上 下
37 / 96
異世界での転生

感じた危機

しおりを挟む
 遂に僕の初陣報告の為に国王陛下の元に謁見すべく王城へと向かう日がやって来た。父と僕は刺客等の襲撃による共倒れを防ぐ為に別々の馬車に乗る事となり、父の馬車にはオリビアとコール、僕の馬車にはテールが乗る事になり、まず父の馬車が先行し出発した。

 いずれの馬車の周囲や馬車の中にも護衛の兵はつくが、謁見という名目の為それほど多くの共はつけられないのだ。

 僕は馬車の中でホップンと過ごし、テールに声をかけられる。

「ニック様、お会いするのは初めてでしょうが国王陛下がどのようなお方か存じていますか?」
「ああ、父より聞いている、ボートルト国王、マーズ陛下は先代の国王陛下が魔物討伐のおりにお亡くなりになり、若くして国王を継ぎ、20年以上国王として周辺国家との緊張状態の中、上手く均衡を保っていると聞いているよ」
「国王陛下はガリアス様を始め、多くの臣下もしっかりと支えてくださってますし、我が国を危機に陥らせないよう尽力されていますね」

 僕と父の生家テリナン家は公爵家であり、ボートルト王国に仕える貴族の中でも1、2を争うほどの領地の広さと軍事力を保持しているのだ。

 キャシーやゲインからも聞いた事があるが、父は基本的に自ら前線に立つ事が多い将で歴代のテリナン家当主随一の猛将だと言われているのだ。

「父上は国王陛下の信がとても厚そうだな、僕も負けないようにしないと」
「ニック様にはガリアス様にないスキルがありますし、きっと違った方向で信を得られると思いますよ」
「ありがとうテール」
「ですが、スキルに頼りきりでもいけません、ニック様が立派な当主になれるよう私もしっかりご指導させていただきますからね」

 普段のテールはとても優しくて気が利く女性だけど、剣の稽古や魔法の修行となるとめちゃくちゃ厳しいし、構えをよく注意されるんだよな。

 座学も熱心にいろんな歴史や礼儀、騎士道精神などを丁寧に教えてくれるんだけど、居眠りには厳しくて何度もそれをするコールはよく怒られていたな。

 テールの稽古や授業について考えていると、何かを察したようにテールが声をかける。

「ニック様、お気を付けを何か近づいています」
「え?」
「グルルルル!」
「ホップンも⁉」
「ホップンがここまで警戒しているとなると刺客が迫っているかもしれません」
「何だって⁉」
「テール様いかがなさいますか?」
「周囲に怪しい人物がいないか調べてきて、それから前方のガリアス様にもご報告を」
「は!」

 刺客が近づいている!一体どうなるんだ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話

菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。 そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。 超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。 極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。 生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!? これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます

海夏世もみじ
ファンタジー
 月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。  だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。  彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。

おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

夢限
ファンタジー
 俺こと高良雄星は39歳の一見すると普通の日本人だったが、実際は違った。  人見知りやトラウマなどが原因で、友人も恋人もいない、孤独だった。  そんな俺は、突如病に倒れ死亡。  次に気が付いたときそこには神様がいた。  どうやら、異世界転生ができるらしい。  よーし、今度こそまっとうに生きてやるぞー。  ……なんて、思っていた時が、ありました。  なんで、奴隷スタートなんだよ。  最底辺過ぎる。  そんな俺の新たな人生が始まったわけだが、問題があった。  それは、新たな俺には名前がない。  そこで、知っている人に聞きに行ったり、復讐したり。  それから、旅に出て生涯の友と出会い、恩を返したりと。  まぁ、いろいろやってみようと思う。  これは、そんな俺の新たな人生の物語だ。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

処理中です...