シャフトに任せるとして、交渉とかもシャフトかな?」
僕の担当多くない? 武力・統率・交渉の技能なんて持ち合わせてないよ? TRPGじゃないんだよ?
「待て」思わず口をはさむ。「キミはそれでいいのか?」
「?」
「この国盗り……私の力だけで成し遂げて良いのか、と聞いている」
僕の言葉は、ランの急所に近いようだった。
「それは……そうだけど……そりゃ私だって、私の力でやりたいよ」
「ならば、私がそこまで兼職をしていいのか?」
「……私は……戦うしかできないからさ……」
「キミがやる必要はないだろう。できる人材を探せばいい」
「……」
「統率・交渉。他にも大切な技能や能力はあるだろう。それらを持っている人間を探せばいい」
いいか?と僕はランを指す。
「我々のリーダーはキミだ。私はあくまでも補佐役。それを忘れるな」
「……そっか。そうだね。ごめん、浮かれてた」
「謝る必要はない。成長に、期待している」
初めてあったとき、ランは強くなりたいと語っていた。だから、僕の力に頼りきりになるのはランとしても本意ではないはずだ。目的のための最良の手段であったとしても。
「……むぅ……子供扱いして……」
そうやって頬を膨らませたランは、なんだか年相応の女の子に見えた。国盗りなんて壮大な夢を見ているとは思えない、一般的な女の子に思えた。
「……承知した……」
結局、この女性――僕の右腕にくっついて離れないこの女性は、僕の愛人になった。何度も断ったのだが、彼女は頑として聞かなかった。
「私ドル・ミールって言います。ミールって呼んでください」
「……そ、そうか……」
説明はしたのだ。私には心に決めた人がいるから、あなたとは付き合えないと。だが、彼女――ミールはそれで良いというのだ。
正直、その気持ちは僕にはわからない。どうして僕のことをそれほど好きになってくれたのか、その理由もわからない。
なんにせよ、これ以上余計なことは言えない。声が良いからって調子に乗っていたら、他人を傷つけてしまうのだ。
とにかく、同行者が一人増えた。これで僕・ラン・ミールの3人パーティになってしまった。美少女二人に囲まれているのにハーレム感がまったくない。僕に負い目があるからだろうな。
というか……ミール? ドル・ミールでミール? あれ……名前の後ろのほうが名字なんじゃないの? 名字で呼んで、って言ってるの?
そういえば……ランは僕のことをシャフトと呼ぶ……名字が後ろ理論なら、シャフトは名字なんだが……
「ねぇミール。ミールは強いの?」
ランの他人への興味は、主に戦闘力であるようだった。それもそのはず、ランの目的はこの国を乗っ取ることなのだから。ある程度の武力を気にするのは当然だろう。
「戦うことはあんまり得意ではないですね……あ、でも計算とかは得意ですよ。経理とかならお任せください」
「経理かぁ……そうだね。今は3人しかいないけど、大人数になったら経理も必要だね。武力はシャフトがいるからいいけどさ」
何も良くない。何も良くない。何も良くない。
……ランはあれか? 『武力はもう十分』と思っているのか? これからの仲間集めは武力以外のところで集めるつもりなのか? だったら来たるべき決戦の時は、僕の土下座が火を吹くことになるぞ?
マズい。これはヤバい。なんとかして武力担当を探さなければ。しかも僕の側近的な武力担当である。『あなたの出る幕ではありません』とか言って僕の代わりに戦ってくれる人材がほしい。
「とりあえず」ランが言う。「武力担当が私とシャフト。経理がミール。統率は私苦手だしなぁ……シャフトに任せるとして、交渉とかもシャフトかな?」
僕の担当多くない? 武力・統率・交渉の技能なんて持ち合わせてないよ? TRPGじゃないんだよ?
「待て」思わず口をはさむ。「キミはそれでいいのか?」
「?」
「この国盗り……私の力だけで成し遂げて良いのか、と聞いている」
僕の言葉は、ランの急所に近いようだった。
「それは……そうだけど……そりゃ私だって、私の力でやりたいよ」
「ならば、私がそこまで兼職をしていいのか?」
「……私は……戦うしかできないからさ……」
「キミがやる必要はないだろう。できる人材を探せばいい」
「……」
「統率・交渉。他にも大切な技能や能力はあるだろう。それらを持っている人間を探せばいい」
いいか?と僕はランを指す。
「我々のリーダーはキミだ。私はあくまでも補佐役。それを忘れるな」
「……そっか。そうだね。ごめん、浮かれてた」
「謝る必要はない。成長に、期待している」
初めてあったとき、ランは強くなりたいと語っていた。だから、僕の力に頼りきりになるのはランとしても本意ではないはずだ。目的のための最良の手段であったとしても。
「……むぅ……子供扱いして……」
そうやって頬を膨らませたランは、なんだか年相応の女の子に見えた。国盗りなんて壮大な夢を見ているとは思えない、一般的な女の子に思えた。
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