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異世界での転生

出発準備

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 テールより、オリビン家の軍事演習に参加して欲しいという申し出を受けた僕は、今日の稽古を終えるとその事を父に話しに行った。父は事前にテールに許可を与えていたが、それでも一応僕自身が受諾した意志は伝えておかないといけないからね。

「失礼します、ニックにございます」
「入れ」

 父に促されて執務室に入ると僕が口を開く前に父が言い放った。

「ニック、テールよりオリビン家の軍事演習の参加の要請を受けたと思うが、どうするのだ?」
「はい、もちろん参加いたします、父上もそうお考えであったのでしょう」
「うむ、ちょうどオリビン家が軍事演習を開くのでお前を参加させたいという申し出があり、どうするかと思ったが、テールより申し入れがあれば参加しやすいと思ってな」
「実戦を先日経験しましたが、かなり指揮系統の分断があり、私のスキルが覚醒しなければどうなっていたか……」

 あの時はスキルのおかげで難を逃れたが、ああいう場合も本来なら自分が最高指揮官として上手く指揮を執って窮地を脱しなければいけなかったからね。

「まあ、あの状況は熟練者たるバイスでも翻弄されたのだ、未熟なお前には荷が重いであろう」
「は、はい……」
「だがいつも魔物ばかりと戦うわけではない、今だ黒幕はつかめんが人間の暗殺者も確実にお前を狙っておるからな」
「はい、スキルに依存しすぎるなという事ですね」

 僕のモンスターテイムはあくまでも魔物の身に有効なスキルだ、そればかりに頼りすぎるといざという時に命を落としてしまうからね。

「参加を決めたのならばマハールの領地までの移動準備を始めた方が良いな、テールは先に帰っているようだし、オリビア、コール、それからホップンも伴うのでその準備をさせておけ」
「はっ!」

 テールがオリビン卿に事前にホップンの事を話しているから、ホップンは受け入れられるようだ。早速オリビア達にも出発準備を促そう。あとミアや使用人達にも出発の準備をお願いしないと。

 まず僕はミアが外で洗濯物を干していたので話しかけた。

「ミア、ちょっといいかな?」
「あ、ニック様、お帰りなさいませ、本日もお稽古お疲れ様です」
「明日にオリビア達とオリビン卿の領地に行く事になったし、その仕事が終わってからでいいから、他の使用人と一緒に出発の準備をしてくれる」
「はい、承知しました」

 とりあえず、ミアへのお願いはこれでいいか、あとは他の使用人と準備してくれるだろうし、オリビア達に話せば明日はいよいよ出発だ。
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